「鑑賞動機:ダニエルズ監督5割、あらすじだけ見れば100%シュールなバカ映画4割、それなのに…があるんでしょ?という予感1割」エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス なおさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞動機:ダニエルズ監督5割、あらすじだけ見れば100%シュールなバカ映画4割、それなのに…があるんでしょ?という予感1割
昨年夏にアメリカでロングランになってる頃から、ずっと楽しみに待っていたEverything Everywhere All at Onceをこの際だからIMAX で鑑賞。大正解。
アカデミー賞は作品、監督(ごめんねマクドナー)、主演女優、助演男優、脚本、編集の6部門受賞と予想。助演女優は二人とも良かっただけに票割れしそうで。
演技部門で評価が高いの何でだろうと思っていたら、マルチバースの違う自分に切り替えるからなのね。クアンが瞬時にジャッキー・チェンに見えたり、トニー・レオンに見えてくる。ある意味ステカセキングか『重力が衰えるとき』かも。
『スイス・アーミー・マン』でもそうだったけど、バカなネタを大量にぶちこみ、現実離れしたシュールでとっ散らかった様に見えるストーリーなのに、いつしか一周回って誰しもが考え突き当たる、人として普遍的なテーマを問いかけるところへ着地する。宣材でチラチラ出てるあの石ころにあんな意味があったなんて。
映像表現もワンパターンにならず、それどころか段々エスカレートしていくし、いやこれ編集が大変だったのでは?
バカなことして切り替わるパターン、ひび割れみたいなパターン、視点(カメラ)が左右に振られて切り替わるパターン、衝撃を喰らって切り替わるパターン、いつしかそれらも流動的になっていく…。ああ、好き。
ダニエルがダニエルズになると製作能力が乗算されるのだろうか。
そして今作も下ネタが大量に投入されている。おいそれ、武器じゃな…。ネタモザイクの下は実は履いてるんではと疑っている。このためのこんな形にしてあるのか。そこでそんな伏線回収せんでいいから。とはいえみんなそれぞれ違う人生があるのが垣間見えたりして、実はちゃんと下ネタも理由がある(気のせい)。
アクションもミッシェル・ヨーがすごいのは知ってたけど、キー・ホイ・クアンもこんなにできるんだ。
最後のキスシーンは愛が溢れていて、好き。ミッシェル・ヨーがとてもいい顔してて、つい萌えた。
あとあちこちで『花様年華』みが深すぎる(これ言いたいだけ)。
アカデミー賞とったら史上最も下品な受賞作かも。ぜひお願い。あと、さっさとスタント部門作って、裏方仕事を評価して。それがアカデミー賞の意義。