劇場公開日 2023年7月14日

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CLOSE クロースのレビュー・感想・評価

全129件中、1~20件目を表示

4.0誰にでもある意図的に友達を避けた少年の日々が甦る

2023年7月26日
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悲しい

ルーカス・ドン監督が前作『Girl ガール』に続いて放った作品は、やはり他者との違いに悩み、苦しむ少年たちの葛藤を描いて入るものの、本作の方がより幅広い共感を得るかも知れない。なぜなら、子供の頃、大好きな友達がいたとする。でも、その友達との関係を周囲から奇異な目で見られ、それが嫌で関係を絶ってしまった、なんて経験は誰にでもあるはずだから。

主人公のレオはいつも一緒にいる、暮らしていると言ってもいい親友のレミとの関係を、クラスの女子から『カップルなの?』と聞かれたことが妙に恥ずかしくて、レミとの距離を置き始める。仲間外れになることを恐れて、新しい友達と仲良くし、それまでやってなかったアイスホッケーにもトライしてみる。そして、いつものようにレミの家に泊まっても、同じマットレスで寝ることがなくなった。何となく、あくまで何となくやったことが、果たして、どんな悲劇を引き起こすのか!?

子供だからとは言えない、残酷な仕打ちがもたらす予期せぬ出来事の顛末を描く映画は、やがて、少年らしい結末をレオに与える。その清々しさは半端ないのだが、注目すべきは子供たちを見守る大人たちの眼差しだ。生きていくこの世界には色々が出来事があって、色々な人々が重なり合って成り立っている。そこもまた、本作の視野の広さを象徴している。

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清藤秀人

4.5末長く愛され、観る者の心を揺さぶり続けるであろう一作

2023年6月30日
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少年たちの純真な思いに深く寄り添った傑作だ。舞台はベルギー郊外の自然に包まれた地域。いつも何の躊躇いもなく仲睦まじく戯れる13歳のレオとレミだったが、ある日、その様子をクラスメイトから揶揄されたことでレオの感情には戸惑いが生まれ、つい何となくレミを遠ざけてしまい・・・。ここからの展開に関してはできれば情報を入れずに臨んでほしいところ。何が起こるかは明かさないが、これはある意味、少年が自分の中の本心と切実に向き合おうとする物語であり、その心情を思うといまだに涙がこみ上げてくるほどだ。ドラマを彩る青々とした木々が胸に滲み入るように美しく、農園で収穫される花々の色味は、時として残酷に思えるほど鮮烈。その狭間を駆け抜けていく少年たちの表情と躍動が素晴らしく、脇で支える大人たちの演技にも心酔させられる。このルーカス・ドン監督による長編2作目は、今後、末長く愛され、観る者の心を揺さぶり続けるであろう。

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牛津厚信

3.5自分の自我が目覚める頃の苦い生き様を思い出し何かを感じさせ考えさせ...

2024年12月22日
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悲しい

萌える

自分の自我が目覚める頃の苦い生き様を思い出し何かを感じさせ考えさせずにおられないテーマはズルすぎる。
綺麗な映像で上質な映画だと思いました。

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wamabut

4.0これぞ映画の妙

2024年11月25日
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泣ける

悲しい

中学に入学したレオは兄弟同然に育った親友レミとの仲の良さをからかわれ、冷淡に扱ってしまう。結果、少年にとってやるせない残酷な出来事が起こる。

他人の目を気にしたり、格好つけたりしてそれまで仲の良かった人を雑に扱ったり、傷つけた(傷つけられた)経験は程度の差こそあれ、誰にでもあるのではないかな

そういった戸惑いだとか後悔を、説明セリフ等は極力省き、繊細な演技と演出だけで丁寧に描いている。

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Toc

4.0あいまいなものを抱える勇気

2024年9月1日
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ルーカス・ドン「CLOSE クロース」映画のコピーは「永遠を壊したのは僕」で主人公の少年レオは罪悪感で苦悩するが、本当にその永遠を壊したものはあいまいな感情、あいまいな関係を許さない、家父長性に根ざした男らしさ、女らしさという価値観だという静かな怒りの作品でした。必見の秀作。

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ピンボール

4.5心の棘

2024年9月1日
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泣ける

悲しい

楽しい

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レント

4.0どのようなエンディングで映画を終わらせるのか?そこまでの道筋を子役...

2024年8月17日
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どのようなエンディングで映画を終わらせるのか?そこまでの道筋を子役の名演技で見せるカメラワークが素晴らしい作品。

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ナイン・わんわん

4.0負の感情が連鎖しない

2024年8月14日
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鑑賞方法:映画館

13歳のレオとレミは大親友で、しょっちゅうレオはレミの家に
泊まりにいくほど、家族ぐるみでの仲の良さなのだが、
この二人の仲の良さを学校でからかわれて、
レオがいじめ的な扱いを受けるようになり、
レオは自身を守るために、レミにそっけない態度をとるようになる・・。
レオとレミに「二人はつきあっているの?」と問う早熟の女子や、
いかにも子どもっぽくからかう男子がリアルで、
そこから脱却するために、
レオが行動を変えていくという心理は誰もが理解できるはず。
(こういうことが大人社会でも起きていないかハッとさせられた)

中盤、レオには耐え難いショックな出来事が起きるが、
それでも淡々と日常を過ごしていく姿はどこか痛々しくもあり、
やはり時折見せる後悔の念と、そこに背中を押されたラスト近くの
シーンは猛烈に感動できる。
そして劇場内はすすり泣きの大合唱となった。

特に本作における大人の子どもへの包容力は目を見張るものがあり、
負の感情の連鎖にならないところが本当に素晴らしいと思った。
舞台となっているベルギーの花畑が素晴らしく美しく、
また、映画における画質/画面の色味も素晴らしい。

第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で見事グランプリを
受賞した本作。
確かな傑作であることは間違いない。

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ひでちゃぴん

3.5美しい少年たちと見習いたい大人たち

2024年7月30日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

まずはレミとレオ少年が圧倒的に美しいです。
単純に仲良しの二人を見守っていたい大人とは違い、思春期は繊細で残酷なのを思い出しました。

あとは、大人たちがとても大人なところに感銘を受けました。
クラスでレミの事を語り合う中、コメントした後笑ったクラスメイトに対して、怒りの感情をぶつけるレオに掛けた教師の言葉、またレオを問い詰めない、レミの母親の態度と優しさ。そして赦しの抱擁。

それにしても、A24は幅広いジャンルで外れが無いように思います。

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YOTSUBA

4.5【”僕のせいだ。僕が突き放した・・。”今作は幼馴染の少年二人が周囲からの揶揄いの声により変遷していく関係性により起きた悲劇と、残された少年が再生していく様を静謐なトーンで描いた作品である。】

2024年6月16日
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泣ける

知的

幸せ

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NOBU

4.0思春期の微妙な距離感がリアル

2024年5月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

親友との仲の良さを同級生にからかわれたことから始まるレオの物語

思春期の頃を思い出す、身近でリアルな話だった。
レミはレオほど周りに溶け込んでいくタイプではなかった。レオはレミがそんな内向的だと思わず、気遣ってあげられなかった。それだけの話。それだけなんだけどそれがとても苦しい。
ここまで大げさではないが、思春期の頃はちょっとすれ違いが多いと思う。
心当たりのある人には刺さる作品。
大人たちがちゃんと大人でよかった。
それがちょっとだけ救い。

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ひとふで

4.0レオが意味ありげにこちらを見つめる本ビジュアルのせいで見るまではサ...

2024年4月5日
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鑑賞方法:VOD

レオが意味ありげにこちらを見つめる本ビジュアルのせいで見るまではサスペンスかと思ってた。

課外教室から帰ってきたら親たちが学校に集められている、そして母親が言葉を詰まらせて…というシーン、レオの悪い予感は感情移入どころではなく自分の体験のようにも思えてしまった。

この映画に出てくる大人たちはみな優しいよね。

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zzzzz

4.5学校がもたらす残酷性

2024年2月1日
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津次郎

4.0近くて遠い僕の“クロース”

2024年1月13日
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レミ、あいつら噂するように僕と君はカップルだったの?仲のいい友達?それとも...君がいなくなった今ではそんなこと、もうどうでもいい気がするよ。そんなささいなことを気にしていた自分自身に腹が立つくらい。サッカーにしか興味のないバカな奴らにからかわれるのが嫌で、僕は君を一方的に突き放した。でもレミ、君は違ったんだね、君がいなくなってやっとそれがわかった気がするよ。あの日、君が学校の日帰り旅行バスに乗らなかった日から、僕の身体の一部がどこかへ消えてしまったんだ。家の仕事を手伝っても、男らしく振る舞おうとはじめたアイスホッケーに打ち込んでも、君の家に泊まったことを思い出して兄貴の寝ているベッドに潜り込んでも、僕の喪失感は埋まらなかった。僕の胸の奥の方で、レミ君の吹くクラリネットの音がずっとずっと鳴り響いているんだ....君のお母さんが不思議がってた、なぜ君が突然○○なんてって。レミの目にそっくりな君のお母さんの目が僕に訴えているんだ。「何か知っているでしょ?」ってね。正直いうと、苦しくて苦しくてしょうがなかった。僕らのことを何も知らないクラスのバカな連中が、レミの○を悼むような詩を書いて、さも同情するような....あんな嘘っぽい態度も許せなかった、僕らの関係が馬鹿にされているみたいでさ。もしかしたら、僕も君に嘘をついて君をわざと突き放したからかもしれないね。アイスホッケーの試合中に骨折した僕は、先生に包帯を巻いてもらいながらいつの間にか泣いていたんだ。涙がどうにも止まらなかったんだ。骨が折れて痛かった?それは違うよレミ、君の心の痛みがあの時本当にわかった気がしたんだ。ごめんよレミ、大切な友達。僕があんな態度をとりさえしなければ、僕と君はずっと友達以上の“クロース”な関係でいられた気がするよ。だからねレミ、僕は君のお母さんに真実を打ち明けることにしたんだ。僕が君を突き放したこと、君のお母さんには知っておいて欲しかったんだ。それでねレミ僕は気が少し楽になったんだ、腕に巻いていたギブスがとれたみたいにさ、へへおかしいだろ。花畑をレミと一緒に駆け抜けたあの夏の日、僕はそれを一生忘れない。でもねレミ、過去を振り返ってばかりはいられないんだ。僕には君の分まで前を向いて生きていく義務がある。しばらくすれば新学期もはじまるしね。じゃあねレミ、近くて遠い僕の“クロース”......

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かなり悪いオヤジ

3.5その言葉が言えるまで・・・罪の意識を乗り越えて、

2023年12月7日
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琥珀糖

4.5タイトルなし

2023年11月28日
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泣ける

主人公役の子、演技すごすぎて引き込まれる

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kanae

3.0名前はレオ

2023年11月18日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

何を伝えたいのかが、わかりにくい映画だった。少年レオとその友達レミのヒューマンドラマ。レオは仲の良いはずのレミとすれ違い、子供ながらに悩まされる。言ってみれば、誰でも一度は経験したことがありそうな話。普通なら仲直りして終わりそうなのに、悩んだまま終わる。

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Bookcorner

4.5怒り、悲しみ、逃避、様々な感情が流れ込んでくる

2023年10月8日
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鑑賞方法:映画館

不安定な感情を表情で伝える、大好きな映画だ。

思ったよりも早く急展開を迎える。
急過ぎて少し冷めてしまったのだが、ここからが本番だった。

寄りで無言のシーンが多いけれど、それに耐えうる演技もさることながら、そこに至るまでの経緯と状況から登場人物の心情を読み取ろうとすることで、全く退屈にならない。

それと同時に目線がこちらを向くショットなど、観客側にも感情が流れ込んでくる。

その感情も単純なものではなく、だれもが抱いたことがあるだろう複雑な感情で、言葉に出すのはとても勇気がいるもの。

それがこどもによってより強く感じられる。

子供から大人への成長も描いているが、仕事やスポーツなど、状況からもサポートとしてバランスよく表現されている。心なしか、顔つきも大人っぽくなっている気がする。

ラストシーンも、わかりやすいがとてもスッキリとする終わり方だった。
こころなしか、様々なシーンが『怪物』とも重なる。

2023年劇場鑑賞94本目

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ひでぼー

3.512歳が背負ったもの

2023年9月15日
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かばこ

4.0普遍的な青春ドラマ

2023年9月15日
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悲しい

知的

 いわゆるLGBTQをモティーフにした作品であるが、それ以上に普遍的なメロドラマとして興味深く鑑賞することができた。

 この年頃の子供たちは、社会や学校といった周囲の環境にどうコミットし、そこでどうやって自己を確立させていくか、悩んだり戸惑ったりする大変難しい時期にいるように思う。本作はそのあたりの当事者の心理をよく捉えていると思った。

 レオとレミは幼い頃から本当の兄弟のように一緒に過ごしてきた仲の良い幼馴染である。そんな二人は、中学に入ると周囲から奇異の目で見られるようになる。レオはそれを気にして次第にレミとの間に距離を置くようになってしまう。その結果、悲劇的な事件が起きてしまう。

 よくある話といえばそうなのだが、それをここまで深く掘り下げて描いて見せた所に脱帽してしまう。

 映画を観る限り、二人が実際にゲイだったとは言い難い。確かに毎晩のように同じベッドに寝ていたが、まだ二次性徴が始まるか始まらないかの年頃ということもあり、互いに性的な目では見ていなかったように思う。しかし、当事者はそうでも、周囲は色々と邪推してしまう。

 もう少し周囲の家族や教師がケアしてあげれば…という気がした。本作はレオとレミの閉じた世界の中でドラマが展開されるため、そのあたりがどうだったのかよく分からないが、おそらく誰かに相談していれば”ああいう悲劇”は起こらなかったかもしれない。

 尚、タイトルの「CLOSE」は”関係や距離が近い”という意味もあるが、”閉じた”という意味もある。前者はもちろんレオとレミの関係を示しているが、後者は彼らの狭い閉じた世界を意味しているような気がした。

 映画は中盤の”悲劇”を起点にして、レミを遠ざけてしまったレオの後悔と罪の意識に焦点が当てられていくようになる。悲しい現実を受け入れられないレオの心情を大変丁寧に描写していて見応えを感じた。ただ、この丁寧さがテンポを若干鈍らせてしまったという印象も持った。重苦しいトーンが続くので、この辺りは致し方なしか…。

 演出は基本的に手持ちカメラによるドキュメンタリータッチが貫かれ、アンビバレントな少年たちの心の機微を臨場感たっぷりに捉えている。どことなくダルデンヌ兄弟の作品を彷彿とさせた。
 ただし、レオが演奏会を見に行くシーンは固定カメラで統一されている。レオがレミの母親を直視するカットがロングテイクのズーミングで捉えられており、かなり意味深に編集されていて印象に残った。”見る側”と”見られ側”のスリリングな関係にゾクゾクするような興奮を覚えた。

 他にも、本作にはこうした”見る側”と”見られる側”を意識させるカメラワークが頻出する。その極めつけはラストカットである。レオの視線の先には我々観客がいる…という実に大胆且つ挑発的な幕引きが強烈なインパクトを残す。観終わった後に色々と考えさせられた。
 サスペンスやロマンス、エロティズム、様々なドラマを誘発させる、こうした視覚演出も本作はかなり計算されていて感心させられた。

 また、冒頭の花畑を走る疾走感溢れるカットを筆頭に、本作は横移動のカメラワークも実に素晴らしい。二人並んで自転車を走らせるカット等、画面に程よいメリハリをつけていると思った。

 キャストでは、何と言ってもレオを演じた新人エデン・ダンブリンの佇まいが印象に残った。繊細さをにじませた哀愁漂う面持ちにスターの資質を予感させる。
 レミの母親を演じたエミリー・ドゥケンヌは、ダルデンヌ兄弟の「ロゼッタ」のヒロイン役だったということを後で知って驚いた。今やすっかり母親役を演じるようになったことに時代の流れを感じる。こちらも好演である。

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ありの