「想定を超える感動」君を想い、バスに乗る ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
想定を超える感動
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1952年、悲しげなカップルが「できるだけ北へ」引っ越すことを決める。しかしその60〜70年後、愛する妻は亡くなり、ヨボヨボのお爺さん一人になる。彼は地図を片手に細かい計画を立て、小さいスーツケースひとつを片手に敬老パスを使って2人の故郷を訪ねることにした。…という情報だけ与えられて、観客は彼のバス旅行を見守る。
バスがエンストしたり、ひったくりに遭ったり、寝過ごして宿泊先がない時に親切なウクライナ人宅に寄せてもらったり、バスの車内で差別主義者にケンカを売られたり、バス停でドンチャン騒ぎをしている若者と合唱したり、イングランドで使えない敬老バスだったので冷酷な運転手にバスを降ろされたり、といったハプニングを、その場に居合わせた誰かがSNSに投稿し、ゴールに近づくに連れて有名な名物お爺さんになっていく。
一方で、癌の告知を夫婦で聞いたこと、クリスマスは子供の命日であること、その悲しみから逃れるため北へ越したこと、癌なのは妻でなく自分であることが徐々に明らかになる。
残された命である自分が生きているうちに最後に出来ること。
彼の目的は単に思い出をたどる旅ではなく、故郷の海への妻の散骨と、残された自分による初めての墓参りで、小さなスーツケースにはそのための写真とお骨が入っていたのだった。
伏線が回収されるのは気持ちがいい。
ティモシー・スポールがヨボヨボすぎる!
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