「この重苦しい気持ちをどうしたらよいのか」CLOSE クロース bionさんの映画レビュー(感想・評価)
この重苦しい気持ちをどうしたらよいのか
現実と地続きの物語にしか感じることができず、心の整理がつかない。レオとレミの表情や仕草は、思春期の自然な反応としか思えないし、両親や兄弟は、本物の家族でないとできない複雑な感情を見せる。
実話を追体験している感覚に陥って、終始、胸が締め付けられる。
是枝監督の『怪物』とテーマは重なるが、『CLOSE』の方が愛情と友情の境目が少ない。レオもレミも愛情に関しては無自覚というか、恋愛に発展しなかった可能性もある。そんな仲の良い2人を、思春期の同級生が放っておくはずもなく、からかいの対象になってしまう。
バラ農園の中を駆ける2人のシーンとか、レオが雨に打たれて歩くシーンとか、見とれるような美しいショットが数多くスクリーンに映し出される。その美しさと裏腹に、2人やその家族の心情を思うと心が晴れることはない。
この重苦しい気持ちをいったいどうしたらよいのか。
共感ありがとうございました。
bionさんが言われた〝地続きの〟という言葉が本当にしっくりきます。母たちのようにセリフや出番は少なくとも、食卓でのレミのお父さんの嗚咽やレオを抱きしめる兄の動作などが、じゅうぶんに起きたことのかなしみを伝えていましたね。
すべてにおいて特別な作品でした。
お母さんの演技があまりに切実すぎて・・・。
ずっしりと心に残る作品になりました。
自分のレビューでは、レオに対して厳しいことを書きすぎましたが、実際には、私たち(私?)は、いろんな取り返しのつかない後悔を積み重ねて生きて来たように思います。だから、レオに対して書いたことは自分自身に対して書いたことでもあります。
最後の一文、まさにそう思いました。自身でレビューを書いていてもなんか違う。その答えがbion様の最後の一文。深く頷きました。モヤモヤとは違う表し難い心情。