「限定的な設定にタイムループの魅力がつまっている」リバー、流れないでよ kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
限定的な設定にタイムループの魅力がつまっている
タイムループものの魅力って、同じ時間をループしながら少しずつ違う行動を取っていくことでどんな違いに発展していくのかを楽しむことにある気がする。
温泉旅館で発生したタイムループ。しかもたった2分。タイムループしてると言っても何もできやしない。このとっても限定的な設定をうまく活かしていた。2分で元に戻るといってもいつ戻るかわからないから、感情的にも物理的にも破壊的になってはダメ。途中そう諭した男の意見は正しい。でも、人を傷つけたり、普段できないことをしてしまう人の発想もわからないでもない。そんなトラブルも発生しつつ、うまく結末に到着する流れはさすが上田誠の脚本だ。
地域限定のタイムループってのもなかなか斬新。無理のある設定なんだけど、「時空が歪んでいる」で押し切ってしまうのは少し笑えた。たしかにロケの関係で生じてしまう雪なんかの環境変化は「時空の歪み」とでも言わないと違和感しかなくなってしまうもんな。そういう意味でもとても舞台っぽい設定と話だ。ただ、実際に舞台化するには苦労しそう。2分ごとに初期位置に戻る演出が相当難しい気がする。
いずれにしても相当楽しかった。もちろんそもそもタイムリープものが好きだから加点してしている部分もある。最近日本映画でタイムループものの傑作が続いている。嬉しい限りだ。低予算の中、限定的なシチュエーションでタイムループを描く傾向。さぁ、さらなる傑作が生まれるのか?楽しみだ。
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