劇場公開日 2023年7月14日

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「大好きだけど大好きじゃない」CLOSE クロース うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0大好きだけど大好きじゃない

2023年9月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

レオは期末の休暇を幼馴染のレミとたっぷり過ごし、新学年を迎えた。新しいクラスで友達が増え、その誘いでスポーツチームに参加したりTVゲームを始めたり、交友関係や興味が広がって行く…というと日本でも春の学校あるあるで、保護者からすれば歓迎するような成長の兆しとも言える。
しかし、レオが新しい生活に傾倒するのはレミとの仲の良さをクラスメイトに揶揄われた反動も含んでいる、というのが本作の哀しいところ。兄弟のように生活していた親密さにレッテルを貼られ、スルーしきれずに行動で証明しようとするレオの年相応の未熟さとそこで生じるレミとのすれ違いが胸に痛い。

思春期につるむグループの面々が入れ替わるのは我々の学生時代にもよくあることで、それで多少ギスギスした経験がある人も少なくないだろう。だからこそレオの後悔も、レミの痛みも、誰かが決定的に悪くなくても悲劇が起こる哀しさがよく理解できる。
悲劇に対してフィクション的な都合の良さが与えられないリアリズムが非常に現代的で、観客がその余韻をどう処理するかで評価が二分しそうな作品だった。スクールカウンセリングのシーンで出てくる「感情はその人のもの」という言葉が印象的で、劇中の問題を象徴していた気がする。

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うぐいす