「映画界はマルチバースから離れよ」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス ますぞーさんの映画レビュー(感想・評価)
映画界はマルチバースから離れよ
多元宇宙論(マルチバース)
19世紀のアメリカの哲学者
ウィリアムズ・ジェームズが提唱した
今人類が存在する地球のある宇宙と
同じものが複数に存在しうるという
理論物理学…と言うとわけからん
けれどそこはどーでもよくて
寓話・創作においては昔から
言われている
「選択されなかった方の世界」
「並行世界(パラレルワールド)」
といったところ
MCUではスパイダーマンや
Dr.ストレンジなどで
最近取り上げられることが
増えてきた概念
この概念を
平凡なアメリカで暮らす
アジア人家族の日常にあてこみ
奇想天外な展開を目論んだ今作
どうだったか
…うーん
まぁ話の内容は一発でわかったし
アメリカでも大ヒット
したそうですが正直プロットで
感じたよりは面白く感じませんでした
ノれなかった
ギャグっぽい表現とか
滑ってた印象です
日本人はこういうセカイ系
(と言っていいのかわからんが)
に目が肥えてるからかなぁ
アカデミー賞!?オスカー!?
とんでもないと思います
知らんけど
アメリカで暮らす中華移民系の
オンボロクリーニング屋で
うだつのあがらない旦那
ウェイモンド
介護がかかる父親ゴンゴン
反抗期の娘ジョイと暮らす
中年女性エヴリン
納税控除にかかる書類を
整理中にウェイモンドは
「見てほしい書類(離婚届)」
があるというのも後回し
娘のジョイが
「ガールフレンド」の
ベッキーを紹介しに来ますが
同性カップルを常識外と
とりあわないでいると
ジョイは家を飛び出して
いきました
反抗期の娘にかける言葉も
「太った?」などデリカシー
もなくつまらない日々
その後税務署へ父も連れて
控除の申請に行くと
エレベーターの中で突然
ウェイモンドが豹変
君が世界を救ってくれ!と
ヘッドセットを付けられて
何やらスキャニングを
かけられエレベーターが
開いて面接の反対側に
倉庫があるからそっちへ行け
面接中にこの動作をしろと
メモ書きを渡されます
とウェイモンドに促されます
そしてエレベーターが開くと
ウェイモンドはまた元通り
エヴリンは当然???
となりながらも
結局画面上はエヴリンは
面接に向かったのですが
控除申請したカラオケの
用途をおっかない面接官
ディアドラに詰めらている間
そのメモを見ると
靴を左右逆に履くとか
よくわからない事が
書いてあります
その通りにすると
意識が突然飛んでいき
面接とは反対側にあった
倉庫の中にいる自分と意識が
半々になります
(書いてて意味わからん)
そこで豹変ウェイモンドが
世界を君が救うんだと
まくし立ててきますが
エヴリンは当然意味が分からない
もうわけわかんないんで
先に説明しておくと
人生において選択しなかった
ほうに別の世界(バース)が
複数広がっていてウェイモンドは
別のバースから同じ身体に
移ってきたわけです
これを「バースジャンプ」と
言うのかな?
それをやるには特定の
奇怪な動作がいわゆる
「任意コード実行」
になっているわけです
バースジャンプをすると
その他のバースで身に着けた
スキルを使うことが出来る
のですがむやみにやると
体に負担がかかるようです
エヴリンは凶暴化した
ディアドラに殺されかけますが
ギリギリでバースジャンプ
「ウェイモンドと結ばれず
カンフーの師匠に出会い
達人になって映画スターに
なったエヴリン」のバースから
カンフーのスキルを体得し
危機を切り抜けます
そういった概念がなんで突然
出てきたのかというとどうも
それを開発したのは別のバース
(アルファバース)のエヴリンで
すでに死んでいるそうですが
共同開発?していた
アルファバースのウェイモンドは
意思を引き継いで
全てのバースの消滅を目論む
「ジョブ・トゥパキ」なる存在を
倒してくれと託されます
ウェイモンドはいくつもの
エヴリンにジョブを倒せる
素質を探っていってようやく
見つけ出したのがこの映画の
冒頭からいるエヴリンだった
ようです
ジョブ・トゥパキとは何者か?
というと早々に姿は見せており
それはジョイでした
恐らく同性パートナーを認めて
もらえず世界が無くなって
しまえばいいといった絶望感
から巡り巡って訪れたバース
によってジョイは身体を
ジョブに乗っ取られて
しまったようです
ジョブはバースを自由に飛び回れ
自分を倒す可能性のあるエヴリンを
始末して回っているようです
まあとにかく観賞中は
理解が追い付かない間に
フル〇ン男が出てきたり
ゲロ吐いたり画面が下品か滑ってる
感じなので見てて辛くなってきます
現バースではボケボケだったのに
アルファバースでは電動車椅子に
乗って冷酷なハキハキ爺さんに
なったりといった面白そうな
シーンがなんか今一歩映えない
コメディなのかシリアスなのか
見方がわからない感じ
ただでさえわけわからん世界観
使ってね
マルチバースに関しても
今いる自分以外になったシーン
出ては来るんですが端折りすぎで
全然移入できないんですよね
そのスキルが使えるとかなら
日本なら
「魔法少女が変身して
その能力使いこなせる」
で完了じゃないですか
向こうの人々はここまで
めんどくさい概念
持ち込まないといかんの?
とか考えちゃいました
終盤エヴリンがジョブを
バースを飛び越えて追いかけ
「生物が誕生できなかった地球
でただの石になってる」
二人が文字で会話する
シーンとかシュール以外の
何物でもなかった
設定にとらわれすぎて
根本的な映画としての面白さが
欠けているのかな
やっぱりね
マルチバース自体が
禁じ手なんだと思う
スパイダーマンのも
いまだに解せない
ハッキリ言って作り手の
都合でしかない
例えば
閉じ込められちゃった!とか
ドラえもんが言っても
通り抜けフープ使えよとか
よくツッコまれますが
ドラえもんがそうしないのは
劇場版はのび太が主導で打開していく
という大前提があるからでしょう
そういうルール作りが
マルチバースがないんです
面白くなるわけがない
こういう映画を手放しに絶賛する
評論家やレビュワーは信用に
値しないと思う
A24って新進気鋭の若手にチャンスを
与えるようなインディペンデント系の
イメージがあったけど
こないだの「ミナリ」といい
見掛け倒しの作品が多い気がする
賞狙いのこれ見よがしの
アジア人キャストとかさ
あざといくせに見掛け倒し
だからアカデミー賞とか
嫌いなんですわ
金払って映画観るのと
なんら関係ない
追記
ぼろくそ書きましたが
アジア人女優として初の
ミシェル・ヨー
子役時代を経て
俳優としてカムバックしての
キー・ホイ・クァン
アカデミー受賞おめでとうございます