戦争と女の顔のレビュー・感想・評価
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「戦争」の悲惨さが伝わってこない
もっと、戦争の悲劇を糾弾するような映画なのかと思っていたら、子供ができなくなった自分の代わりに友人に子供を生ませようとする女性と、彼女に好意を寄せるが故にその願いを叶えようとするもう一人の女性の物語であり、これでは、特に「戦争」を絡めなくても(子供を産めなくなったり、子供が死んでしまった原因が事故や病気であっても)、話が成り立ってしまうのではないか?
戦争の悲惨さや残酷さが身に染みて感じられないのは、一つには、彼女たちが戦場で従軍している様子が描かれないからだろうが、それにもまして、「戦争さえなかったら、幸せな人生を送っていたはずなのに」といった描写や台詞が欠落しているからだろう。
戦争によって心身ともに傷ついた女性と、その後遺症を描くのであれば、もっと別の切り口があったのではないだろうか?
戦争は色々な禍根を残す
発作でレズビアンの子供をなくすところから始まり、その腹いせでもないかもしれないが、子供を生ませようとしたり…。戦争でとくするのは、政治家だけ。なぜ、天皇や政治家の為に命を捧げなければならないのか…。色々考えさせられる内容でした。
女性の視点から旧ソ連と戦争の不条理を描いた作品。
まあ、カンヌで受けそうな映画ではある。
確かに、旧ソ連で人権が保証されたことは、女性に限らず!ないに等しいだろう。
また、製作はウクライナ紛争以前のことかもしれないが、昨今の情勢もあり、タイムリーに公開したい意図もあるだろう。
映画としてみると、二人の女性イーヤとマーシャの関係性が前半から後半あたりまで描かれ、ラストにさしかかって、医者の息子がマーシャを両親に合わせ、結婚したいと伝え、マーシャは母親から拒絶されることになるが、さすがにストーリー展開として遅すぎるのではないだろうか。
言いたいことはわかるのだが、もう少し、テンポよく、分かりやすく描いてほしい。
淡々と描くスタイルはいいのだが、視点がかなりぼやけてしまうように思う。尺も少し長すぎる。
ただ、カンヌで賞を取ったというのは、旧ソ連の空気感をよく再現しているのかもしれない。
ぜひ、劇場でお確かめください。
戦争と女たちの哀しみ
とてもよかった。映像に詩情、哀しい美しさがある。第2次世界大戦、終戦直後の1945年、荒廃したレニングラード の街の病院で、PTSDを抱えながら看護師として働いていたイーヤを巡る女たちの哀しみ。
後遺症で固まってしまうイーヤ。戦争妻だったマーシャ。特権階級のサーシャ。安楽死を指示する病院長。
生き残る術
1945年のレニングラードで看護師をする戦争で壊れた2人の女性の話。
時々発作でフリーズするのっぽな女性と、復員してきた妊娠できない体の戦友マーシャが肩を寄せて暮らし始める物語。
パーシュカのことで負い目を感じるイーヤと、時々鼻血を流して倒れるマーシャ。
原作は知らず、静かな悲哀の物語なのかと思っていたら、奇跡は起きないことを告げられてから、確かに悲哀ではあるけれど、なんだかドロドロとした感じに…。
サーシャの実家のシーンでは戦争の愚かさや悲壮感がひしひしと伝わって来て、胸が詰まる感じになったけど、ジーンが変わった直後ののマーシャの表情は(゜д゜;)
大人しいながらも力強さを感じるイーヤと不安定なマーシャ。
この結末の先に幸せがあるのか想像もつかないけれど、穏やかな未来であって欲しいと願わずにはいられないやり切れなさを感じた。
それにしても、パーシュカ君の演技はある程度おまかせの成り行きですかね…天才子役過ぎでしょう!
私の理解力を超えている。
私は昭和三十年生まれで、第二次世界大戦終了後十年経って生まれた。戦争体験も敗戦後の混乱期も体験していない。
ソ連は第二次世界大戦に勝利したが、ヒトラードイツとの戦闘で多大な犠牲を被り、戦後も独裁者スターリンが支配する監視国家であった。
主人公である二人の密接な関係は、同じ修羅場をくぐった戦友なのか、それともレズビアンなのか、よく理解が出来ない。特殊な状況を経験したものでなければ、起こり得ない関係と思われる。
正直、私の理解力を超えているし、また、私が好む映画の作り方をしていない。本当のところ、何を言いたいのかわからない。戦争が引き起こす悲劇らしいことはわかるのだけれど。
原作はノーベル文学賞の受賞作である。原作はもっと分かりやすいのではないか。この分かりにくさは、原作を脚色した結果のように感じる。まぁ、原作を読んでみないとなんとも言えない。
しかし、イーヤの背の高いこと。190センチはあるだろうか。こんなに背が高くては女優としてやって行けるのだろうか。映画なら撮影の仕方でごまかすこともできるが、舞台では無理だろう。余計な心配だけれど。
なんて言うか、こんなの初めて。 いろんな要素が入っていて、てんこ盛...
なんて言うか、こんなの初めて。
いろんな要素が入っていて、てんこ盛り。
迷っている人がいたら、勧めたい映画。
PTSDを抱えた女を表す「緑」と「赤」の色彩
レニングラードの病院で看護師として働く長身女性イーヤが映るも、耳障りなノイズが鳴り響いた途端、彼女の瞳孔が開き、立ったまま発作を起こす…この冒頭のシーンでもう惹きつけられてしまった。
本作では終始、ストーリーを盛り上げるための劇伴が流れない。だからこそ、イーヤが発作を起こした際のノイズがより強調され、観る者の心をかき乱す。
イーヤの知人女性マーシャ。戦地に赴いていた間、息子をイーヤに預けていたが、発作が原因でその子を死なせてしまう。しかしマーシャは、息子の死を悲しまないばかりかイーヤを責めない。
PTSDを抱えた2人の女が安息の生活を求めるも、その道はあまりにも困難。それは「緑」と「赤」という作品全体を覆う色彩でも露わとなる。
ウクライナ侵攻により、期せずして注目されるロシア。しかし本作のプロデューサー及び監督は戦争反対を高らかに叫ぶ。
ロシアに抵抗するウクライナ軍には女性兵もいるという。ただ性別問わず、PTSDに苦しむ事になる者は増えるだろう。
5月公開の『チェルノブイリ1986』といい、今、ロシア映画が熱い。
悲しい歴史を熟知してても、またやる?
勝ったはずの戦争も、男も女も取り返しようのない、ぶっ壊れた人生を強いる。というこの上なく不幸な「戦争のありさま」を2019年のカンヌで高く評価された作品は、ロシア映画。3年経った2022年のロシアは?
英語原題は「ノッポ」という意味。主人公はそう呼ばれ続ける。
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