「愛が足りない」劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト) インドさんの映画レビュー(感想・評価)
愛が足りない
SLUM DUNKの様に、脚本、監督は北条先生にやって頂き創って欲しかった。
キャラクター
いつものメンバーは置いておいて、ヒロインは原作に忠実といっていい設定とデザイン。
及第点ではなかろうか。
ストーリー
問題はここだと思う。
まあベタで悪くないが、次作も観たい!心を震わせるストーリー!!とはならなかった。
最後の墓場のシーンは花束を抱えてハットとコートという出で立ちに義足で歩く効果音にグッときたが全般的にスクリーンに引き込まれるような事はなかった。
獠と香の本当の心の繋がりを描いたり、獠と海原の過去を踏まえた新しい描写や伏線の張り方。
依頼時は身体目当てのようにおちゃらけている冴羽に、最終的に依頼人が惚れてしまうが、香との間に自分が入る隙間のない事を感じとるシーン。
ウイスキーのオンザロックが夕立で水割りになってしまったり、スカートをまくって女の股からのショット。防弾ガラス越しのキス。シリアスで哀しげな表情になった獠の臭すぎるハードボイルド描写。
最後は獠と香の二人に心を捕まれスクリーンに引き込まれているところに、セリフに被せながら静止画で流れるGet Wild
シティーハンターの魅力はこのような部分にあると思うが、それらを描いていこうという余裕が制作陣に感じられず、最終章の始まりということに縛られすぎてしまい、エンジェルダストというテーマしか描けていなかった。
それも最後に海坊主が都度解説する始末。
これは、セックスで「気持ちいい?」と何回も聞く男の様で冷め切ってしまった。
ヒロインも殺すし。冴羽商事は女性へのアフターケア万全じゃなかったのか?原作読んだことあるのか?
「今日からシティーハンター」の方が断然面白いと思う。その理由は原作への愛だと思う。
今作の映画より、錦ソクラさんの方が原作を心底愛しており熟読し作者の真意や感覚を感じ取っている様に思える。
今映画の制作陣はシティーハンターへの愛が足りないように思える。愛しているからこその幸せや苦しみを経たうえで生み出された作品とは感じなかった。
原作やアニメが好きなので観たし次作も必ず観るが、自分の子供や原作の世代ではない友人に勧めることはない作品だった。
原作を愛しているので、一応次回作に期待したい。