ロストケアのレビュー・感想・評価
全448件中、41~60件目を表示
安楽死の是非
今作は安楽死をテーマにしている。当然のことながら、問題は認知症などの症状が甚だしい人々に対する介護の負担を、家族などの当事者に全て押し付けていることだ。問題を解決するには、そういった介護の負担の大きい人々を受け入れる体制の拡充が考えられる。しかし、それができるなら既に実施されている。実際には介護業界の人手不足や財源の捻出の問題からできないとなると、やはり安楽死を制度化する必要があるんじゃないだろうか。
そもそも、今作に出てくるような認知症の進行が甚だしい人々も、正常な判断力を持っていた頃ならば、自分の尊厳が傷つくような状態になってまで生きたいとは思わないのが多数派だろう。プライドは無くなっていないわけで、だとすれば、やはり人としての尊厳を保ったまま人生を終えられた方がいいんじゃないだろうか。検事が犯人の行動は身勝手な正義と言っていたが、それは自分が介護に携わらなくて済む人間の綺麗事にしか聞こえない。以上の点から、真犯人の行動は法律に反しているとはいえ共感できるものだった。
ストーリーの構成は、真犯人が明らかになった辺りから、やや冗長になってくる印象を受けた。検事の父の孤独死のエピソードも、彼女の心境の変化を描きたかったのだろうが、入れる必要があったのか疑問だった。しかし全体としては良い映画だった。
「考えさせられる」は、必ずしも「良い作品」を意味しない
「泣ける」は、必ずしも良い作品を意味するわけではない。
それと同じで、「考えさせられる」からといって良い作品ではない。
そんなことを感じた作品だった。
親の最期は、ポックリであってほしい。
これは辛く厳しい介護をしている限界状態の子どもだけなく、いずれ訪れる親の老後にそこはかとない不安を抱える人にも共通の想いかもしれない。
親側も、子どもに手間をかけずポックリ死ぬことが理想だと考える人が多いだろう。
介護に疲れ果てた末の親殺しや無理心中が同情をもって語られがちなのも、介護の苦労が容易に想像できるからだ。
そういう意味で、この映画はとても考えさせられる。
松山ケンイチ、長澤まさみ、柄本明、鈴鹿央士、藤田弓子らの俳優陣も素晴らしく、登場人物たちの苦悩は胸に迫る。
しかし、制作側のスタンスは最後までわからない。
それぞれに事情があり、それぞれの正義がある。
という、映画を見る前から自明のことが再確認できるだけだ。
最終的な答えを観る人に委ねる映画が嫌いなわけではない。
しかしこの映画は観る人に委ねすぎて、逃げているように感じてしまった。
考えさせられる映画ではあるが、考えたいだけならこの映画のあらすじをを読むだけでいい。
とにかく辛い
考えさせられる
現代における問題で、身近なストーリーだと思う。
犯人の気持ちも分かる。自分も同じ立場なら、同じことをしかねないかもしれないと色々と考えられさせた。誰も悪くない、ぶつけようのない悲しみや怒り。辛い世の中。助け合える輪があれば、もう少し違う未来があったのかな。
役者さんたちの演技がこれまた素晴らしい。余計なものはなくて、引き込まれる。柄本明さんがやはり大ベテランということもあり、さすがだった。最後の折り紙は泣くしかない。刑務所面会で、斯波が泣けたのが少しでも救いになっていますように。
ご飯作りで途中で止めて分けて観てしまったけど、ちゃんと時間とって2時間で観ればよかったーーー。
まさに介護はじまったところなのでリアル
あの衝撃的な大量殺人のターゲットを少し変えて映画化したようで恐る恐るアマプラで鑑賞。
冒頭の長澤まさみのいるシーンが付箋回収されるのに衝撃を感じた。
また長澤まさみの親の描写、まさに自分の親にあてはめてしまうリアルさに見入ってしまった。親の介護はいまや誰もがいつかは直面することなのだが、実際始まるまではよくわかってないのが現実だと思う。私もそう思ってたが、急にその日はやってくることもあるし、じわじわくることもあるから誰もが人ごとではないと思う。
壮絶な介護しているシーンがとても見ていて辛かったが、それが現実な人はたくさんいるはずなので、日本の問題点をあぶりだしてくれている大切な作品なのではないかと思う。
ただ実際の事件は本当に遺憾ではあるし犯人には同情したくはないとは思うが。
単なる身勝手な殺人
親の介護による家族の疲弊を扱った重いテーマの映画。一部の介護には家族の疲弊を伴う社会問題にもなっているケースもあるが、別に介護がみんな悲惨な疲弊を伴うとは限らない。この映画は、介護に関して紋切り型の印象を与えている。認知症の人の描写が、わがままで怒鳴り散らして手がつけられないというのも紋切り型の発想だ。
内容も深そうで、そうでもない。過酷な介護を経験した松山ケンイチ演じる犯人も救われない被害者だとでも言いたいのか。自分の父親を殺したあの状況までは同情するが、「(介護で疲弊した家族を)救うために」と多くの老人(他人の親)を殺したのは同情の余地はない。親がどんな状態になっても、どんなに介護が大変でも、親に生きてもらいたいと多くの人が考えるはずだ。こんな身勝手な殺人と介護疲弊の問題とを結びつけるのはおかしい。最後長澤まさみ演じる検事が犯人になぜあんなに感情移入するのかも理解できない。
私の中では救済かもしれない
重い お父さんが殺してくれって言うところほんまにしんどい。 もし親...
尊厳死の救い
膵臓癌で治療の見込みもなく半年痛みで苦しみ抜いた母に
「安楽死させてほしい」
と何度もお願いされたことを思い出した。
わたしも斯波のように「救いたい」と何度も思った。
なんでもできた人が、人に迷惑をかけたくないという優しい人が、治る見込みもないと理解しながら緩和病棟の看護師さんに手数をかけて、緩和治療で鎮痛剤という麻薬を投入して、ただ呼吸と排泄をしている状態は「生きる」いうことなのか、と母は葛藤していた。
言葉や状況がわからない子供の世話は将来できるようになっていく手助けだけど
親の介護はできてたことができなくなっていくのを死ぬまで見続けていかなければならないという苦行と誰かが言っていた。
「救われた」と新しい生活に期待をする人もいた。
最後法廷で、「人殺し!」と叫んだ人もいた。
でも人殺しと叫んだ人も親が死んだ時は、「ああ、終わったんだ」と安堵した瞬間はあったと思う。
被害者遺族もまた、真実を知った時、多角的な正義の狭間でもがくんだろうな。
映像はとてもシンプルで、長澤まさみの舞台のような発声の仕方が際立っていた。
都合の悪いことや嫌なことは「切り棄てる」ことによって効率の良い人生を生きようとする。
もともと私たちは無垢を失っているのに、キリストのリダンプションをつうじて、一挙にじゃなく、ゆるゆると時間をかけて、私たちは無垢に戻るのだ。オコナーは言っている。現実での過程をとばして、安易にニセの無垢に戻ることが、つまりセンチメンタルだと言うわけだ。
ともかく「ゆるゆると時間をかけて」するべきことを一挙にやろうとしたり、やれたと思ったりする時に、センチメンタリティが動く。自己実現した人がいると思ったり、誰かの役に立つとか、「治す」とかを安易に考えるのはセンチメンタルなのであろう。
あまりにも安易にロストケアを描くと人生の全体性を失う。切り棄てることをやめて生きようとする人は、自分の物語りを作らなくてはならない。その過程こそが大切だと思う。
そんなことが身に染みてきた映画であった。
安易にセンチに陥いるふたりの主人公に同情の念が湧き上がってくるのは果たしていかがなものであろう。
社会的に切実な問題を注目に導く価値ある作品。介護に直面した人には犯...
現実と本質をえぐる驚異的な作品、圧倒的な長澤と松山、柄本明
個人的にあまりの衝撃に嗚咽が止まりませんでした。
長澤まさみの状況があまりにもわたし自身に酷似しており、最後のシーンは自分の心を代弁されているように感じたからです。
私も社会人になってすぐに両親が離婚、父親のギャンブルが主な理由でした。
その後も父とは不定期に連絡をとっていましたし、孫の顔も見せたりしていましたが、年々連絡もしつこくなり、同じような事で仕事中にも関わらず連絡が何度も来て、金の無心もあり、耐え切れず着信拒否にしました。
数年後のある日、単身赴任先の地方で見知らぬ東京の固定番号から何度も着信があり、掛け直してみると父が人工透析で通っている病院からで、透析日に来院しないことから緊急連絡先にしていた私の番号にかけたという経緯でした。
東京に住む妹に緊急で見に行かせたところ、古ぼけたアパートの風呂で倒れていました、脳梗塞。
一命は取り留めたものの、後遺症で意思疎通はとれず、施設へ寝たきりとなりました。
劇中の長澤の父親の部屋にも勝るとも劣らないボロアパートのゴミ屋敷に父は1人で住んでいました。部屋を引き払うため、足の踏み場もない中、業者とたちあっている最中、私たち子供や孫の写真が壁に貼ってあるのを見つけた時には嗚咽してしまいました。そして知りもしたくない事実が出てきたりしましたが、劇中の長澤まさみと同様に私も母にはそうした事実を告げずにきました。理由は長澤まさみと全く一緒です。
観たくないものに蓋をし続けてきましたし、今もそのまま蓋をしています。
そして数年が経過し、この映画であの時の映像と感情が一気にフラッシュバックし、時を引きずり戻された感覚です。
長澤まさみのラストシーンの一言一言が自分の感情を晒されているように感じ、嗚咽が止まりませんでした。
きっと同じような状況は日本中、いや世界中で起きているあまりにも深い闇なんだと思います。
世の中の完全な現実と本質を、恐ろしいほどの完成度で描いている歴史的にも稀有な作品です。
どこまでも暗く、絶対に答えの出ないテーマに、長澤まさみ、松山ケンイチ、柄本明の驚異的な演技の凄みが際立ち、圧倒的です。
多くの人が思うように、何がただしいのかわかりませんし、劇中の松山ケンイチの主張に対し、反論する長澤まさみが陳腐にさえみえてきます。(殺人を肯定するわけではないです)
こうした社会の不幸はますます強まる中、欧州のように尊厳死が法整備される事を強く願います。
なお、やまゆり園大量殺人事件を想起する、モデルとなっているともいわれていますが、猟奇的異常者で優生思想を持つ植松聖死刑囚による同事件とは根本的に違います。
認知症と介護問題を取り扱ったなかなか重ための映画です。 核家族化と...
認知症と介護問題を取り扱ったなかなか重ための映画です。
核家族化と高齢化が進み誰もが直面し得る問題にも関わらず、死に関するセンシティブな問題であるため、家族でもなかなか話題にし難い問題。
家族の形は千差万別であり介護にどう向き合うかも正解は1つではない。この映画も何か結論を示してくれる訳でもない。幸い両親がまだ健在なので我が家でもちゃんと話したことはありませんが、映画を見ながら考えさせられました。
この作品はフィクションだと思いますが、相模原の障害者施設で起きた大量殺人事件を思い出しました。障害者と認知症患者という違いはあれど、終わりの見えない介護に苦しむ家族、介護者と被介護者の尊厳、当事者が望んだとしても嘱託殺人として罰せられ、独力での自立と介護を強制する社会制度。なかなか考えさせられますね。
介護制度の充実が必要でしょうし、安楽死についてもタブー視せずに、真剣に議論しなければいけない時代が迫っているのでしょうね。
死という人類が避けて通れない経験に対して、フラットに問題提起する良質な映画だと思います。
🌀『介護は大変‼️あなたに解るのか❓』
ロストケアー
🇯🇵長野県諏訪市、伊那市
🌀『介護は大変‼️あなたに解るのか❓』
★彡心を揺さぶられる犯罪者の言葉が刺さる🪡
🔵かーるくあらすじ。
介護施設で献身的に介護をする男。
介護していた老人が亡くなった事から闇が見えてくる。何故男は老人を殺したのか?
検事と殺人犯との正義感、そして日本の介護業界の現場を浮き彫りにするサスペンスドラマ
◉72C点。
★彡思う事は色々ありました。殺人はダメやと思いますが、毎日の介護での地獄や苦しみを目の当たりにしてしまうと心が揺らいでしまうねんな。
🟢感想。
1️⃣介護施設業界や家族の事情が伝わる。重たいストーリーやった。
2️⃣どんなに正当性を唱えても殺人はダメやねん❗️しかし突きつけてくる問題や遺族の感想で揺れ動く感情。心の制御が大変やねん。
3️⃣机がピカピカ✨
4️⃣犯罪者に肩入れしたくなる気持ちが湧く⁉️
★彡いやダメダメ🙅🏻でも…考えさせられる?情緒不安定感ハンパないねん。
5️⃣柄本明さんの演技に涙😢
6️⃣俺なら殺人犯に言うね「こちらもあなたのせいで徹夜で仕事をし、42人の遺族の家を回るんだぜ」結構キツイって❗️手間を増やしやがってどアホ💢知らんけど😅
★彡裁判で傍聴席のある遺族の「父を返せ💢」の言葉が救われた。一人でもそう言う遺族がいるのであればやっぱり罪を継ぐわないといけない事を思えました。
🟤今の日本の現場。
親族による介護殺人は一年で45件くらい起きている!8日で一人殺されている計算🧮で一家心中を入れるともっと増す!現状を伝える。
🥲😢🤔🫣🫵👴🧓🙅🏻♀️🏚️⚖️💉📔💮
正解なき時代に高齢者問題を問いかける。
認知症とは…
映画のレビューからは脱線してる?
友人に介護施設で働く介護士がいる。彼が以前言っていたのだが、「認知症って健康だけが取り柄で長生きした人間の成れの果て」らしい。真面目に仕事だけして趣味らしい趣味を持たずに定年退職した人ほどなりやすく、カタい職種の人が多いんだそうだ。
手指は第二の脳と言われるように、仕事や趣味もなくボーっと老後を過ごし、手指を動かさなくなると脳の活性も妨げる。デイサービスなどでやっている園児のお遊戯のようなことは、認知症予防に非常に簡単で効果的とのこと。自分も気をつけなきゃ、って思った。
言われてみれば、うちの両親も仕事以外にやることがなく、仕事を辞めてから坂を転げ落ちるようにボケていったっけ。
そして迷惑をかけ続ける父に「早く死んで」と願ったこともある。これはいつの日か自分に帰ってくる悲しい願いなのかも…。
現実にこの映画のようなことを実行して褒められるはずもない。だけど、端から否定することもできない。
この国は長い間病んでいる。30年以上足踏みしたままだ。高齢化、少子化、人口減少、エネルギー、食糧、領土etc…たくさんの大きな問題を抱えて右往左往している。まるでこの国自体が治療不可の認知症のようだ。
大きな声では言えないが、「PLAN75」のような世界もアリなのかも知れない。むしろ個人的にはソレを望みたい。それがこの映画を観た素直な感想だ。
とても考えさせられる作品
ヘルパーとして働いていた斯波
同僚や利用者の家族からも信頼されていた
ある時、利用者と斯波の事業所の所長が亡くなっていた
弁護士の大友は、事業所のことを調べて斯波の犯罪だと思い直接話をした
斯波は殺したのではなく、救ったのだと言って斯波なりの考え方を述べたという内容だった
個人的なことになりますが、介護にかかわっている者なのでとても考えさせられる内容だったと思います
テレビでよくみる身体的なケアももちろん大変ですが、それ以上に精神的にしんどくなることが介護にとって一番大変だとお思います
この作品は、そこの部分がとても描かれいると思いました
斯波の考え方には個人的には同意します
家族だからとかの考え方は捨てて、個人としてその人のことを考えた方がいいと思います
行政なども手を貸してもらえなく自分たちだけでなんとかしようと思ってしまうところもリアルでした
安全地帯にいる人達などほんの一握りです。経済的なことなどもあるので
みなさんつらいと思いながらなんとかやっていっているんだなと思います
全448件中、41~60件目を表示