ロストケアのレビュー・感想・評価
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隙間からこぼれ落ちる砂
…いま直面する問題
高齢者の孤独死も含め
介護する人の負担が大きい
検事役の長澤まさみが
殺人犯役の松山ケンイチを質問攻め
して問い詰める場面で…
殺人犯の松山が殺人ではない
……救いであると
介護を通して家族が
抱える問題を現状を問うところで
検事の長沢が国としての法律を
切々と話すが全く心に響いてこない
表面上の様に感じてしまった
苦しんでいる人たちがいる現状
を見ないでいる
松山ケンイチの語るところで
死刑は殺人じゃないのか
という場面で法で定められているから
…正義としている
私たちの固定観念を揺らがす
松山が検事の長沢に問いかける
私達にも問いかけられている
ようにも思えた
長澤まさみが涙を流すところは
…感極まり
二人の演技に釘づけになった
そしてラストの部分も・・
父のことがあったから
殺人犯の気持ちに少し寄りそえた
裁判の時に
父ちゃんを返してと叫ばれて
ハッとした
皆、それぞれの想いあって
苦しくても生きていて欲しい
…家族の想い
殺害は
決して許される事ではない
けど…
一概に善し悪しを
決めることは出来ない
これから一層進む高齢化社会に
課題を含んだ問題
…映画
PLAN 75を思い出した
【”黄金律。”高年齢化と貧富の格差が進む日本のセーフティネットの綻びと”救いの形””家族の絆”とは何かという重いテーマを描いた作品。松山ケンイチと長澤まさみの渾身の演技が素晴しき作品でもある。】
ー 黄金律:何事でも人々からしてもらいたいことは、すべてその通り人々にもしてあげなさい、というキリスト教の思想である。
今作では、この言葉が見る側に重く響いてくるのである。-
◆感想
・セーフティネットの綻びによる社会的弱者の姿や家族の絆を描いた映画としてはケン・ローチ監督の「わたしは、ダニエル・ブレイク」「家族を想うとき」や、是枝監督の「万引き家族」を思い出すが、今作は更に”認知症”に罹患した親の介護という現在社会の喫緊の課題をも加えて描かれている。
・今作は、誰にでも慕われる白髪の目立つ介護士、斯波を演じる松山ケンイチと、彼を大量殺人者として告訴する大友検察官を演じる長澤まさみの渾身の演技に支えられた作品でもある。
・斯波は自ら手に掛けた認知症が進み、周囲の家族が疲弊し切っている老人にニコチン注射をする事で老人とその家族を”救った”と主張し、大友は彼の所業を”大量殺人”として断罪しようとする。
■中盤明らかになった斯波の脳梗塞で倒れ、認知症が進む父(柄本明)を懸命に介護する姿。斯波の黒髪がドンドン白くなっていく。
だが、行政は彼の生活保護申請を無情にも拒否し、追い詰められて行く斯波親子の姿。
そして、父が一時的に理性が戻った際に斯波に言った言葉。
”殺してくれ”
そして、斯波が父にニコチン注射を打ちながら、”父さん!”と言って涙を流しながら抱き付く姿や、父がリハビリのために折った赤い折り鶴の裏にたどたどしく書いてあった”おれのこどもになってくれてありがとう”という言葉。
観ていてキツイシーンであるが、涙が滲んでしまった。
・構成として巧いと思ったのは、冒頭に大友が死後二カ月経った独居老人の部屋に入り、その遺骸が運びだされるシーンと布団の上に遺った人型の跡を複雑な状況で見ているシーンを持ってきた事である。
・大友も、20年位以上会っていない父からの電話やショートメールを”仕事が忙しいから”と自分に言い聞かせ、父からの接触を拒否していた事を刑務所に入っている斯波に涙を流しながら伝えるシーンも印象的である。
ー 斯波は、中盤、大友を安全地帯に居る人間だと頻繁に口にし”貴方の両親はお元気ですか。”と問いかけた時に激昂する大友の姿の意味が分かるシーンである。
大友も間接的に、父殺しをした人物として自覚している事を描いているのである。-
<今作は観ていてキツイ映画であるが、高年齢化と貧富の格差が進む現代社会が抱える喫緊の課題をテーマにして、観る側に様々な問題提起をしてくる映画である。
そして今作のリアリティさを醸成しているのは、松山ケンイチと長澤まさみと、柄本明の確かなる演技なのである。>
行き着く先は、高齢者不要論か
介護士の斯波(松山ケンイチ)が容疑者となる42人の殺人事件の物語です。
映画としては終始見応えがあり、引き込まれました。
まず、斯波は父親が「殺してくれ」と依頼しているので、嘱託殺人が成立します。
ただ、他の41人の介護利用者については、本人の同意なく殺害しているので、一般の殺人と変わらないのかなと思います。
斯波の父親を殺害したからといって、安易に他の介護利用者を殺人と結びつかない気がします。相模原障害者施設殺傷事件の犯人と考え方が似ているなと思いました。「救う」という名目で、自分の考え方で他人を殺してはいけませんよね。
この映画のラストは、「いのちの停車場」のラストと対照的なんですが、個人的には、生き抜く選択の方が前向きかなと思います。
ただ、安楽死を求める声が世間で多くなっているので、そういった意味では意義深い社会派ドラマと感じました。
それは救いなのか
今後日本の問題になる事を扱った映画。
重い。が、目を背けてられない問題。
相模原であった某事件を思い出す犯人の主張
それは救いなのか。
松山の演技には引き込まれた。
そして柄本明の演技は凄かった。
善とは?
連続殺人犯として逮捕された介護士と真実を追う検事の話。
利用者の家族、会社の後輩からも信頼、慕われる心優しい斯波宗典、彼の優しさの向こうにあるものは・・。
劇場へ向かう前にめざまし8に映画の宣伝で出演してる松山ケンイチと長澤まさみ、こんだけキャリアあってベテランな二人だけど、まさかの初共演とのこと。
この二人は本作の役柄もあり、撮影中は挨拶は交わすもほとんど必要最低限の会話しかしてないみたい。てか、あえてそうしたみたい。松山ケンイチの言葉で「初共演は一回しか無いんですよ!」、だから初共演の初々しさでこの役に挑みました!と、なのでお互い会話しなかったんです!・・・という言葉を聞いたら前々から気になってた作品だったけどさらに追いうちをかけられて観たくなりました!
斯波(松山ケンイチ)逮捕され大友検事(長澤まさみ)のやりとり、斯波に家族の事を聞かれ問い詰められる大友演じる長澤まさみの言葉荒げる「関係ない!」が迫真の演技で印象的。
斯波演じる松山ケンイチは落ち着きながらも静かに、ナチュラルな感じの演技も素晴らしかった!
作品ではあるけど彼のとった利用者、利用者家族を救ってあげた行動、私の両親は健在なので介護経験はまだ無いですが、実際に介護疲れしてる人は間違いなくいる、そんな人からしたらこの斯波のとった行動を否定する者がほとんどだと思うが、肯定してくれる者も少なからずいるような気がする。
あと前に百花を観た時も同じ気持ちになったんですが、自分の親が介護が必要になった時、ちゃんと対応してあげられるのか心配。
終始作品に引き込まれました!
「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」
介護問題を扱った作品の正統派切り口のストーリー展開である
配給が有名会社故、そこまでは踏み込まない、抑制の利いた演出や表現で、印象とすれば安心感は保たれているのではないだろうか
只、自分とすれば直近でもっと苛烈な演出の作品を鑑賞したせいか、甘さを感じたのが正直な感想である
とはいえ、この問題の解決の糸口さえみつからない深い問いかけを映画界として避けずに取り組み続ける意義は大事であると考える 片や積極的に、片や消極的に、父親を殺めた立場の対峙する二人の懺悔・・・ ラストの帰着はそこまで深さを表現しなかったのは、制作陣の優しさだったのであろう
一つ、もう少しアイデアが欲しかったのは、主人公殺人犯を慕っていた若い見習が、その事件を期に風俗嬢に転向してしまった件 まず全員、あんな下着姿で事務所待合室にタコ部屋のように待機してはいないと思うのだが・・・ 本来ならば蛇足感があるあのカットと演出は、なかなか考察が難しい差込である やさぐれてしまったということなんだろうが、それ以上に何かストーリーに絡むことがない
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