「どうするのが良いのか、答えが出せない」聖地には蜘蛛が巣を張る ニコラスさんの映画レビュー(感想・評価)
どうするのが良いのか、答えが出せない
ボーダーに引き続き、この監督さんの作風なんだろうか、重苦しい雰囲気の中ストーリーが展開されていく。
実話ベースで、実際の事件は2001年ころに起きたようだが、その後にIS(イスラム国)創設などもあったから、時代は移り変わってもイスラム経典の理解のしようによっては今作のような事件は今でも起こり得るのでしょうね。
日本で暮らしている私には人を殺める事自体が重大な犯罪だから動機はどうあれ重い罰が課されるのは免れないと考えるのですが、子供の頃から教え込まれれば全く違った感情が生まれるのでしょうね。
周りの大人達は「聖戦」だから、実行者は神の手だと崇め奉る。だから息子のアリは父の背中をまるで英雄を見るかのような眼差しで追いかける。
かくして神の手の後継者として選ばれたアリがキラキラ輝く瞳で笑みを浮かべながら父の殺害シーンを語る様に言いようのない恐怖を覚え、寒気がしてしまいました。
でも、世の中には自分とは全く異なる考え方があり、正義とはなんだろうかなんて考えてしまうと、答えが見つけられなくなってしまうのでした。
言葉を発することができずにスクリーンを後にした一日でした。
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