ロストケアのレビュー・感想・評価
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重いテーマを、様々な角度から語る良い映画
立場によって環境によって、考え方も違う認知症の介護問題を、関わる人々の台詞や表情で見事に示している。
疲れきった戸田菜穂、明るく微笑む坂井真紀の対比が、シーンはわずかでもみてる側に突き刺さる。
さらには、認知症の母を介護施設に預けている検事、無邪気に祖母の話ができる検察事務官、衰えていく中で本音が出る母(藤田弓子)、死にたいとせがみながらも生の喜びを伝える父(柄本明)。
なにより、松山ケンイチの一線越えたあとの封印された感情が、長澤まさみの父親を見捨てた告白によって一瞬解かれるのが、見事。
強いメッセージあるのは分かります
人生の締めくくり方
凄まじい
我が身を
折り鶴が語る、人間の成れの果て
松山ケンイチの罪と罰!
日本の社会のどこでも起こりうる介護の問題を、法の立場の検事の長澤まさみと、過酷な現場で戦う介護士の松山ケンイチを対峙させ、本当の介護とは何かを学ばさせていただいた傑作だと思います。彼の行動原理は聖書にある「人にしてもらいたいと思うことを、人にもしなさい」ですが、いわば彼は終末に苦しむ本人と、振り回される家族たちの苦悩を救って、42人を殺害して神になろうとしたのかもしれません?作品の中では、終末の介護されるものたちはあまりにも悲惨です。特に痴呆になるのは、4人に1人と言われている現実を考えると、映像の中でリアルに繰り広げられる苦闘に涙が出ます。特に松山の父親の嘱託殺人に至るまでの経緯は凄絶すぎて見ていられません。それだからこそ、松山の行為は本当は正義なのかもしれないという思いにさせられてしまうほど展開は秀逸です。片や検事である長澤には痴呆になりかけた母親がいます。彼女はあくまでも安全地帯にいての介護ですから、悲惨さはありません。そんな彼女が、果たして行政の保護を受けることもない松山を自信を持って裁くことができるのでしょうか?その二人の対峙は、介護の現実をどうやって乗り越えるべきかを、真摯に取り組むべきだと強く示唆しているように思えます。この二人のぶつかる正義のどちらにも軍配はあげませんが、私たちはこの介護の問題を、正々堂々と乗り越えていくべきだとこの作品は教えてくれているような気がしました。
追記 人間は迷惑をかけて生きる生き物です。介護は誰びとたりとも政治の力で保護すべきです。また誰びとたりとも介護によって幸せな終末を迎えるべき権利があると考えます。
映画の終わらせ方に苦労したろうな
他人事ではない
ゴダールは尊厳死を選んだ。
久しぶりに号泣
おもしろかったね。 普通の起承転結みたいな見せ方じゃないし色や立場...
救ったのか殺したのかではなく殺して救ったのである
原作はミステリー小説なのだが本作は推理というかなりおいしい部分をそっくり捨てて松山ケンイチ演じる介護士が42人を殺害したことをあらかじめ観客に知らしめた上で物語を展開しており「羊たちの沈黙」や「死刑にいたる病」などのサイコサスペンスへの期待もバッサリと裏切る真摯極まりなく身もふたもない「社会派」といってもとうてい足りない大問題作である。救ったのか殺したのか、という問いかけが惹句にあるのだがこの映画を見る限りどちらも正解としか言いようがない。検事の長澤まさみから見れば紛れもなく殺人でそれはイコール犯罪なのだが自宅介護で疲れ果て金が無くてホームに入れたくても入れられない家族にしてみれば救い以外のなにものでもない。本来なら国が金持ちからもっと税金を取って貧しい民の老人介護費を公的に支援すべきなのだろうがここにきてネオ資本主義があからさまに正当化され経済格差が広がり続ける日本においては「老人の集団自決」が称賛される日もマジで遠くは無い。うわべの超高齢化が問題なのではなく格差容認自己責任追及民間ホドコシ善意依存型社会こそが問題なのだろう。松山ケンイチのあまりにも純粋で真っすぐなまなざし、長澤まさみが母親との長回しシーンでごく普通の会話から入ってここぞというタイミングで落涙するリアル、主役お二人の演技も見ものだが柄本明がその10倍上をいくとんでもない演技をしていて(未だ3月だが)今年の助演男優賞は確定である。
両親に会いたくなる
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