「とにかく戦っている刀剣男士が見たい人向け。」映画刀剣乱舞 黎明 さなさんの映画レビュー(感想・評価)
とにかく戦っている刀剣男士が見たい人向け。
やってるのゲームだけ(Lv160くらいだからそこまでやってない)。しかもしばらくやってない(一期一振、鶴丸の極が出たあたりまではそこそこやってた)。アニメは見たり見なかったり。刀ミュとか刀ステは全く見てない。でも前作の継承は見た。そんな人の感想です。
現代(2012年)が舞台という時点でわくわくだったのですが、ツッコミ所は多々あれど、殺陣が格好良かったのですべて良しって感じの映画です。歴史好きな方は前作の継承の方がいいと思います。平安の鬼退治が起点だけど今作は歴史はそんなに関係ないので知らなくても全く問題ないです。
前作に比べてとっつきやすそうな現代という題材で、総じて二次創作を見てるような気分でした。以下まとめ。
●良かった所
・殺陣が結構ある。格好いい。ずっと見ていたい。
・現代が戦場になる。学校の屋上と空港と高速道路と渋谷スクランブル交差点で大立ち回りする刀剣男士が見れるよ!そして何も知らない女子高生が(仮の)審神者になるという設定つき!えっいま二次創作見てる???くらいの気持ちに毎秒なったし、実際百万回は使われてそうな設定だけど見ていて楽しい。
・三日月宗近を持って三日月宗近を見に東博へ行く女子高生。学校についてくる三日月宗近。抹茶ラテマキアートを所望する三日月宗近。コスプレか何かと勘違いされて女性たちと一緒に写真を撮る三日月宗近。
何もかも二次創作で一億回妄想されてそう。でも高速バスに乗る長谷部はレベル高すぎ。
・ギャル審神者と長谷部のかけあいが面白い。長谷部が力を失いかけていってる→「へっしー地味になってってる」は何回見ても笑いそう。でも最後にちゃんと名前が明かされた所は良かった。ギャルらしくない特殊な名前だなあと思ったけど、そういうことですかあ。このギャル審神者と長谷部でスピンオフやってほしい。
・三日月主役かと思えば、最後の方であんたも主役や!ってなった山姥切国広。やってくれると思ってました。ありがとう。
・「うちの本丸の山姥切はこいつなんでな」。正確には何て言ってたか記憶が定かじゃないけど、これも二次創作で百万回くらい言わされてそう。山姥切問題を映像化してくれてこの二振の関係が好きな自分は感謝です。あとこの映画の本歌さん、ちゃんと審神者の名前覚えててくれてお礼も言ってくれる。優しい。
政府職員のその審神者も、同僚には窓際という名の給料泥棒扱いされていたのに、誰には気付かれなくても物に宿る声を聞く審神者のことはその物(神様)がちゃんと見ていてくれたんだなあ、となって温かい気持ちになった。この職員さんのスピンオフもほしい。神職のおじいちゃんも一緒にね!
●気になった所
・せっかく鬼退治というか酒呑童子の話なのだからもっと源氏兄弟をメインにしても良かったのでは???あと酒呑童子を扱うならあのまま平安の方が面白かったのでは???あの安倍晴明と藤原道長もっと見たかった。とはいえ995年だったら藤原道長と安倍晴明の年齢感逆なのでは?
現代を舞台に作りたいが先にあって、一般に知名度があるような題材を使って、メディア展開も多い人気のキャラクターをメインにして、あと鬼退治だから源氏兄弟も出したのかなあと考えるような構成でした。何作もやる舞台とは違うし、映画という性質上とっつきやすさを重視するんだろうからしょうがないね。
・全日本国民が抜け殻状態になっているはずだけどスカイツリーから見た道路では普通に車が往来してる。実際いきなりみんな意識失ったら多重事故起きまくりなはずなのでラストの演出を考えたらそこまでは出来なかったのか。CGとか含め、色々ガバガバだなあと思った。
・子どもが振り返るシーンはホラー。ホラー耐性ない人は夢に出てきそう。
・割とちゃんと人が斬られるところが映ってるし、DVのシーンはほんの短いものだけど、きっと身近な人もいるんだろうから、見てて気分が悪くなったりする人がいないか心配。刀剣乱舞観に行って現代のDV見せられると思わんじゃん。斬られるシーンにしても時間遡行軍じゃなくて人間が斬られる所をあそこまで映すんだなあとちょっとびっくりした。映倫Gだけど、PG12くらいあってもおかしくなさそう。
・あのお兄ちゃん(伊吹:たまたま同じ名前(か苗字か)であの首飾りを手にしたのはその縁もあったのか、本当は違う名前なのかはわからないけど。パンフレットとか買ってないのでわからない)の家庭環境が「今日を生きるのに必死」という、千年もの過去からずっと変わらない、虐げられてきた者側なのはわかるけど、女子高生が訴えかけるシーンが肝な分、女子高生もお兄ちゃんと弟くんも、もうちょっと背景を掘り下げてほしかった。
身近な人が助かるなら他はどうなってもいいお兄ちゃんと、身近な人が大変なことになっていても、人を殺すなんて!歴史を守る以外にももっと大事なことはないの?という女子高生。普通の女子高生って身近な親しい人の無事以外のことまで考えられるほど正義感が強いのだろうか。そういう背景があるんだったら納得するけれども。物の声を、何を言っているのかわからないしうざいだけ、と言っていた女子高生が三日月宗近との交流を通して、あの場面では声を聞いてほしいという説得になったのかなあと思うけど、敵を思いとどまらせるためのああいう類いの主義主張って、嫌いとまではいかないけど見かけるたびになんだかなぁってなる。わかったような口聞いてごめんなさい、みたいなことは言ってたけどこれはこのシーンを見てなんだかなぁと思った観客に対するフォローですか。
あの辺は映像のつくりも相まってなんだか特撮見てる気分になった。
・スクランブル交差点で刀剣男士たちが立ち回りをするシーンについて。格好いいのは格好いい。でも意識を取り戻した人たちが多くの刀剣男士が現れてからじっと見守ってくれてたけど、2012年だったらスマホはそんなに普及してないだろうから携帯のカメラでは普通にバシャバシャ撮ってそう。あとそれより前の場面だけど、存在消えかけてるはずなのに長谷部と源氏兄弟めっちゃ粘る。本歌さんは速攻退場したのになぜなんだ。仮の主を避難させたから?それと時間遡行軍が大量に送り込まれてきて絶望、という場面があったけど何の盛り上げもなく三日月さんと女子高生があそこから抜け出していつの間にか次の場面に行ってしまったのはなかなかの衝撃だった。俺たちに任せて早く行け!くらいの見せ場はあっても良かったのでは?その見せ場をつくるためじゃなければ何のために大量に送り込んだんだろう。ラストシーンへの仕込みですか?敵、仕事してくれ。
他にもありますが鑑賞後すぐにばーっと書いた感想はこんな感じです。
色々書きましたが、とにかく戦ってる刀剣男士が見たい!二次創作なんでも来い!民は割と楽しめた映画だったのではないでしょうか。歴史に対する解釈とか刀剣男士同士の関係とかその辺りかなり詳しくこだわりが強い人は見ない方がいいかもしれません。
私としては、刀剣男士自体のキャラ解釈がおかしいとは特に思わなかったですし、おおよそ楽しんで見れました。原作ゲーム勢で一番気にするのはキャラ解釈(人によりけりだと思いますが)だと思うので、その辺はそれほど心配しなくても大丈夫だと思います。
まとめると、映画館に二回目を観に行くまでは行かないけど、一回観る分には楽しめた映画でした。DVDになったら殺陣とか観たいシーンだけは観ると思います。