「【ユダヤ人のクランパは僕に”お前は高潔な精神を忘れるな”と言った。1980年代の人種差別が普通だったNYで幼き日を過ごした少年の心の成長を描いた作品。】」アルマゲドン・タイム ある日々の肖像 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【ユダヤ人のクランパは僕に”お前は高潔な精神を忘れるな”と言った。1980年代の人種差別が普通だったNYで幼き日を過ごした少年の心の成長を描いた作品。】
ー いつもの通り、今作のフライヤーが手元にある。アンソニー・ホプキンスを筆頭に、アン・ハサウェイも出演している作品である
だが、私は時間的、物理的制約もあったが、私の居住区で一館だけで上映された本作を鑑賞するために足を運ばなかった。
何となくである。幾つか映画を観てくると、これはどうかな・・、と思う作品があるのである。今作で言えば、アンソニー・ホプキンス、アン・ハサウェイが出演しているにも拘らず、公開館の少なさと殆ど話題にならなかった点かな。-
■1980年、ニューヨーク。
白人の中流家庭に生まれ育った12歳のポールは、教育熱心な母(アン・ハサウェイ)、働き者でユーモラスな父、優秀な兄と暮らしているが、家族にいら立ちと居心地の悪さを感じていた。
そんな折、ポールは親友の黒人のジョニーとささいな悪さを起こしてしまう。
◆感想
・今作は、ポールの大好きな祖父(アンソニー・ホプキンス)がウクライナで暮らしていた頃から(多分)多数の経験を得て、現在の地位に就いた事がベースであるのだが、そこが見事に一切描かれていない。
ー 全くもう!-
・ポールの友人の黒人のジョニーへの年代的な差別の描き方も、甘いんだよなあ・・。
・けれど、1980年当時の共和党全盛期の中でのポールの生き抜く姿や、黒人少年に対する社会的偏見は巧く描かれていると思う。
ー 現況下のアメリカは、許されざる行いを行ったトランプが共和党の筆頭勢力を担っている。大丈夫か、アメリカ!-
<フライヤーを観ると、今作は監督のジェームズ・グレイの幼年期を投影した自伝的作品だそうであるが、これだけのキャスティングながら観ている側に響いてくるモノが甚だ少ない。
ジェームズ・グレイ監督作品としては「アド・アストラ」を観たが、もう少しストーリーテリングを含め、頑張ろうよ!と思った作品である。
3.5は勿論、アンソニ・ホプキンスに対してである。
だが、今作は現況下の右傾化していくアメリカに対する大いなる警句を発信している作品なのである。>