「クセ強系エンタメアクションファミリー映画」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
クセ強系エンタメアクションファミリー映画
ふつーに面白かったです。
ふつーに。
ただね、アカデミー作品賞取るほどかと言われれば
「それほどか?」
…というのが本音です。
家族の確執を描いたマルチバース映画なんですけど、表現があまりに回りくどすぎるし。
その割にはセリフで表現しすぎているし、スマートじゃないんですよ。
言いたい事、見せたい事は分かる。
けどいくらなんでも長すぎるし、表現も癖が強すぎる。
だから映画的快楽を得ながらも、同時にストレスも感じるという。
監督はこう話してます。
「湯浅政明や今敏、宮崎駿などといった、日本のアニメ監督からインスピレーションを受けて作った」と。
確かにパロディの宝庫で、全体のイメージとしては今敏監督の「パプリカ」を彷彿とさせる。
元ネタが分かるのは楽しい。
けどいくらなんでも要素を詰め込みすぎてて、「ごった煮」感がクドイ。
良いとこを見つけながらも、キライなとこも目に付くという。
今までにない不思議なバランスの映画でした。
可能性の未来を様々な表現で示唆してくれる映画は好きなんです。
好きなんだけど、両手を上げて喜べる程全面的には推せないのがもどかしい。
そんな作品。
100分くらいに纏めてたら評価は上がったかもしれない。
ただひとつ確実に言えるのは。
俳優陣の演技の素晴らしさ、これに尽きます。
どのキャスティングも素晴らしいのですが、中でもキー・ホイ・クァンはベストアクトでした。
非常に魅力的で多層的なキャラクターを伸び伸びと演じ切ってました。
アカデミー助演男優賞も納得です。
この映画、見て損はしないと思うので、先入観持たずに見る事をお勧めします。
万人向けとは言い難いけど、刺さる人には刺さる。見た後に誰かと感想を語り合いたくなる。そんな映画でした。