CLOSE クロースのレビュー・感想・評価
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大人になるとは鈍感になること
何気ない一言がこんなにも誰かを傷付け、取り返しのつかない結果を産んでしまう恐ろしさ…
オトナの入り口に立ち、さぁこれから!という時に投げつけられた一言の重さ。
その不用意な一言に傷付き、自分や大切な人を傷付けてしまう残酷さ。
「大人になる」とは、たぶん、鈍感にならざるを得ないことなのだろう。
レオはこの先、一生癒えない傷を抱えて生きていくのかと思うと、やるせない気持ちでいっぱいになった。
夏の花畑を駆け抜けたように、傷ついても傷付けられても、この先も駆け抜けていけますように。し人生の美しさを知り、傷だけを見るようなことなく、駆け抜けていく強さを持てますように。
これは全ての傷を持つ誰かの物語。
いつかの傷の痛みに耐えられない時は、是非。
喪失を経験した人々の選択
なんとなくどちらかが自殺することは察していたけど、思ったより呆気なさすぎて全然序盤すぎて驚いた。しかしこれは"レミがレオに傷つけられる物語"ではなく、"レオ含めたレミの周囲の人間が喪失をどう経験し生きていくかの物語"だからなのだと気づき、ハッとした。
それはつまり、この映画は「思春期特有の曖昧な関係性故の危うさ」と、「少年時代における喪失」、そして何よりも「取り残された人がどう生きていくのか」をテーマに描いたのだと言える。これは恐らくレミに関しても同じでレミの行動は、レオに「取り残された」と感じた故のひとつの答えだと言える。
環境が変化するに連れて、何も気に留めず慣れ親しんだ服や鞄、自分の振る舞い、家族や友人の言動など何もかもが気になって、そして誰かを傷付けてしまう。それは誰にでもある事で、誰のせいでもない。それが分かっていても自分のせいだと思ってしまいたくなる感情は罪というよりも責任に近い。
ラストシーンにて、自分の罪を告白したレオ、そしてレオを抱き締めたレミの母はそれぞれレミの喪失を受け入れる。レミの母は、家を引っ越して「忘れる」という方法で前へ進もうとし、そしてレオは(別の友人や兄でレミの喪失が生んだ間隙を埋め合わるという選択ではなく)レミとかつて駆け抜けた花畑で立ち止まり振り返って「痛みを抱えながら生きていく」という選択で前へ歩み出す。
喪失は不可逆的な事実であり、その苦しみや悲しみは何かで埋め合わせられるものではない。それでも生きようとする人々の姿はとても儚くてどうしようもなく非力でだからこそ美しいのかもしれない。私自身の過去における少年期の喪失を思い出して辛い気持ちになりつつ、それでも見てよかったなと思える映画だった。
「なぜ?」を追い求めてしまう
少年時代の友情はとても容易に築かれ、だからこそとても脆く儚い。私も小学生時代に遊んでいた友達とは疎遠になってしまった。本作のレオとレミみたいになにかのクラブに属してしまうとそちらの友人関係が優先されてしまうのは世の常だ。
でもさすがにあの2人のような親密で近い関係性だったら簡単には崩れない気もする。だからこそ2人が疎遠になっていく過程が切なすぎた。大人になっている今だから、「そんなことで」と思えるが、彼らにしたら大問題だ。
私は小学生時代にクラスメイトが自殺したことがある。転校してきた子で、友人もできて楽しく過ごしていたように見えたが再度親の転勤で転校することになった矢先、自ら命を落とした。他の土地では友人ができなかったが、私の地元で初めて友人ができたらしい。当時の私は「なんでそんなことで?」と驚くことしかできなかった。そう、自殺した者の周りはどうしてもその死の「なぜ?」を追い求めてしまうし、その気持ちを理解することは難しい。
本作の中でも、レオと観ている私達だけがレミの死の原因に思い至る。あの出来事が関係している!と。ギブスをつけるときのレオの涙もそう。レオと観ている者だけが理解できる描写がとても巧みだった。
結局、レミの死の真相はハッキリしないままだ。付き合ってるんじゃないかと同級生にからかわれたことも、レオとは違う別の感情をレミは感じていたかもしれない。レオに対するレミの感情は最後まで明らかにはならなかった。だから、これは観ている私達だけが妄想できる領域なのだ。このへんの描写も巧みだった。
セリフではなく、表情や雰囲気で物事を伝えようとする映画や、観ている者に判断を委ねる映画はあまり好きではない。でも、心を揺さぶられてしまった映画を低く評価することもできない。
Drop
自分は同性を好きになった経験は無く、異性に好意を抱きながら生きてきました。近年、LGBTを取り扱った作品は多くなり、その作品を見て様々な勉強をしたりしているのですが、今作は少女の一言によって親友同士の絆が揺らいだ、という一味違うエッセンスが加えられた作品になっていました。
兄妹のように仲の良いレミとレオ、互いの家に泊まりに行ったり、一緒に食事を取ったり、一緒のベッドで寝たりと、これだけ見れば親密な関係性なので、カップルなの?と質問されても仕方がないと思います。
その関係性が疑われて、ちょっとだけ嫌になったレオがレミを突き放すような行動を取ってしまいますが、それが原因で喧嘩をしてしまい、離れ離れになってしまい、挙げ句の果てにレミは自殺を…という前半のアプローチから、後半はレオの葛藤が強く描かれていました。
ただ近い時期に上映された「怪物」と主題が似ており、どうしてもそちらと比較してしまったので、少し見劣りしてしまったかなと思います。
「怪物」が一緒になれないのなら死ぬしかないという最終選択を選んでしまった作品だったのに対して、今作は衝動的にレオが自殺してしまったというのが強く映ってしまい、同性愛というテーマを扱う作品にしては、命の扱い方が少し軽いかなと思ってしまいました。
レオを演じたレオン・ダンブリンくんの儚い表情が素晴らしく、こんなにギリギリな感情を表現できるなんて、彼は将来とんでもない役者になるんじゃないか、今から楽しみな俳優さんです。
良い作品だとは思うんですが、少しパンチが足りないかなと思いました。そういえば「わたしは最悪。」の脚本の方が監督を務めていたというのを後から知って、そういえばそれもハマって無かったわ…と勝手に納得しました。
鑑賞日 8/3
鑑賞時間 18:30〜20:20
座席 G-1
ストーリーは良いが
セリフで語らず表情で語る感動作品!
主役の男子2人が仲良くて それをクラスのちょっと意地悪なやつらにからかわれて
微妙な関係に徐々になっていって・・・
て内容なんだけど 普通会話で色々説明しがちな部分を
極力セリフを言わないで表情と間で感動させる手法を使っていてその演出が秀逸!(一部の日本映画とか悪く言いたく無いがあり得ないような状況説明のバカみたいなセリフを無駄に言ってて寒気が走るような作品結構あります)
まず誰しもが昔体験したであろう(男子はあると思う)ふざけてるうちにどんどん本気になってガチ喧嘩とか めちゃくちゃ仲が良かった友達といつの間にか遊ばなくなってたという懐かしい感覚を最初は味わいつつ
女子同士 男子同士の仲良しってどこからが友達で
どこからが恋愛対象かって難しくないですか?
友達と仲良くしたらダメなのか?
仲の良い友人の事は普通に好きなのは当たり前だけど
それってホモなのか?レズなのか?仲良し過ぎたらダメなのか? この微妙な境界線はどこ?線引きは具体的にどこですればいいのか? いったいそれってなんなん?て話ですから単純な内容ではありませんよ!
主役の友人が〇〇するんだけど(ここ普通なら〇〇シーン絶対にあります)まずバスが学校に着く時に父兄が学校に集められていて今から体育館で説明があるってなってなにか変だし友達今バスに乗って無いし不安だぞって表情が良くて主人公がバスから降りないで自分の母親がバスの中に来て体育館に行くよって言ってからの母親のあの表情と間が天才的で あそこで詳細を言わないんだけど母親のリアクションで全てを語っているのがまず凄くて(ゴジラの監督がこのシーンを演出したら母親が〇〇ちゃんは自殺したのよ〜って号泣しながらめっちゃ大声張り上げますよ絶対に)そこからは色んなバリエーションの涙腺刺激ポイントが多数襲いかかってきて 人によっては中盤以降から終わるまでずっと泣き続けてしまう人がいるでしょうってくらい泣けるシーンが散りばめられていて ある意味ずっとクライマックスのRRRに近いってくらいずーっと感動ポイントが続くのが神がかってました! あと日本映画の怪物とアプローチは違うけど 大きな部分では共通するテーマになっていて 見比べるのも面白いと思いますし 被害者と加害者の対話って部分は対峙って作品にも近くて 今年見た傑作のクロースと怪物と対峙は 同じようなジャンルの人間ドラマだなあと思いました!
あと予告のイメージだと 2人の関係が徐々に離れて行くのがメインと思いきや かなり早い段階で〇〇して
そこからの話がメインになっていてイメージと少し違いましたが逆に良かったなあと思いますし
主人公も 友人の母親もお互い核心部分の話をしたいんだけど中々その話に行けない微妙な感じの表情が絶妙で(言いたく無いがここの部分〇〇映画とかだったら葬式の直後くらいに アンタ息子の死んだ原因知ってるよね!なんか言いなさいよ!って詰め寄ったりするのが用意に想像できる)死んだ息子の母親が会話の流れで遺書が無くて 母親も直接の〇〇の原因が分からないまま時間が経過しているのが分かってくるのが見ていてキツかったですね!
主人公も自分が原因で〇〇した罪の意識はあるけど学校は普通にあるし休んでいいよと言われるけど学校行って現実逃避でアイスホッケーに没頭して忘れようとするけど徐々に耐えられ無くなって行く様子も上手く描かれていて
友人の母親にその事を話さないとダメだ!どうする?
って場面のやり取りの演技が神過ぎます(実際3回会いに言ってやっと3回目でやっと言えた)
それとキャスティングですが友人の母とか兄貴とか凄く良かったです。
一気に抑えていた感情が決壊する場面やら 主人公が友達に会いたいって思っているのを兄貴に素直に話して兄貴が何も言わないでよしよしってするシーンや 友人の父がみんなで食事している場面で徐々に泣き崩れていくシーンや友人の母親に主人公が家に会いに行く場面など中盤以降は重要なシーンだらけである意味本当にずーっと見せ場感動ポイントが続きまくりなので見終わった後の余韻がヤバくて この作品の評価が異常に高いの納得ですね。
特に腕を骨折してギプスをされながら主人公が泣くシーンの泣いてる真意とか考えると うわーって思ってしまいますしね!
という訳でカンヌで客が一番泣いた作品てのも納得なんだよなあ!
考察部分が無くてわかりやすく演出が秀逸で役者の演技が上手く内容も良く欠点がほぼ無いので(これを逆に上手くまとめ過ぎって言う考え方もある)年間トップクラスの作品です!(考察部分だらけで核心部分を隠してるから見た人の半分以上が一番重要な部分に気づかないアフターサンとは真逆の作りなのが面白いです)
タイトルなし
息を飲む映像と展開。二人の少年もいい。でも、ゲイではなくても親密な男性関係を揶揄したヘイトクライムで、母親に謝罪もなく、陶酔的な自己正当化で終わっており、後味が良くない。彼女に告白できなかったら、きっと彼は歪んだままの人生を送っただろうから、とても心配だったけど、やはり中途半端なので心配。女っぽいと言われ、アイスホッケーという男性性への反動形成。でも、これは普遍的な男性性の原型でもある。骨折は、比喩になってるけど、自傷行為
死の欲動であり、回復のはずがない。回復として描いているところにすでにこの映画の欺瞞があるだろう。それにしても、グループカウンセリングしても、何も出てこないところ、日本と変わらない。皆知ってて当然なはず。あんたらが差別発言したんだよ。
心の変化がうむ辛さ
幼馴染で親友のレオとレミが、集団生活に入る生活の変化で、レオが周りの人間に対抗して自分を変えていこうとする過程で、レミの心をを傷つけてしまう。
ただ、これは自分を守るためのレオの必死な行動で、決してレミを傷つけようとしてとった行動ではない。だから、レオは常にレミを気にはかけている。レオの視線の行方をカメラは捉えている。
レオを責めることは決してできない。
ただ、レミは相手の心境の変化が何故起こったのかも知らされないまま悩み哀しみ苦しみ。
これは男女間でも起こりうること
変化していく本人は緩やかに変わっていくのでダメージは大きくないが、取り残された方はずっと同じ気持ちのままだから相手の行動が判らない、苦しみ受け入れられない。
辛いなぁ。
どちらも。
そして家族も原因がわからないままの辛さ
ラストの一つ前の家のシーン、同じ家なのに二人が仲の良かった頃と比べてのあの空虚感
季節の移り変わりを花き農家の風景と服装で描いていて美しさを感じました
仲良しだった少年二人が、徐々にギクシャクし、最後には取り返しがつか...
展開は読めるが表現は卓越
性別や年齢って、なんだろ、人間愛でいいのに。
「萌え」では済まされない世界
繊細さと脆さ
悲しい
レオとレミの天使のような笑顔が尊い
13歳のレオとレミ。
兄弟かと思えるほどの仲良しぶり。いや、双子のように遊ぶ時も寝る時も一緒のふたり。
そんな仲良しなふたりだが、無垢な子供から少し成長して、ふと他人から見る自分たちの関係が複雑に思えてしまうレオ。しかしレミは自然で、変わらず近い距離を保とうとする。そんなレミをレオがだんだん突き放していくが、レミにはそれを受け入れることが出来ず、レオが離れて行く哀しみと憤りでどんどんつらくなるレミ。レミの流す涙に似た経験が自分にもあるような。
なんだろう。どちらの気持ちもものすごく分かってしまう。
レミと一緒に涙がこぼれてしまう。
レオにとって最悪な事が起きてしまう
が、レオは泣かない。ずっと泣かない。ずっと葛藤して家の手伝いやアイスホッケーに没頭するが、堪えきれなくなった時とうとう涙が溢れ出すレオ。ずっと見守っていた私も一緒に泣かずにいられなかった。
レオの母親、父親、そして兄。レミの父親、そして母親。それぞれの思いが強く伝わってきて
最後はやっぱりレミの母親。
私だったらどうしただろうか。
レミの母親の複雑な気持ちも痛いほど伝わってきて、本当に心が揺さぶられる貴重な1本。
子どもだから未熟者だから
という理由では、許せない気がした。
私は命を大切にできなかったレミのことも認めることはできない。
レオが誠実な人であれば、一生後悔を背負っていくしかない。もしも、レミのことを忘れるような人であれば、それはそれで仕方ない。
予告で筋がほぼわかってしまったのは残念だった。せめて事故であって欲しいと願っていたがこれもまた願いは通じなかった。
お父さん、お母さんの演技が身につまされた。
レオを抱き締めた気持ちも、黙って引っ越した気持ちもよくわかる。
アヒルの子とヘビ
致命的に人を傷つけてしまうということ
思春期はとりわけ他人の目が気になる。ましてや恋愛に関するものには敏感になる。「お前ら男同士なのに恋人みたいに仲がいいな」なんて言われたら…。
僕はレオの行動を理解できてしまう。レミに素っ気ない態度をとったり、レミとは関係のない新しい世界を見つけようともする。結果、レミを"致命的"に傷つけてしまう。そこまで気が回らない。
僕は人を傷つけたくないし、自分も傷つきたくない。結果として対人関係が臆病になる。人付き合いが苦手になる(私です)。そんな僕でも、間違いなくたくさんの人を傷つけてきたと思う。しかもそれは自分を信頼してくれた友人だったり、自分を愛してくれた家族だったりもする。そんなことを考えると、なかなか辛い映画です。
なんとも美しく
観たままの感想をとにかくどこかにメモしたいという気持ちで書いてる。
時の流れの描写、、、美しさがすごい。
文字や言葉では出てこないが、レオがどのような感情で
どれほどの時を沈黙で耐えてきたかが描写からひしひしと伝わる。
思春期や環境の変化によって、些細なことだと思って気にも留めなかったレオの行動は、レミにとっては立ち直ることができない絶望だったのだろうか。
レオが 会いたい ただその一言にどれだけの後悔やレミに対する罪悪感 すべてを感じた上でまた会いたいと言葉にすることの重さが、、
普通の映画に比べて言葉数は少なかったように思うが
感情はとめどなく自分の心にのしかかってくる
リアルすぎて、レオがまだ泣いていないのにわたしが泣くことは許せない なんて感情まで出てきてしまった
素晴らしい映画だった。
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