「「知る」より「考えるきっかけ」になる作品。」スギメ 吹雪まんじゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
「知る」より「考えるきっかけ」になる作品。
国立科学博物館が企画した、3万年以上前に祖先たちがどのように日本列島へ渡ってきたのかを再現する「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」を映像化したドキュメンタリー作品。
定期的に科博へ足を運ぶ私ですが、この作品は知らなかった…。つい先日初めてポスターを発見しましたが、あまり日本館を見ない(狭くて息苦しくなってしまうので😓)私にとっては、新たな発見がありそうだと思い早速鑑賞。
思ってたのと少し違ったかなぁ。日本民族のルーツを知ることができる作品かと思っていたのですが、台湾から与那国島までの過酷な航海を収めたドキュメンタリーであって、民族の文化や人種の特徴などについてはあまり説明はありませんでした。良くも悪くもテレビ的編集と演出。スタッフさん、研究に携わった方々は本当に素晴らしい成果を挙げたと思います。しかし、本作を観る側と観せる側との間に感覚の齟齬が生まれてしまっている気がします。
まぁ、そもそも3万年も前の文化を解説するには資料が足りなかったのかも知れません。それでも、石器の紹介や船の製作過程、実際に航海する様子には感銘を受けました。このプロジェクトはゴールが明確なので、物事がテンポよく進みますが、古代の祖先たちが何百年、何千年という時間をかけて航海技術を習得したと考えると胸が熱くなります。
本作は知的欲求を満足させる作品というよりは、古代文明を考えるきっかけになる作品という位置づけの方が正しいかも。そういう意味では子供たちには是非見て欲しい作品ですね。
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