CLOSE クロースのレビュー・感想・評価
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誰にでもある意図的に友達を避けた少年の日々が甦る
ルーカス・ドン監督が前作『Girl ガール』に続いて放った作品は、やはり他者との違いに悩み、苦しむ少年たちの葛藤を描いているが、本作の方がより幅広い共感を得るかも知れない。なぜなら、子供の頃、大好きな友達がいたとする。でも、その友達との関係を周囲から奇異な目で見られ、それが嫌で関係を絶ってしまった、なんて経験は誰にでもあるはずだから。
主人公のレオはいつも一緒にいる、暮らしていると言ってもいい親友のレミとの関係を、クラスの女子から『カップルなの?』と聞かれたことが妙に恥ずかしくて、レミとの距離を置き始める。仲間外れになることを恐れて、新しい友達と仲良くし、それまでやってなかったアイスホッケーにもトライしてみる。そして、いつものようにレミの家に泊まっても、同じマットレスで寝ることがなくなった。何となく、あくまで何となくやったことが、果たして、どんな悲劇を引き起こすのか!?
子供だからとは言えない、残酷な仕打ちがもたらす予期せぬ出来事の顛末を描く映画は、やがて、少年らしい結末をレオに与える。その清々しさは半端ないのだが、注目すべきは子供たちを見守る大人たちの眼差しだ。生きていくこの世界には色々が出来事があって、色々な人々が重なり合って成り立っている。そこもまた、本作の視野の広さを象徴している。
末長く愛され、観る者の心を揺さぶり続けるであろう一作
少年たちの純真な思いに深く寄り添った傑作だ。舞台はベルギー郊外の自然に包まれた地域。いつも何の躊躇いもなく仲睦まじく戯れる13歳のレオとレミだったが、ある日、その様子をクラスメイトから揶揄されたことでレオの感情には戸惑いが生まれ、つい何となくレミを遠ざけてしまい・・・。ここからの展開に関してはできれば情報を入れずに臨んでほしいところ。何が起こるかは明かさないが、これはある意味、少年が自分の中の本心と切実に向き合おうとする物語であり、その心情を思うといまだに涙がこみ上げてくるほどだ。ドラマを彩る青々とした木々が胸に滲み入るように美しく、農園で収穫される花々の色味は、時として残酷に思えるほど鮮烈。その狭間を駆け抜けていく少年たちの表情と躍動が素晴らしく、脇で支える大人たちの演技にも心酔させられる。このルーカス・ドン監督による長編2作目は、今後、末長く愛され、観る者の心を揺さぶり続けるであろう。
クロースフレンド 仲良し 親友
美少年の親友ふたりを主人公にしてこのテーマは切なすぎた。
死 という最終手段をもって 残された少年の葛藤と切なさを繊細に描く
言葉がみつからないな..
ラスト
振り向いた少年は そこに何を見たんだろう 見つけたんだろう 見つけるんだろう
再生が描かれない悲劇映画
いじめですらない
行けばいい、慣れた家でしょ
序盤は綺麗な風景に似つかわしい仲良しコンビの所作に、目を細める思いで眺めてられた。
学校に通いだしてから、表現し難い緊張感に少し息苦しさを覚え、中盤以降は更に上まるヒリつく空気感と喪失感で、情緒乱されるかんかく……。
誰にでも有る事だと思うし、誰を責めるべきでもない、どうしようもないやるせなさがズシリとのしかかる…。
しばらく引きずりそうな寂寥感をうえつけられた。
嫌な作品ではない、かといって面白い作品でもない、良作ではある。
なんて切ない・・・
これ、観てる辛かった。
いつも一緒に居る仲の良い男の子二人が、
ある日、学校で「付き合ってるの?」と、からかわれる。
その日を境に二人の間がギクシャクし始める
俺にもこういう経験あるのです
いつも二人で行動してた友人がいて、
正にこうやってからかわれて、ぎくしゃくしてしまった
映画ではこの結果、とても辛い事が起こってしまうのだが
その後の演出がとても上手い!
何気ない日常が淡々と続いていくんだけど、
時折見せる悲しみにくれる姿の痛々しいこと!
最後まで自責の念に苦しんでるまま終わってしまう残酷さ!
あるシーンがある映画のラスト・シーンに酷似していた
その映画とは是枝裕和監督作品「怪物」
絶対に是枝裕和はこの映画を観て、あのシーンを撮ったと思う!
自然の良さ
特別なセットや人物はいない。
みんなどこにでも居るようなキャラクター、関係性。
説明的なセリフも一切なく、会話のテンポも役者に任せてる感じがして良い。言葉はいらないというかのようにレオ役の表情をフル活用してる。涙の流し方が上手すぎました、、。
人間関係がテーマだと思うが、自然を含ませた映像、これが何よりもいい。
花の中を駆けるシーン。花の美しさは色褪せない。
レオが竹林の中で手にした棒。バットとか攻撃性の高いものでないのは彼に敵意がないからであろう。
行く宛てのない感情が表出した結果を表すのに相応しいと思った。
このか細い体に背負わせるにはあまりにも重過ぎる
映画としてはとても良かった。
会話の中の感情の流れをゆっくり丁寧に見せてくれて、
感情移入出来るように作られていたと思うのだけど、
その分レオの背負ったものが重過ぎてとてもしんどい
映画だった。
もちろん自分にこんな経験はないのだけど、
一番大切なものが分かってるはずなのに、
上手く立ち回れず、一つの言葉で傷つき過敏に反応し
友だちを遠ざけてしまう事なんか誰にでもある事だと
思う。
そして、その友情を誰かで埋めようとするけど
全然埋める事が出来ず大切さに気付くことなんてよくある
話で、だけどレオは気付いた時には独りぼっち。
何をしても、忘れようとガムシャラに動いても
もう後戻りは出来ないこの切なさが
最後まで続き、映画が終わってもラストのレオの顔を
思い出し生きてる限りこれを背負っていくのかと思うと
辛くて仕方なかった。
ただ映画自体は辛くて暗く描くのではなくて、
優しい色彩とどこか温かくレオを見守るような
目線で描かれており美しい映画だなと思いました。
これぞ映画の妙
あいまいなものを抱える勇気
心の棘
幼馴染のレオとレミは家族ぐるみの付き合いで、まるで兄弟のように仲が良く何をするのもいつも一緒だった。二人にとってそれは当たり前のことの様に思われた。中学に入学した二人のそんな姿を見た同級生からカップルなのかと聞かれ、からかわれるまでは。
この年頃の子供は何かと繊細で、また人生経験も浅いことから周囲の目がやたらと気になる。自分が女の子みたいだとからかわれたレオ、たわいもない子供の意地悪でもそれを深刻に受け止めてしまう。
そのせいでレミと距離を置くようになり、他の同級生たちとつるむようになったレオの変化についていけずさみしさを募らせるレミ。いつも二人一緒が当たり前だった、それなのにレオは自分を置いて行った。ショックを抑えきれないレミはレオと激しい喧嘩をしてしまう。
それからしばらくして遠足の日にレミの姿はなかった。何かせわしなく連絡を取り合う教師たちの姿を見て不安を募らせるレオ。学校には保護者達が迎えに来ているという。レオの不安は現実のものとなった。
それは誰のせいでもない不幸な出来事だった。でもレオはその事実をなかなか受け入れられない。どんなにホッケーの練習に没頭しようとも心から離れない。それはまるで心に刺さった棘のようにレオの心に居座り続け彼に痛みを与えた。
練習中に腕を骨折して治療を受けるレオは思わず泣き出してしまう。父は骨折したんだから痛くて当然だと慰める。でも痛いのは腕じゃない、心が痛いんだ。
レオは生涯この罪悪感を背負って生きていくのだろう。たとえレミの母親が許してくれても、けして誰のせいでもない不幸な出来事だったと言われても彼は自分を許せないだろう。
心に刺さった棘が年月を経て風化し、尖った先端が丸みを帯びてきて痛みが和らいでいってもそれは彼の心に居座り続け、何かのきっかけで不意に思い出される。そして棘はやがては粉々の塵となり彼の記憶の中に散らばり小さく見えなくなってもかすかな記憶として居続けるだろう、幼き頃の親友への思いとして。
未熟さゆえに何気ない言動で相手を傷つけてしまった、誰もが有するであろうそんな幼き頃の苦い記憶を思い出させてくれるノスタルジックな作品。少年期の繊細な心の揺れ動きを見事に描いた。
「コット 始まりの夏」に引き続きこちらも演技経験の少ない新人俳優による素晴らしい作品だった。光の演出も素晴らしく、花畑を疾走する二人の少年の姿が美しかった。本作も劇場鑑賞を逃したことが悔やまれた。
負の感情が連鎖しない
13歳のレオとレミは大親友で、しょっちゅうレオはレミの家に
泊まりにいくほど、家族ぐるみでの仲の良さなのだが、
この二人の仲の良さを学校でからかわれて、
レオがいじめ的な扱いを受けるようになり、
レオは自身を守るために、レミにそっけない態度をとるようになる・・。
レオとレミに「二人はつきあっているの?」と問う早熟の女子や、
いかにも子どもっぽくからかう男子がリアルで、
そこから脱却するために、
レオが行動を変えていくという心理は誰もが理解できるはず。
(こういうことが大人社会でも起きていないかハッとさせられた)
中盤、レオには耐え難いショックな出来事が起きるが、
それでも淡々と日常を過ごしていく姿はどこか痛々しくもあり、
やはり時折見せる後悔の念と、そこに背中を押されたラスト近くの
シーンは猛烈に感動できる。
そして劇場内はすすり泣きの大合唱となった。
特に本作における大人の子どもへの包容力は目を見張るものがあり、
負の感情の連鎖にならないところが本当に素晴らしいと思った。
舞台となっているベルギーの花畑が素晴らしく美しく、
また、映画における画質/画面の色味も素晴らしい。
第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で見事グランプリを
受賞した本作。
確かな傑作であることは間違いない。
美しい少年たちと見習いたい大人たち
【”僕のせいだ。僕が突き放した・・。”今作は幼馴染の少年二人が周囲からの揶揄いの声により変遷していく関係性により起きた悲劇と、残された少年が再生していく様を静謐なトーンで描いた作品である。】
■花を育てる農家の息子レオ(エデン・ダンブリン)と彼と幼馴染のレミ(グスタフ・ドゥ・ヴァール)は、いつも一緒に過ごす仲良しだ。
二人は、中学に入学し同じクラスになるが、二人の親密な姿を見て、同級生達から悪意なき揶揄いの言葉を掛けられ、レオは徐々にレミと距離を置くようになっていく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤、二人は仲良くレオの家の花畑を駆けまわっている。中学校に行き時も、並んで自転車に乗って登校し、クラスでも肩を並べている事が多い。
だが、レオはオトコオンナなどと揶揄われて、徐々にレミと距離を置いて行くようになる。
ー 見ていると、レオはアイスホッケーチームに入る活発な男の子で、レミは楽器演奏を楽しむ控えめな性格に見える。
レミは揶揄われても気にしないが、レオが徐々に自分から離れて行く事を悲しむが如く、静に涙を流すのである。-
・ある日、レオは一人で自転車で学校に来るが、レミにそのことを激しく追及され喧嘩になってしまう。
ー レミの方がより繊細な心を持っているのだな、と思うし、彼のレオを想う気持ちが分かるシーンでもある。-
・レミが学校に来ない日に、レオが女性教師にレミのことを尋ねるシーン。”あの子は・・、もういないの・・。”
ー レミの死を知ってもレオは懸命に冷静な振りをする。
そして、レミの家にも行きレミの家族と卓を囲んでいる。
レミの兄が未来の夢を語るシーンで、その隣に座っていた父親はその言葉を聞き、目を抑えて肩を震わせて嗚咽するシーンでは涙が出そうになる。父親がレミの未来はもうない事を悲しむ気持ちが、伝わってくるからである。-
・レオは、全てを忘れるようにアイスホッケーの激しい練習を続けるが、ある日左手首を骨折してしまう。そして、包帯を巻いて貰っている時に流す涙。
ー 医者は”骨折したら、痛いよね。”と言って慰めるが、あの涙は手首の痛みの涙ではなく、心の痛みの涙である事は明白である。-
・更にレオはバスに乗って、レミの母が勤める病院へ行く。
そしてレミの母が運転する車の助手席に乗った時に、漸くレオは堪えていた慚愧の念を口にするのである。
ー ”僕のせいだ。僕が突き放した・・。”と言って涙を流すレオ。
一度はレミの母は”降りて。”と言うが、森の奥に駆けていくレオを追い掛けて抱きしめるのである。実に切ないシーンだが、レミの母の赦しの心に再び涙が出そうになる。-
<時は流れ、レオの左手首のギブスが取り外される。そして、レオはレミと遊んだ花畑を走って止まり、振り返ってあの印象的な大きな瞳が映されて、シーンは暗転する。
今作は、今作は幼馴染の少年二人が周囲からの揶揄いの声により変遷していく関係性により起きた悲劇とそこから残された少年が、徐々に再生していく様を静謐なトーンで描いた作品なのである。>
思春期の微妙な距離感がリアル
レオが意味ありげにこちらを見つめる本ビジュアルのせいで見るまではサ...
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