アルマゲドン・タイム ある日々の肖像のレビュー・感想・評価
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その日々は、全ての子供にとっての通過儀礼
大人になってしまえば、
幼い頃の記憶や、とりわけ感情は徐々に薄れていく。
なので、その状態で子供に接すれば、
気持ちの行き違いが生じるのは致し方ないこと。
「しつけ」をするのは、
なにも厳しく相対することが目的ではなく、
真っ当な人間に、更には親を越えて育って貰いたいとの
強い想いがあるから。
しかし、それはどうにも上手く伝わらない。
親と子の関係は、有史以前から
おそらく同じすれ違いを繰り返している。
1980年のニューヨークは、
たぶんディスコサウンドが席巻する街。
しかし十一歳の『ポール(バンクス・レペタ)』の嗜好は
『The Beatles』と、一風変わっている。
彼は絵の才能を発揮するものの、
教師の話の最中に、ノートに似顔絵を描いていれば、
それは目を付けられようと言うもの。
家庭でも、その奇矯な行動は
大人から見れば目くじらを立てたくなる。
とりわけ、母親の料理にケチをつけ、
高価なケータリングを勝手に頼むなどは、
人の気持ちを慮ることができるのか、と
義憤さえ感じてしまう。
そんな彼が心を許すのは、
親族では祖父の『アーロン(アンソニー・ホプキンス)』、
学校では黒人で貧困家庭に育った『ジョニー(ジェイリン・ウェッブ)』。
後者とは、『ポール』が転校させられたことにより疎遠になり、
前者とは悲しい別離が待っている。
そうして心の支えを失った時に、
少年のとれる道はどのようなものか。
主人公の心の機微を細かく描くことで成立する本作は
おそらく監督・脚本の『ジェームズ・グレイ』の自伝的物語。
とは言え、自分の子供時代と引き比べ、
或いは大人になった目からしても、
彼の行動の端々はあまりに共感できぬものばかり。
自身の行動で他人が傷つくことを目の当たりにすれば、
その場では逍遥とするものの、
暫くすれば似たような行いを繰り返してしまう。
おおよそ人との、わけても大人との関係性においては
学習能力が欠如しているとしか見えないキャラクター。
それは幾つものイニシエーションを経ても、
何の変化も見られず、成長と言うものを感じられない。
良い意味では、瑞々しいままとの表現はできるものの。
兄に辛く当たられる、父親にベルトで打たれる、
母親に厳しい言葉をぶつけられる、教師からは懲罰を受ける等のシーンはあるものの、
本作に本当の意味での悪人は登場しない。
皆々が子供を導いてあげたいとの思いからの行為が
どうにも捻じれてしまう。
それを受ける身にとっては、
タイトルに結び付くように感じられるのだろう。
直近の作品では、随分と好々爺ぶりが板に付いた『アンソニー・ホプキンス』。
三十年前の『ハンニバル・レクター』からは隔世の感があり。
可能ならば、とことん悪に染まった彼を
再度見てみたいもの。
誠実でリアルな話が淡々と・・・感慨深いです
派手な話ではなかったけれど、リアルで深い話をさりげなく見せつけられたという印象です。
アンソニー・ホプキンスの名演とお気に入りの女優アン・ハサウェイをじっくりと堪能できて満足です。
監督の思いが誠実に語られたような作品で、非常に好感を持てました。
全体的にあまりに平坦すぎるので退屈に感じてしまう可能性は大いにありますが、中身は濃いと思うのでハマると色々と考えさせられるような作品だと思います。
文芸映画ですね
アメリカの文芸映画ですね。
画面は暗く油断していると寝そうになる画作りです。
ストーリーはちょっとひねくれた子供時代を過ごしていた人には追体験するようなシーンがあるかもしれません。
ただユダヤ人や黒人が1980年のアメリカでどういった扱いを受けてきたのかといったテーマはやはり日本人には馴染みが薄いでしょう。
この映画から学びを得るとすれば、子どもに過度な期待を一方的に寄せたりすることなく、話し合いが大切だということでしょうか。
愛情の形について考えるところはありました。
アンソニーホプキンスはさすがですね。
タイトルは、やっぱりクラッシュから(笑)
映画館のポスターで、このタイトルを知ってからハートを撃ち抜かれ、楽しみに待っていた1本です。
クラッシュの曲「ARMAGIDEDON TIME」から、タイトルを取ったに違いない!!
と思ったからです。
案の定、やっぱり、曲が使われてました(笑)
映画の内容は、監督の伝記みたいですが、
差別が強かった80年代のアメリカ、監督の少年時代、黒人の友達との友情を中心に描いています。
トランプ元大統領の家族、父君フレッド・トランプ、姉君マリアン・トランプ、も出てきます。
姉君マリアン・トランプを演じているのは、ジェシカ・チャステインです。
色々と考えさせられますね。
シリアス過ぎない静か過ぎないけど、けっこう退屈で眠くなりました(笑)
1980年代 ユダヤ系アメリカ人家族の末っ子ポール ほんの出来心が...
1980年代
ユダヤ系アメリカ人家族の末っ子ポール
ほんの出来心が招いた一家の騒乱 ──
ジェームズ.グレイ監督の幼少期を投影した
自伝的作品。
12歳のポールとその家族
家族の歴史、夢や希望
小さく狭い世界で生きている子供たち
取り巻く環境
しでかした事に対しての親の対応
我が子の幸せを願わない親はいない
この作品をみて
親としてどうしたらよいか
問われているようで苦しかった
ポールが自分の息子だったら…
母親としてどう声をかけるだろう
そればかり考えながら観ていた
自分が子供だった頃…
気づいていないだけだったことが
たくさんあったのかも…
アンソニーホプキンスが演じる
祖父の言葉
『高潔に生きろ!』
最後まで心に残ります
生きていくためには…
でもその選択
残酷だな
人生は誰に対してでも公平ではない
なんとも後味が複雑。
子どもに差別や不公平を教えるのは大人だというのがよくわかった。薄皮を一枚ずつ剥いでいくように不安と痛みがじわじわ襲ってきて、ラストまでそれは消えない。
移民、人種、偏見、色んなものを乗り越えて生きねばならなかった時代の人たちの痛みを、子どもの目を通して描いた素晴らしい作品。
主人公は自由で空想家な子どもらしい子どもなのだけど、移民としてある程度成功を収めた家族の期待する道は彼にとっては理想的な世界ではなく、ちょっとしんどい。
とはいえ差別を乗り越えて努力で幸せを手に入れたので、子どもにも負けない人生を歩ませたい親心は、私も親の身として理解できなくもない。
ユーモアに溢れた人格者のお爺ちゃんが荒ぶる孫を猛獣使いのように上手くコントロールしていたんだけど、お爺ちゃんがかけた沢山の言葉は多分その後の彼の人生のあらゆる場面で影響していると思う。
主人公は家族に恵まれていた。
ここが物語の核になる。
対して相方のジョニーはどうだろう。
恵まれない環境から大人にならざるを得なかった子の、子どもらしからぬ冷めた目。
子どもらしかったのはポールとイタズラしてた時だけ。
問題が起こるたび、この子が大人に対して意見する言葉は子どものそれではなかったように思う。甘えや媚びなどない、自分に対して優しくない世界の全てを理解しての言葉は、とても心に刺さった。
人生は不公平、幸運に素直に感謝する、この二つは私にとって忘れられないパワーワードになった。
正直、観た後に心が穏やかになる映画ではない。
けど、この世に生きる誰しもが知るべき真実が描かれていると思う。子どもの目を通してっていうのがまた真実味を増す。
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