「13世紀半ばのボヘミア王国、王の支配の限界から領主間で争いは絶えな...」マルケータ・ラザロヴァー りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
13世紀半ばのボヘミア王国、王の支配の限界から領主間で争いは絶えな...
13世紀半ばのボヘミア王国、王の支配の限界から領主間で争いは絶えない時代。
ある冬の日、ロハーチェックの領主コズリーク(ヨゼフ・ケムル)の息子ミコラーシュ(フランチシェク・ヴェレツキー)らは、遠征中の伯爵一行を襲撃し、金品を強奪するとともに伯爵の息子クリスティアン(ヴラスチミル・ハラペス)を獲らまえる。
根底にあるのは、キリスト教を奉ずる王国と伝統的宗教を重んじる領主間の対立があった。
一方、コズリークたちは隣家の領主ラザル(ミハウ・コジュフ)との対立も激しく、ミコラーシュはラザルの領国を襲撃し、マルケータ(マグダ・ヴァーシャーリオヴァー)を攫ってくる。
マルケータは、将来、修道女になることが決まっていた身であった・・・
といったところからはじまる物語で、このほか、コズリークの息子で隻腕?者の勇士アダム(イヴァン・パルーフ)、好色な長姉アレクサンドラ(パヴラ・ポラーシュコヴァー)というのが主な登場人物。
王族vs.領主、キリスト教vs.非キリスト教の対立の中に、ミコラーシュとマルケータの恋愛、クリスティアンとアレクサンドラの恋愛、アダムとアレクサンドラの禁忌愛などの要素が絡んできます。
と、あらすじを書くと、一大叙事詩、わかりやすい壮大な歴史活劇のようにみえるのだけれど、日本人的感覚からは非常にわかりづらいものとなっています。
いくつか要因はあるのだが、まず、映画が始まってしばらく(30分近く)は、誰が誰かがわからない。
見慣れない俳優たちがモノクロ画面で映し出され、セリフも画面外から話されることが多く、しゃべっているのが誰か、誰について話しているのかがわからないからです。
さらに、エピソードごとに小見出し的な字幕が出るのですが、これによって場面転換はわかるのだけれど、途中が省略されており、前エピソードから全く別のエピソードに切り替わるので、ちょっとついていけないかも。
小見出し技法は、絵物語、古典物語の手法なので、本国ではこの物語は割とよく知られた物語なのかもしれません。
こちらは、1時間近くは訳がわからないまま見続けたわけですが、とにかく画面がものすごい、その圧力・迫力に押されたわけです。
(とはいえ、あまりの圧力に思考停止状態となり、寝落ちの可能性もありますが・・・)
戦闘シーン、暴力シーンも連続するのですが、最終盤の戦闘シーンは冒頭の伯爵襲撃のエピソードとのクロスカッティングで、物語自体が大きなうねりを持っていたことがよくわかります。
物語がわかった上で、1エピソードずつ好みのエピソードも観ると、とてつもなく面白く感じるかもしれないなぁ、と感じた次第です。