劇場公開日 2023年7月14日

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「観たい度◎鑑賞後の満足度◎ 13歳、児童とはもう言えず思春期には少し早い、無意識の残酷さを残したまま、でも成長は止まらず外界の一切を吸収しながらも最も傷つきやすい年頃。外界を見つめ内面を映すレオの瞳。」CLOSE クロース もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0観たい度◎鑑賞後の満足度◎ 13歳、児童とはもう言えず思春期には少し早い、無意識の残酷さを残したまま、でも成長は止まらず外界の一切を吸収しながらも最も傷つきやすい年頃。外界を見つめ内面を映すレオの瞳。

2023年7月18日
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鑑賞方法:映画館

①自分の小学校から中学校に上がった時を思い出した。
レミのような大親友はいなかったけれども、小学校からの友達との付き合いは続いたけれど新しい環境になれることを優先した日々。
②12歳までは二人の世界が世界の全てだったのに、13歳ではじめて自分達が人の目にどう写るか嫌でも意識させられるようになるレオとレミ。
私もそうだった。狭い地域に住む友達達との日々が世界の全てだったのに、中学に上がってもっと広い地域の子達に混じって自分の居場所を作っていかねばならない。
ある意味はじめて“社会”というものに触れて意識し始める年頃。
③二人で一緒にいるのは二人にとってとても自然なことだったのに、“(少年少女の)社会”では「付き合っているの?」だの「いつも一緒にいる」だの揶揄される。
子供は残酷だから思ったまま言葉にする(大人になると思ってても言わないけど)。
レミは特に“オンナオトコ”等と呼ばれたから余計意識してしまう(私も全く同じ経験あり)。
“社会”に適応しようとするレオ。相変わらず自然体のレミ。
次第にギクシャクし出す二人の関係。これも思春期の入り口や思春期ではよく有ることだけど…
昔からの友達が新しい友達とつるむようになって自分が置き去りにされたような寂しさ、悲しさ。
今まで此方を向いていてくれたのに次第に向いてくれなくなる時の喪失感や寂廖感、孤独。
最も感じやすい年頃、最も傷つきやすい年頃だからこその苦しみ。
登校時先に行かれたレミが涙を流しはじめてレオにくってかかった時の気持ちもよく分かる。
でもあそこまで追い詰められていたとは。そこまで傷ついていたとは。
※最初にこの映画の概要をおぼろ気に知った時、少年版『噂の二人』?と思ったけれども、パルム・クィアにもノミネートされたところをみるとやはりうっすらとではあるがそういう要素を忍び込ませていたようだ。
④レオもそこまでは思い及ばなかったしレオに罪があるわけではない。
でも罪の意識が芽生えてしまったらもう抑えることは出来ない。
でも言えない。苦しい。そこまで苦しむことはないのに、と大人になった自分は思うのだが、それは自分が大人になってしまったから。
苦しいし怖い。
そこはやはりまだ子供だ。
勇気をふるってソフィに告白するが、怒ったソフィに危害を加えられるかと身を守る為に棒を振り上げるレオ。
しかしソフィとて真相を知ってもレオを傷つけられる筈はない。
レオも十分苦しんだと分かるから。
二人の抱擁は感動的だがそれがハッピーエンドではない。
頭では許していてもやはりレオが近くにいれば心穏やかにはなれないからだろう、引っ越していったレミの家族。
⑤何かを永遠に失くしてしまった13の年。
私達も忘れてしまっただけで何かを失くしてしまっているのかもしれない。いや、みんなそうなのだろう。
ラストのレオの視線がそう語っているように思えた。
レオ役のエデン・ダンプリンは大したものだと思う。監督の手腕とは云え、映画を一人でひっばっている。
追記:レオとソフィの抱擁のシーンは泣かなかったけれど、レオとレミの家族が食卓を囲んだシーンでレミの父親が泣き出した時にはもらい泣きしました。

もーさん
2023年7月21日

共感ありがとうございました☆

美紅