ロストケアのレビュー・感想・評価
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高齢化や介護をめぐる問題に、正面から取り組んだ意欲作だと思う、けど!
涙が出てくるような辛辣な介護と老人の現実を
次々と突きつけられる
そこには、救いも、希望も、感動もなくて
胸にずっしりと重く溜まってゆく…
社会的弱者が介護のために、自分の人生を犠牲にしても、
助けてくれる法律はないのに
その人が介護に耐えきれず、相手を犠牲にしてしまえば、
たちまち法に裁かれる…
この国の現実に、あらためて、がく然とした
あとひとひねり、ストーリーに深みがあればなぁ…
ちょっと、ドキュメンタリータッチだった
松山ケンイチ✕長澤まさみ、松山ケンイチ✕柄本明
の丁々発止の迫力ある演技は、
かなり見応えあり!
セリフの間合いや、表情で語るあたりなど、
さすが!のひと言
また、
鏡や窓に写った虚像と実像を対比させたり、
アクリ板を挟んで写りこんだ虚像と実像を交互に入れ替えたりと、
斯波と大友の対峙シーンの映像は印象深かった
あー、
なんか歳取るのが恐ろしくなってきたー
誰もが直面するリアル
淡々と現実を見せつけられる。
これは映画か?いや、ドキュメンタリーか?
見終わると頭が混乱するほど、
ストーリーも役者もすごかった。
一点残念なのは、
新人の足立さんの過去などにもう少し踏み込んで欲しかったこと。
途中、少し「?」だった。
職務と個人的な感情の間
評判の良い介護師が、密かに老人を殺していた事件を担当することになった検事の話。
介護疲れの家族を救う為の殺人と、死刑という国家の秩序を保つ為の殺人は同じだと主張する犯人。
対して、他人の人生の最後を勝手に決める権利など無いと論ずる主人公。
何でそんなに犯人に寄り添うのだろう?粛々と法に則り裁けば良いのに?と、観ながら思ったのだけど、その理由は最後に明かされる。
すべての国民が向き合うべきテーマ
このテーマはすべての国民が向き合うべき、ある意味、道徳の授業にぶち込んじゃっていいくらいだと思う
もしそのタイミングが来たとしたらばどっちに投票するかを、いまのうちからみんな考えはじめたが良い、自分は、柄本明の思いを公的に叶えてあげるべき派
出張介護サービス会社に勤める、周りの誰からも信頼されてるスタッフがその実、担当する多くの老人を死に至らしめてて、そしてそれを、救い、であるとする
周りの人からは見えにくいところ、ところどころのご家庭で、大分変わってしまった、むかし優しかった老親が引き起こす、いつ終わるともしれない阿鼻叫喚
柄本明ってすごい
松山ケンイチさんも長澤まさみさんも凄いんだが柄本明の凄さ!圧倒的。
近い将来絶対に来る未来を見た。
一番染みる年頃だけども若い人にも見て欲しい。
すぐ近くの未来に不安が滲み出る。
私は穴に落ちる方だ。
骨太の社会派
題材が重いだけあってどう展開するかだったが、流石にやられた。
特にラストはもう正義ですって言い切る終わり方。
松山ケンイチと長澤まさみの演技合戦もも見物。
避けては通れない問題を考えて行かなければならない。「見たいものしか見ない」ってセリフが刺さる。
もっと良い作品に成れたのに
誰も裂けられないし私自身も経験しいずれ逝く自分には身近で重いが大事な話だからこそ、ストーリーは焦点絞って淡々と描いて欲しかった後半ストーリーに無駄が感じられた穴に落ちた普通の日常を描くだけで充分だったと思うそれだけで感情の重さに耐えられない。
涙
想像以上によかった!
長澤まさみと松山ケンイチの2人の聴取でのやり取りを中心に物語が進んでいくんですが、なぜ42人ものお年寄りを殺害するに至ったか、最初の殺害だった父とのやり取り・経緯のシーンが本当に身につまされる。
こういう状態に追い込まれている人って、かなりいるんじゃないでしょうか?
自分も父を亡くす過程で、映画のシーンと本当にそっくりな場面があって、その時の感情がよみがえりました。
介護の問題は深刻で、今後どんどんこうしたケースが増えていくと思うんですが、思ったのは、選択肢があってもいいのではという事。
生き続ける事が本当に幸せなのか?安楽死はタブー視されるけど、本人の意志が明確にあっての事なら、そういう選択肢があってもいいのではと感じました。
長澤まさみがお母さんに頭を撫でられるシーン、松山ケンイチが父を殺害した後に、折り鶴に書いてあった父からのメッセージに気づくシーン、涙が止まりませんでした。
冒頭の遺体のシーンが、実は長澤まさみのお父さんの孤独死の現場だったという展開も衝撃でした。
1つだけこのシーン無くてもいいのでは?と思ったのは、松山ケンイチを尊敬してた後輩の介護士の女の子が、松山ケンイチ逮捕後に、介護士を辞め風俗嬢になっていたシーン。
前田哲監督 新作がベストを続けていてすごいと思う
松山vs長澤が凄い迫力で入ってくる。向き合って話すだけの場面の見せ方が上手いよなあ。柄本と3人の演技でずっと観られました。鈴鹿もいい俳優になってきますね。「こんな夜更けにバナナかよ」から、「そして、バトンは渡された」「老後の資金が足りません」とシリアスなテーマなのにエンターテイメントにするのが上手くて感動させてくれる前田監督ですが、本作は笑いの要素なくグイグイ来る。
でも後味は悪くない。前田監督の才能と手腕を感じます。
今後もずっと期待してしまいます。
優しさとは何かについて考えさせられた
介護において優しさとは何かについて考えさせられた。勿論殺人は許される事ではないが、介護する側は疲れ果て、される側もこれ以上生きる事を望んでいないのに、介護を続けるのは「優しさなのだろうか?」と考えさせられた。
斯波が殺人に至るまでの過程がわかりやすく丁寧に描かれていた。サスペンス要素はあまりないが、非常に面白く考えさせられた。
絆や家族愛や親の恩と罪悪感という呪縛
実両親義両親を見送り、自分の終活も考えなくてはならない年齢にさしかかってきた。
だから、このテーマは身につまされる。綺麗事では解決できない。
4人の親の死を見届けてまず感じたのは開放感だった。「やっと、終わった。」
自分のまわりの同世代のひとたちも、純粋に親の長生きを願っているばかりではない。
あるひとは言った。「私は母より長生きしなくちゃならない。それは、母への愛や責任感ではなく、母が死んで開放されて、自分のために生きたいから。」
映画館で、ずっと斯波の視点に肩入れしつつ観ている自分がいた。
松山ケンイチの眼の演技が秀逸。介護士としてお年寄りと接するときの慈愛に満ちたまなざし、司法と対決するときの何もかも諦めたようなぞっとするほど虚ろな瞳、最後に大友の告白を聴いているときの感情を取り戻したようなまっすぐな視線。
家族の絆という呪縛に囚われ続けなくていいよ、そう声を大にして言いたいが、じゃあ家族が放り出したら、この国の高齢者(特に貧困層の)はどうなる?
本当に気が重くなる、切実な映画だった。
実話を元にした作品ではないらしい
この手の事件を元にしてはいないようです!
しかしながら良く耳にする話かと思います。
高齢者の介護を的にしていますが身体障害者も含めた作品かと思います!
色々考えさせられます!
私ならどうするだろう?
気になる方は観てください!
心臓を潰されるような気持ちになった
誰にでも起こり得る介護の現実を、際どい角度から描いている。
多数の老人を殺害した斯波の狂気性が暴かれていくのかと思ったが、まったく違う展開だった。
斯波と大友検事のやりとりがとても印象的で、法に拠り、正義に立っているはずの検事側の言い分が途中から怖くなってきた。
最初は正しいと思っていた側の言い分が、途中からおかしく見えてくる。とても考えさせられる展開だった。
(例えとして適切でないのは承知だが、かまいたちのネタのような展開。)
斯波にも正義があり、そして斯波の行動で救われた人間も間違いなくいる。
正論・正義は時に残酷で、むしろ人間らしさがないこともある。
そういったことを強く感じた。
メッセージやストーリーはすこぶる良かったが、大友の行動の意味がわからないところや不要に感じる描写があったのが残念。
検事はなぜ最後あのような行動に出たのか?何を伝えたかったのか?検事も救われたかったのか?
疑問符がいくつか残ってしまった。原作を読めば納得できるのだろうか。気になる。
長寿を喜べない時代になって
健康寿命という言葉がある 医療や介護サービスの世話にならない年齢のことを言うようだが、骨折や脳卒中などの入院を契機に要医療あるいは要介護状態となって、逝去するまでの間が、医療・介護サービスの進歩・普及により数年、人によってはその間は10年以上となり、この数年から10年以上が「生きている」というより、見方によっては「生かされている」という現実がある 「ピンピンコロリ」、死ぬ直前までピンピンしていてコロリと死
ぬことが、高齢者自身の願いだという人もいる一方で、子どもの側からすれば親の長寿を願いたいという気持ちがある
しかしその多くは医療や介護サービスといった「社会の支援」があることが前提であり、子ども自身の仕事やその家族生活を犠牲にしなければならない「家族介護」のみで先の見えない数年から10年以上を費やすことは困難なことである 社会の支援なしでは、介護者である家族が、「親孝行の美談」から一転、虐待・放置といった「加害者」にいつ変わるかもしれない、という危うさの中で家族介護が行われている 骨折や脳卒中で救急入院して一命をとりとめれば「退院許可」という「命令」が主治医から告げられる 月20万支払えれば、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、療養型病院という「選択肢のカード」があるけれど、支払えなければ「自宅」もしくは「家族」という選択肢しかない 親が基礎年金だけなら、支援する子どもが一人っ子なら、「親ガチャ」じゃないけれど、親の余命の間子どもが介護づけの生活となることが確定するのかもしれない
「失われた20年」世代に非正規雇用の方が多く、また8050問題といわれる80代の親の年金に寄生する未婚の50代、こういった人々が親の介護にこれから直面してくる
医療も介護も「2割負担」「3割負担」と自己負担が引き上げられれば、医療・介護サービスを購入できる「安全地帯」で暮らす人以外はみんな「穴に落ちる将来」に直面する
きれいごとではない「自助・共助」の呪縛が始まっている
本作の検事も容疑者も、立っている場所の違いはあっても、常に親の介護についての葛藤の中にあり、観る側も他人事ではないことを知っているからこそ苦しくなっていく(3月30日 イオンシネマりんくう泉南 にて鑑賞)
3つ穴に落ちた身としては、鑑賞後これまでに無い大脱力
いやー、鑑賞後体に力が入らず、もの凄い脱力感に苛まれました。別の映画を観るべく電車で移動したのですが、とてもすぐには着く気になれず、特快来たのに乗らず、わざと快速でゆっくり目的地に向かいました。そうでもしないと、気持ちを落ち着かせられなかったのです。劇場で年間300本映画鑑賞する私でも、こんな経験は初めてでした。
3回穴に落ちた経験があるので、もう一度あの頃を追体験したようで、喉カラカラになりました( ; ; )
これはサスペンスというより、社会問題の提起です。明確な答えは用意されていません。
いつもはディテールに違和感があると白けてしまうのですが、この作品に限ってはそんなことは凌駕して、お前はどうなんだと迫ってくるのです。勿論主人公のしたことは肯定できませんが、それだけ追い詰められ、或いは罪悪感に苛まれ、家族が疲弊していく様がまざまざと繰り広げられて、もう目を離せず息も浅くなりヘトヘト。
公的介護保険で賄いきれない、特に体力のある24時間見守りが必要な認知症の患者の介護問題は深刻です。有料のヘルパーさんやお手伝いさんを別に雇わなければならないので、金銭的にも大変です。家族がいる人は、施設の優先順位が低くなり順番待ちにかなり時間がかかる場合もあります。運良く預けられたとしても、「安全地帯」に逃げたという申し訳ない気持ちは消えません。私も贖罪のように毎週施設に通いました。1回目に穴に落ちた時は、自宅介護を頑張り過ぎて自分も介護うつになったので、2回目3回目は他人に世話をお願いする決断ができました。
と長くなりました。まだ穴に落ちていない方にも是非観ていただきたい。そして、少子化の今社会全体としてこの問題を解決する術を考えていけたらと思います。
実は「二極対立」にもなっていない?
ほとんど寝たきりのお年寄りの在宅介護については、斯波介護士(松山ケンイチ)のような考え方をする人が出てくることは、容易に想定できると思います。本作中の聖書の箴言を引くまでもなく。
そして、法の適用(ふつうの考え方?)として、大友検事のような立場も簡単に出てくることでしょう。
結局、そういう「二極対立」は、本作による指摘を待つまでもなかったことと、評論子には思われました。同様の対立は、既に「病者の余命か安楽死か」などという問題を通じてこれまでも論じられて来ていたことと、本質においては、概ね変わらないと、評論子には思われるのです。
原作は未読ですが、原作のいかんに関わらず、せっかく映画化するならば、本作には、その「二極対立」以上に、第三の「解」となるようなものを何か付け加えて欲しかったと思うのは、評論子だけでしょうか。
そういう意味で、本作は、とても物足りないものになってしまいました。評論子には。
(追記)
しばらく前の話ですが、老人病院で、何者かが点滴用製剤に消毒液を混入し、その事情を知らない看護師から投与を受けた入院患者が相次いで亡くなるという事件がありました。
結局は同僚看護師の仕業と分かるのですが、その動機が「自分の当直時に入院患者(お年寄り)が亡くなると、処置や遺族への説明が面倒だった」から。
この看護師の場合はまったく自分のため、斯波介護士の場合は形としては他人(家族や死期の迫った老人)のためという違いはあっても、結局は自分が信奉する価値観のためには他人の権益(生命)を軽んじても構わないという考え方としては、ともに共通の基盤に立つものと思われます。
便宜「二極対立」と書きましたが、そう考えてみると、斯波介護士のような考え方は、実社会では受け入れ難い…実は成り立たず、構図として「二極対立」になっていないようにすら思います。評論子は。
犯人の方に肩入れしていました
認知症の家族を持つ悲惨な現状をみて、検事と犯人の問答に思わず犯人の方に肩入れしている自分が居ました。
切ない!税金は世界でも高額、しかし自己責任で老後を切り捨てられる。こんな世の中誰でも嫌になる。犯人の言ってる方が正解では?と思わず思ってしまう。
最後に流れる美しい歌声「さもありなん」。この歌に癒されました。
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