ロストケアのレビュー・感想・評価
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罪なのか救いなのか
訪問介護の介護士斯波は家族が介護の大変な老人を殺していた。1人の老人の死をきっかけに真相を探る検察官大友。これは大量殺人という大友と、救いだという斯波。どちらの主張もわかる。
家族を殺された側でも、梅田さんは斬波を裁判中に人殺し!と罵り、羽村さんは検察官の質問に、救われました。と話す。同じ立場でも受け取り方は違うところが興味深い。通夜の席で斯波が羽村さんに対して大変でしたね。と優しく語る場面。あの言葉だけでも救いだよな。
穴に落ちた側の人間と安全地帯の人。大友はまさに安全地帯側。痴呆のはじまった母は自分でしっかりお金を貯めて施設に入っている。たまにお見舞いに行く大友。印象に残ったのは、トイレに行く時、お前にそんなことはさせられない。と施設の職員にお願いしているところ。
穴に落ちた側は介護のために仕事にも行けず、行政の支援もなく、全てを家族がやらなければならない。
観ていてとても辛くなる、考えさせられる内容。自分が老いた時を思うと、殺して欲しいと思ってしまいそうだし、斬波の父のように懇願するかも。
確かに殺人は罪だし、盗聴も罪。だけど、救いであることも間違いではないと私は思う。
模範的な介護士だと思われた男が実は大量殺人鬼だった。 ただ、問題は...
模範的な介護士だと思われた男が実は大量殺人鬼だった。
ただ、問題は主人公の男が個人的に抱える闇に過ぎず、「現代社会の闇」とは違う。
また、男はただ屁理屈をこね回しているだけで、「観る者の価値観を大きく揺さぶる」などということはなかった。
「こいつ、何言っているんだ?」というのが正直な感想で、「日本の介護問題に鋭く切り込む」までには至っていない。
それにしても、主人公の斯波に憧れていた新人女性介護士が失望して退職し、風俗嬢に転身していたというのはやさぐれ過ぎではないか(笑)。
穴の中と外
"絆"が呪縛へと変わってしまう穴の中の底辺。
老老介護、ヤングケアラー、介護ロス、
この国の終末期の介護にはとてつもなく深い穴が存在するのは間違いないことだろう。
それでも人の命を奪ってしまうのは、正解では無いけど、誤りでもない現実もある。
絶対的な正解が無い、難しい問題。
はっとした
私は物語の世界に入ると、主人公の主観にひっぱられがちな為、介護の苦しみから助けたという考えに納得しながら鑑賞していた。
がしかし、裁判所のシーンで戸田菜穂さんが叫んだ瞬間はっとした。
今現在でも苦しんでる人たくさんいると思うが、10年経ったらもっと増えるわけで、日本の将来が不安で不安で仕方がない。凄い不安。
すごく重いです。鑑賞は、元気な時に。
介護をテーマにした作品。親が年老いていく。自分も同じように老いていく。
そして、いつか深刻な問題として自分の身に降りかかるのだが、
人はそれに気づかないふりをして生きている。気づいているのだが、
まだ大丈夫だ、まだ大丈夫だと、言い聞かせて生きているといった方が
正しいのかもしれない。介護されている人はもちろん、介護している人、
その予備軍の人、つまりすべての人が、その重さに押しつぶされそうな
作品だと感じました。
役者さんたちの演技は絶品だし、非常にすぐれた映画だと思う。
でもな、救いがないんだよな。社会へ向けての問題提起ということなんだろうけど
このテーマで、なんか投げっぱなしなのは辛いです。
希望の光みたいなものを当てて欲しかった、そんな気がします。
非常に重要な重いテーマの作品です
介護疲れの家族を救う主人公。
綺麗事だけでは済まされないテーマであり主人公には非常に共感出来ますが、倫理的・道徳的には許されません。
何年も前から社会問題になっていますが、政治家はそっちのけで私腹を肥やす事に一生懸命です。
個人的には、人に迷惑をかける前にスっと自ら身を引きたいと思っています…迷惑かけたらゴメンなさい^^;
胸えぐる映画
人は人を殺してはいけない ! でも、国は人を殺してもいい。
逆に国が人を殺すこと、それこそが正義なのだといいきれる社会は
絶対におかしい(戦争も同じ論理)。
例えば「再エネ賦課金」
電気料金にいつのまにか忍び込ませ
税金とは別に全ての国民から強制集金
その金額も毎年つり上げて、国民から搾り取る
でも生活保護や、年金等は1円でも多く渡してなるものか!!
そんな気迫さえ感じてしまう
国は介護で苦しむ人や家族に温かい手を差し伸べることもしない。
出来うる限り、お金を出そうとしない
そうしておきながらルールで更に追い詰め、
当事者達がロストケアせざるを得ない状況に追い込む。
自分達は高いところから見下ろし、
法という名の元に堂々と人を殺す。
殺したという罪悪感さえもないままに。
綺麗事にしか思えない腐った倫理観で尊厳死さえも汚す!
法の下に裁くことが出来るのは、完璧な法律であることが大前提
ましてや未熟な法律で人を死刑にするなんてもってのほか
法律家こそ、法律の矛盾点を熟知しているはず
法で裁く前に、たとえ1歩でもいい、完全なる法律へと近づけて欲しい
その努力を怠って、
長いものに巻かれて、
傲慢にも正義感だけを振りかざすなんて、悪の手先と思われても仕方ない
主人公:斯波のセリフ1つ1つに共感した。
国が救えない! いや救おうとしない人達!
自己責任だと言って見て、見ぬふりをして見捨てた人達!等々
追い詰める検事さえもその言葉に揺さぶられていくこのストーリー。
なんと素晴らしい映画なんだろう。
同じ監督作品の「老後の資金がありません!」もそうですが
この国の恐ろしいまでの冷徹さを、マスゴミが追求しないことを
こういう形で人々に訴えていく。
映画を作るって素敵な仕事ですね。
前田監督に惜しみない拍手
松山・長澤・の演技にスタンディングオベーション。
対局する正義の剣
2023年劇場鑑賞24本目 優秀作 73点
ポスターが少し損している印象の作品
内容としては、善人が私情も少々交えながら社会問題と、自分が悪に手を染める事で救われる人や気持ちがあるという事で未必の故意ながら悲しくも突き進む犯人役の松山ケンイチと、こちらも私情交え共感してしまうシーンもあるが、世間の声を代表して対抗する検事のほこたてを描いている
まぁこれも同じようなテーマは何回も擦られているし、細部の理屈や動機も似たり寄ったりなので、真新しさはない
思ったのは、長澤まさみのキャラクターを正義感というよりも、いかにも松山ケンイチと対立で盛り上げようみたいな匂いが強くて、下手に同情を買う私情のドラマを長澤まさみがはに植え付けたり、観客にも魅せる様な両者の老人に共通する問題や悩みを小出しにして、いち検事以上にこってりしていて正直乗れなかった
柄本明と松山ケンイチのシーンは言わずもがなですが
なんか惜しい作品でしたが、機会があればまた見返そうかな
やりきれない気持ちになる映画
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非常に真面目で親切で評判の高い介護士・松山。
ところが松山の会社で世話してる老人が2年ほどで41人も死ぬ。
特別に不審な点はなかったが、全て松山の休日だった。
こうして検事・長澤が取り調べなどを通じて事件を解明する。
そしてやっぱり犯人は松山だった。
松山はかつて介護してた認知症の父に頼まれて殺した。
それが疑われなかったため、介護の世界に入ってさらに41人殺した。
父を介護してた頃の地獄のような経験から、人助けと思ってた。
介護者・非介護者どちらも自分の行為で救われると信じてた。
実際に感謝する者もいれば、恨む者もいた。
長澤には認知症の母がいて、離婚して20年会ってない父もいた。
その父からの連絡を無視した数か月後に父は孤独死した。
そんな経緯もあり、松山を心から糾弾できない葛藤があった。
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柄本の演技がうま過ぎて、胸が悪くなるというか後味が悪かった。
実際、松山のやったことって本当に悪なのか?って思ってしまう。
考えさせられることは多く、およそ面白い映画ではなかったな。
ストーリーも特にひねられたりせず、早々に松山が犯人と判明。
特に隠されてた事実もなく、どんでん返しなども全く無し。
長澤って相変わらずスゴい女優やなって思ったな。
松山に真理的なことを言われ、とても反論できない気持ちになり、
動揺しつつも検事として毅然と振る舞うような演技が見事やった。
無許可はまずいでしょう
黄金律「あなたがしてほしいことは他人にもしなさい」とは、「わたしがそうならあなたもそう」と身勝手に他者と自分を重ね合わせ、自分の都合でしか物事を見られなくなるという危険思想にもなり得るのだと思いました。
父と子のできごととしては事情を汲めるけれど、他の人もそれを望んでいるだろう、だから自分がやる、はおかしいなと思いました。
ということで、いくらなんでも、本人や家族の意思を尊重せずに勝手にやるのは認められないと思いました。
メモ程度に感想を書かせていただきました。
犯人の証言とその検事が二人のトラウマの経験をした過去が明らかになります。
人と人の真実と人間としての異常な行動に誰しもが目にしたことがない物を見てしまうと人はそこで恐怖に落ちるのが
事実だと思いました。
だけど。なぜ。主人公が42人も殺してその殺したことから警察に見つからなかったのが異常だと感じました!
そんな。中で検事役の長澤まさみもめちゃめちゃコンパクトが合っている役でもあり。
事件の真相を解き明かす役にも注目が高まるぐらいの役でした!
久しぶりにミステリー映画は見ましたが。なかなか。ミステリーでも人間ドラマが入っているため。
感動してしまうシーンがたくさんありました。
事件の真相と事件を起こすきっかけになった物が
松山ケンイチの役の家族の過去でもありました。
それが柄本明の役でもありました。
父親として介護をしてましたが。
それに耐えきれなくなり殺人を起こしてしまうきっかけでもあったため
それがびっくりしました。
さらに、深掘りしていくと42人を殺した後からでも彼の過去を知りたくないことがきっかけでやってしまったのか
それとも最初から計画的な犯行でもあったのが以外でもありました。
なぜなら。このような事件を起こすのが計画的な犯行かそれとも
主人公の過去にもあるため。
色々わからないことがわかってしまう場面でもありました。
わたくしが今まで見た中で1番驚いたのが普通でいることがまさに
あの人なんかやってるよねって感じてしまうことがたくさんありました。
殺人をしてるんじゃないかと正直怖い場面でもありましたね。
そこらへんがわかってしまったことが1番衝撃になりました。
後の事が今のところわからないだらけなので、そのうちわかるかもしれません。
主題歌 森山直太朗 の 新曲は
なんか、バラード曲でもあり。
悲しい歌詞でもありました。
歌っていることから。慎む悲しい歌詞とか悲しい出来事を思い出しながら
作られた曲でもあるかもしれません。
歌詞と歌詞が音楽を強くいれる曲でもあります!
それぐらいに素晴らしい曲でもありました!
まだ。見てない方は是非とも見てください!
これから見る方も是非ともおすすめします!
高齢化社会を描いた社会派作品
松山ケンイチ主演、長澤まさみ助演の社会派ミステリー。高齢化社会を描いた作品でそれなりに見応えはあるのだが、ストーリー自体は既視感がある。2時間ドラマとしては面白かったが、映画として観るほどの価値は無いと感じた。
介護の現実
私自身も母の介護を2年間したことがある。
だからこそこの映画の現実感は実感としてわかる気もする。
介護は家族も追い込まれ疲弊していく。
介護疲れから虐待などに繋がりやすい現実が待っていたりもする。それが現実でも人の命を奪っていいという問題では無い。
それでも自分が自分で無くなっていく事も想像に難く無い。
介護士の方は家族や利用者さんの問題を解決もしてくれる。
その現実を見ているからこそ、その辛さもわかるのだろう。
この映画の介護士は家族そして介護を受ける方達を死を持って解決していこうとする。あってはならない事。
それは超えてはならない一線だと思う。
今作の松山ケンイチ演じる主人公には殺人を犯す悪意では無い思いが感じられる。
それは自分の過去が絡んでくる。それもとても辛い現実が。とても悲しい映画だった。
重い問いかけ
原作者・葉間中顕が「ロストケア」を刊行したのが
2013年2月です。
何故この事を書くかと言うと、
相模原障害者施設殺傷事件は、その後の2016年7月で、
葉間中顕さんが「ロストケア」を書く後で相模原の事件は
起きているのです。
私が思ったのは、葉間中顕さんのオリジナル作品で、
相模原事件になんのヒントも得ていない。
その事でなんかホッとしています。
(あの事件は違った意味で特殊、ですから・・・)
原作では大友検事は男性で映画では長澤まさみが演じてるように、
女性に変えられています。
脚本は監督の前田哲と龍居由香里。
この映画の最も優れたシーンは、ラストで、
検事の大友秀実(長澤まさみ)が、
拘置所の斬波(松山ケンイチ)に会いに行き、
驚くべき告白をするシーン。
法の番人である検事の秀実が、父親の20年ぶりの電話と
ショートメールのコンタクトを全く無視して見殺しにしていた事実。
ここで最初の孤独死して2ヶ月後に発見される独居老人の遺体が
大友検事の父親だったシーンと、結びつくのです。
20年、音信不通の父親の電話を無視する・・・そんな事が
出来るのが人間なのですね。
一方で私の友人は、突然連絡してきた父親を受け止めました。
心臓手術を受けるための入院の保証人が必要だったのです。
友人はショックを受けましたが、遠方の病院に通い
付き添って看病をしました。(その後は知りません)
この映画では長澤まさみの一点のシミもシワもない、
完璧なまでの美しさに目を奪われました。
そして殺人犯の松山ケンイチもまた澄んだ
摩周湖のような透明感と清廉な美しさです。
そして脚本も推敲を重ねられ、実に素晴らしく
なんの破綻もなく辻褄が合います。
八賀デイケアセンターの介護士として、末期の認知症などで、
家族を追い詰める《老親》を、まるで家族の意を汲むように
41人も殺めた斬波宗典。
そして最初の一人実の父親(柄本明)を加えると42人になる
《神の代わりに殺めました》《正しい事をした》
長澤まさみの完全無欠な美しさと存在感。
「僕の殺人は救済です」と信じて一点の曇りもない
松山ケンイチの斬波。
ラストで斬波も大友も心が大きく乱れます。
「私が手を差し伸べていたら、父親は生きていた・・・」
泣き崩れる大友。
斬波は父親を手に掛けた後で、折り鶴を開くてと、
たどたどしい字で書かれた父親の感謝の言葉。
「むねのりの、こどもで、しあわせだった」
2人が唯一、素顔を見せた瞬間です。
みんな多かれ少なかれ大友のように、親を見捨てて、
姥捨をして、あの世への引導を渡しているのかも
知れません。
アメリカで「死の医師」と呼ばれて130人を安楽死させた
医師は、殺人犯と非難される一方で、末期患者の尊厳死を
可能にさせた功績もあるとの見方も。
日本映画「ドクター・デスの遺産BLACK FILE」で、
柄本明は「ドクター・デス」を演じていた気がします。
日本の介護保険も始まって23年。
人手不足は深刻で、このままでは5年持たないとの声も
聞きます。
「人生100年時代」などと言いますが、
大いなる幻想ですね。
死ぬ時は家族に迷惑をかけたくないですし、
プライドもあるし、・・・難しい、
本当に難しすぎる「死ぬ事」
そして、
一つだけ、惜しいのは、凄惨な話なのに生活感が薄い・・・
これは長澤まさみの完全無欠な美しさのせいかも・・・ですね。
介護について物申したい
映画はとても素晴らしかった。
検事と犯人、どちらの正義も正義だと感じた。
この場を借りて言いたいことがある。
うちの両親とも、車いす生活で要介護3〜5を経験している。父親が亡くなってから、5年後に母親が車いす生活となった。
介護される方は、最初は感謝の言葉を述べるが、それが当たり前になってくると一番辛いのは自分だと我が儘になる。介護する方も、出来る限りの事をしようと精一杯お世話をするが、それが当たり前と思われると辛くなる。
世の中の大半の人は、施設に預ける事を「悪」と感じていて、預けられた人を可哀想と言う。
実態を知らないのに、口は出すべきではない。
当事者はいっぱいいっぱいなのだ。
家で介護をされるのが幸せと思っているのは、介護に関わっていない人達ばかりだ。
施設の方が行き届いたサービスを交代しながら24時間してもらえる。介護される方もその方が幸せだし、家族も安心して毎日を送れる。
このロストケアされてしまった人達も、最後まで家で診ているから苦しくなる。
金銭面で施設にお世話になるのは難しい人もたくさんいるのは知っている。自分も、それだけの貯えを作れるか不安だ。
それこそ、私自身が介護を必要とする身体になったら、介護されるより死を選びたいと思う。その頃に、尊厳死という制度が出来ていれば…と思っている。
父が寝たきりになり、食べ物も嚥下食しか食べられなくなった時「早く死にたい」と呟いた声は、10年以上経っても忘れられない。
重厚で心えぐる
非常に思いテーマを扱った作品で、関心はありつつも他人事、将来のことと心の奥で見えない、見ないようにしているところをえぐる作品。
松山ケンイチと長澤まさみの演技の実力を感じる作品。でも何より柄本明のあの演技、観客が耳を傾けてかろうじて聞き取れる苦しみの言葉に震えた。
安全地帯と穴の底は紙一重。
現実問題として他作品でも同じだが、検事や検察事務官があそこまで捜査するのかという問題は置いておかねばならない。
安楽死と殺人は紙一重
小説「ロスト・ケア」(葉真中 顕 著)を数年前に読んだが、時代が変わり、内容を変更して映画化をしたのはよいことです。
寝たきり高齢者を殺していく介護士と女性検事のやり取りが続く映画です。最近見た映画「PLAN75」は高齢者の安楽死をテーマにしています。
答のない問題なので、マスコミも政治家も社会も個人も議論を避けています。
安楽死と殺人は紙一重なのに。
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