「これで映画が成立することへの驚き」リバー、流れないでよ たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
これで映画が成立することへの驚き
「サマータイムマシン・ブルース」の劇団ヨーロッパ企画主催上田誠が原案・脚本を手掛けたまたしてもタイムループコメディである。
86分のほぼ4分の3くらいが2分間のループなので正確に数えたわけではないが少なくとも30回はきっちり2分間のワンテイク長回しのお芝居が繰り返されるという常軌を逸した、上田誠が「これまでに未だなかったジャンルの映画を探した」というように、思い付きはしてもあほらしくて誰も実際には映画にすることは無かったはずのとんでもムービーなのだ。
あまりにも手持ちドリーの映像を繰り返し繰り返し見たものだから「レディ・プレイヤー1」を3Dで観た時以来の激しい映画酔いをしてしまって後半はすごく気持ち悪くなり劇中の人々同様に「早く正常に戻ってくれ!」と祈ってしまったが、ちょうど限界のあたりでループの呪縛が解け、フィックスのカット割りがとてつもなくありがたく神々しくさえ感じられたことよ。
主役の藤谷理子は劇団ヨーロッパ17年ぶりの新入団員だそうで、舞台となった京都・貴船の割烹旅館は彼女の実家だというのだから、彼女無くしてこの馬鹿げたロケは完遂できなかったであろうと思われる。
私も関西なので、吉本新喜劇を毎週見て育った関西人が共通のアイデンティティとして持っているこの独特の「小劇団気質」をちょっと誇らしくも感じる今日この頃なのだ。
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