劇場公開日 2022年7月15日

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「赤、緑、赤、緑。。」戦争と女の顔 せつこんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5赤、緑、赤、緑。。

2022年9月19日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

単純

第二次世界大戦後のソ連で戦地でのPTSDに悩まされながらも希望を見出そうともがく2人の女性の話。

序盤は2人の主人公の関係性や状況把握に一生懸命であまり気になってなかったけど、次第に赤と緑の色彩がたくさん使われていることに気がつく。緑がイーヤの色で赤がマーシャの色で次第にその色が混じりあったり違う色を身につけ始めたりするのは、映画でよくあるお決まりの使い方。

その2色、部屋や服にほとんどドロッドロとも言えるぐらい原色で使われているのに、一歩外に出るとその色が完全に隠される。この感じが傍から見たら普通に暮らしているように見えても、内部では血みどろの苦しみを抱えてるように見えて悲しかった。

そして女性兵士の本当の意味が明かされ、ある女性が言う「助けてあげる」の言葉の後に、外にも赤と緑が表れる。それが不穏さと開放感の入り交じった赤と緑の移り変わりでこれもまた秀逸。

あと印象的だったのはシャワー室のシーン。全裸の女性達が体を無心で洗うのがちゃんと映されてるのだけど、綺麗な女性のシャワーシーンというより、どちらかというと労働後に無心で体を洗う男のシャワーシーンに近い。女達だって働いて汚れた体を男たちの知らないところで無心で洗い流している。

今作、マーシャは、希望を見つけるためにもがく過程の話。イーヤは初めからマーシャが希望で、どうにかマーシャのためになろうともがく話。お互い傷ついてるのにもっと傷つけ合うからしんどい。「ハンドメイズテイル」と同じようなことしてるえぐいシーンもあったし。

せつこん