ロストケアのレビュー・感想・評価
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斯波「これはもう人間の生活じゃない」!!
自然な台詞読みと丁寧なストーリー展開で、出だしから没入し易かったです。誰にでも当てはまる、現代日本の難しいテーマ(斯波の言う社会の「穴」の存在)を見事に映画にしていました。斯波が知的で冷静な人物で好みでした。認知症と怪我で寝たきりになったお父さんが、「殺してくれ」と言うシーンで泣きました。まあ私もそうなのですが、大友が自分も父を見殺しにしたと振り返るのも良かったです。長年に渡り親が良い関係作りを放棄した場合、子が進んで面倒を見ると言う事は無いと思います。何かイイハナシダナーで終わりますが(2002年の「サイレントヒル2 最期の詩」もこのような終わり方でした)、判決はどうなったのでしょうか。どうぞ冷酷な現実を突き付けて下さい。煙草を2本直接食べると死ぬらしいので、注射器は不要だと思います。
泣ける、そして考えさせられる
喪失の介護
優秀な介護士が喪失の介護で人々を救う話
ケアセンター職員が盗みに入って死んでいた事件から介護士と検事のやり取りを通し殺人か救いかを問う。検事が被告に自分の罪を語り互いに共感END。
安全地帯から語る人間と穴に落ちた人間の違いから本当の正しさを問いかけている。
やまゆり園事件が思い浮かぶが、京都伏見介護殺人事件から影響を受けている。
本当の犯人は?
いつものように、予備知識ゼロで観られてラッキーでした。介護の話ということも知らなかったので、冒頭から「え、どういう話?」というところからぐいぐい興味をそそられました。まさに介護に奮闘中という個人的状況も相まって、登場人物らに共感しまくりでした。ミステリー仕立てということもあり、見せる順番がなかなか素晴らしかったと思います。意外と早い段階で「犯人」が明らかになって拍子抜けしましたが、そこから先が見所であり、今作の強い思いが強烈にほとばしっていて、心を揺さぶられました。本当の犯人は誰なのか、社会に突きつけられたように感じました。松山ケンイチ、長澤まさみの名演技、流石でした!エンドロールで前田哲監督だと知って、そこも知らずに観ていたので嬉しかったです。作品によって多少好みの違いはありますが、「極道めし」(11)、「老後の資金がありません!」(21)、「そして、バトンは渡された」(21)などと共に、今作も大好きな前田作品となりました。
誰かを救う事は自分を救う事と同義
深夜の鑑賞は‥
2025年の幕開けを『あんのこと』で飾ってしまったことを後悔したのも束の間、お正月気分も抜け日常に戻って週末のお楽しみ、(最近とんと映画館に足を運べてないため)日付が変わってからAmazon primeで前から観たかったこの作品に臨みました‥が、またやってしまいました!
二作品とも素晴らしい映画であることは全く間違いないのですが、やはり観る時間帯は重要ですね!?重い気持ちでこれを書いています。
まず大友検事(長澤まさみさん)がお母さんに頭をよしよしされたあたりから伏線回収のエンディングまで涙腺崩壊でした。
毅然とした安全地帯の検事さんがある意味殺人鬼(?)である斯波(松山ケンイチさん)に論破されて珍しく感情的になった理由も回収してましたし、判決後と思われる面会室で大友の告白(懺悔?)に斯波が涙するあたりも二人の抱えていた重いものに納得させられました。
私ごとですか母は60代半ばで父も70代半ばも他界し介護の経験はないのですが入院中、痴呆が見られ始めた直後、あっさり亡くなったしまった父には哀しい半面、心の深いところでは少しホッとしてしまっていたような気がしてなりません。
また離婚してもかつての連れ合いを想う大友の母親(藤田弓子さん)の気持ちもよくわかります。結婚当初から仲の良かった友人夫婦がちょっとしたすれ違いから離婚してしまったのち元旦那さんの方が仕事先で急に亡くなり、その知らせを聞いて愕然としていた彼女を目の当たりにしたこともありましたので。
それにしても松山ケンイチさん、長澤まさみさんの素晴らしい演技には圧倒されましたし、いつも一癖も二癖もある柄本明さんにもやられましたね。淡々と進む話の流れの中表情で多くを語る長澤まさみさんには「ただのダー子やスオミではないな」っていつもながら感心してしまいました。「出た〜クボタ〜!」のCMでは新年から帰国されてホッとしています。松山ケンイチさんも『NANA』で初めて見て『DETH NOTE 』では「なんだかわからない若者だな」って思ってましたが、今や様々な役どころを演じ分けられる素敵な役者さんになられて小雪さん同様お父さんは嬉しい限りです。(誰のお父さん?)
現代社会の直面している重い課題に切り込んだ作品ですが遺族の二人、戸田菜穂さんと坂井真紀さんのそれぞれの対比がこの課題の難しさを物語ってました。
ドクターデスは未見ですが尊厳死・安楽死で戦うドクターキリコ(斯波)とブラックジャック(大友)のようにも見えてきました。
いつ自分たちも安全地帯から穴に落ちてしまうかもしれないこと、考えさせられますし、大友が語る「見えるものと見えないものではなく、見たいものと見たくないもの」は真実ですね!見たくないものをあえて見ようとするようにしなければと思った次第です。考えさせられるいい映画でした。
※でも深夜に観ることおすすめできる作品ではないこと、やはり間違いありませんでした!
サイコパス映画。彼を極刑にするな。安全地帯へ追い込め!
なんか朝からこんな映画見てしまって、つくづく陰鬱になる。日本は民主主義国家である事をもう一度認識すべきだ。
共感を多発させていただいたが、虚しいだけだね。
過酷な現実を見せつけ、司法制度の『死刑制度』と言う隙間を狙って、殺人鬼に検事が言い負かされる。それがこの映画の主旨なのだが、それが問題を提議する事に繋がるのだろうか?
死刑制度を廃止すれば、安全地帯はなくなる。そして
あの、相模原での事件を思い出すがそれで良いのだろうか?
サイコパスな快楽殺人鬼が『暗い穴の中に愛情と負担の間で、もがき苦しんでいる人が沢山いた。しかし、世の中はそう言った人達を助けるどころが、“自己責任”とか言って、自分達の勝手な理屈を振りかざして、さらに追い詰めて行く』とのたまう。
『でも、貴方がやった事は誤った正義感による殺人です』
彼女はさらに続ける。
『死による救いはまやかしです。死を望んだのではなく、あなたは、あきらめたのです。』
しかし、サイコパスは力強く
『なるべく、苦しまない様に送り出すのは当然でしょ』
しかし
さらに
『貴方は僕の父のような状態になっても生きていたいですか』
サイコパスの本領発揮。
僕なら速攻で答える。
『生きていたい』
司法制度を安全地帯と例える事自体が稚拙。
ましてや、検事がそんな話で取り乱す訳が無い。
日本は曲がりなりにも民主主義国家である。
リテラシーの無い相変わらずの大日本帝國MOVIEのDNAが破裂する。
”自己責任と言って”と言う言葉が出て来るが、その言葉を発して福祉の予算を削ったのは、立法の議員たちである。『妖怪の孫』をご覧あれ。正にその言葉を発している。
PLAN〇5と同じ、福祉予算を削る為のプロパガンダ映画である。この様な映画を見ている若者諸君!これはあなた達の未来ですからね。僕はもう安全地帯なので。
見て見ぬふりはもう出来ない。
とても面白かった。
はじめに斯波と言う男が
いかに素晴らしい介護士かを描き、
謎解きはそこそこに一気に問題提起まで持って行く
脚本が素晴らしかった。
斯波がやった事は本当に悪ですか?
と言うことをこれでもかと見せてくる。
これはじゃあ嘱託殺人は良し、安楽死は良し
と言う事ではなく、
安心出来るところからただ見てるだけでなく、
この問題をじゃあどう解決しますか?
と言うものであって、
ラストももう少し先を見せてくれ
解決してくれと思ったけど、
ここで終わらせると言う事は、
各々ちゃんと考えないといけないよ?
と言う事だと思いました。
このままだと斯波がやった事は
良い事のように思ってしまう。
だけど絶対間違ってるはずだから。
社会のシステムを変える事は容易ではないけど、
自分の親と自分に介護が必要となった時に
どうするのかが正しいのか、
家族と共に考えないといけない。
私が原作に惹かれすぎていました
公開時に二度観に行ったが今回は家で。
公開前、原作本の厚さにかなり内容がカットされると思い読了。それから予告を観て「えっ!」となってしまった。検事が長澤まさみに、男性から女性になったのは全く抵抗を感じなかったが、原作では最後に松山ケンイチが演じた斯波が犯人と分かる。それまで全く考えていなかったので読んだ時は「えええっ!」となったものだ。これは私の読み込みが浅いとも言えるが。
斯波が犯人と最初から分かる物語にどう再構築するのか。と、映画を観に行ったがどうしても原作と違う組み立てに混乱していた。
そして考えてしまったのが斯波の父としての柄本明の起用。すごすぎた。私の感覚だがW主役の二人を圧倒してしまった。それが検事の母と犯人の父の介護の差をより印象的にするが、演技の見事さにいつまでも斯波の父の姿が頭から離れてくれなかった。その結果他の話が薄く感じられてしまった。
そして映画冒頭で「刑務所に入れて」と頼む老婆。少しコミカル的で長澤まさみの顔にも苦笑が浮かぶ。しかし原作でははっきりと社会問題と扱う。映画未登場だが弱い者を食い物にする人物も登場する。
確かにこの映画は他人事ではない介護問題を扱う。しかし柄本明の名演に全て持っていかれたという印象を捨てることができない。そしてラストの二人の面会。検事が死刑囚に救いを求めている? そう見えてしまう。
原作があると映画公開前に読むのはカットされる部分を脳内補完したいのと、映画と原作の違いを楽しんでいるつもりだ。原作主義ではないと思っている。だがこの作品は原作に軍配を上げたい。
付け足しになるが斯波が怪しいと分析される方法も原作ではページを使っていて面白い。
生きてるのに
介護の辛い現実を世の中は、まだまだ知らない事の方が多いと思う。僕自身が実際に介護に関わる事がほとんどないからです。
認知症の方を見ると少しだけ、家族の方が大変で気の毒だなって思う反面、家族なんだから当然の義務でしょう!と押し付けてしまっている部分もあります。
自分の家族が自分の事を認知出来なくなっても自分が同じように考える事が出来るのか?
今の自分が一ミリも想像が及ばなく、自分の浅はかさを思い知らせる気がしました。
生きているのにこれほどまでに辛い現実ならいっそのこと殺してしまえばいいんじゃないの?と悪魔の囁きにも自分は、思っているよりも簡単に転がってしまうかもしれない。
社会という歯車の中で見えてない部分にこそ、スポットライトを当てていかないといけない現実がある事を改めて感じました。
誰かを救いたいと安易に考えて、その人に手を伸ばした所でどれだけの力になるか分からない。
見たいものばかりではなく、知らないといけない事を常々に増えていくばかりなんだと考えさせられる作品でした。
穴
安楽死の是非
今作は安楽死をテーマにしている。当然のことながら、問題は認知症などの症状が甚だしい人々に対する介護の負担を、家族などの当事者に全て押し付けていることだ。問題を解決するには、そういった介護の負担の大きい人々を受け入れる体制の拡充が考えられる。しかし、それができるなら既に実施されている。実際には介護業界の人手不足や財源の捻出の問題からできないとなると、やはり安楽死を制度化する必要があるんじゃないだろうか。
そもそも、今作に出てくるような認知症の進行が甚だしい人々も、正常な判断力を持っていた頃ならば、自分の尊厳が傷つくような状態になってまで生きたいとは思わないのが多数派だろう。プライドは無くなっていないわけで、だとすれば、やはり人としての尊厳を保ったまま人生を終えられた方がいいんじゃないだろうか。検事が犯人の行動は身勝手な正義と言っていたが、それは自分が介護に携わらなくて済む人間の綺麗事にしか聞こえない。以上の点から、真犯人の行動は法律に反しているとはいえ共感できるものだった。
ストーリーの構成は、真犯人が明らかになった辺りから、やや冗長になってくる印象を受けた。検事の父の孤独死のエピソードも、彼女の心境の変化を描きたかったのだろうが、入れる必要があったのか疑問だった。しかし全体としては良い映画だった。
「考えさせられる」は、必ずしも「良い作品」を意味しない
「泣ける」は、必ずしも良い作品を意味するわけではない。
それと同じで、「考えさせられる」からといって良い作品ではない。
そんなことを感じた作品だった。
親の最期は、ポックリであってほしい。
これは辛く厳しい介護をしている限界状態の子どもだけなく、いずれ訪れる親の老後にそこはかとない不安を抱える人にも共通の想いかもしれない。
親側も、子どもに手間をかけずポックリ死ぬことが理想だと考える人が多いだろう。
介護に疲れ果てた末の親殺しや無理心中が同情をもって語られがちなのも、介護の苦労が容易に想像できるからだ。
そういう意味で、この映画はとても考えさせられる。
松山ケンイチ、長澤まさみ、柄本明、鈴鹿央士、藤田弓子らの俳優陣も素晴らしく、登場人物たちの苦悩は胸に迫る。
しかし、制作側のスタンスは最後までわからない。
それぞれに事情があり、それぞれの正義がある。
という、映画を見る前から自明のことが再確認できるだけだ。
最終的な答えを観る人に委ねる映画が嫌いなわけではない。
しかしこの映画は観る人に委ねすぎて、逃げているように感じてしまった。
考えさせられる映画ではあるが、考えたいだけならこの映画のあらすじをを読むだけでいい。
とにかく辛い
考えさせられる
現代における問題で、身近なストーリーだと思う。
犯人の気持ちも分かる。自分も同じ立場なら、同じことをしかねないかもしれないと色々と考えられさせた。誰も悪くない、ぶつけようのない悲しみや怒り。辛い世の中。助け合える輪があれば、もう少し違う未来があったのかな。
役者さんたちの演技がこれまた素晴らしい。余計なものはなくて、引き込まれる。柄本明さんがやはり大ベテランということもあり、さすがだった。最後の折り紙は泣くしかない。刑務所面会で、斯波が泣けたのが少しでも救いになっていますように。
ご飯作りで途中で止めて分けて観てしまったけど、ちゃんと時間とって2時間で観ればよかったーーー。
まさに介護はじまったところなのでリアル
あの衝撃的な大量殺人のターゲットを少し変えて映画化したようで恐る恐るアマプラで鑑賞。
冒頭の長澤まさみのいるシーンが付箋回収されるのに衝撃を感じた。
また長澤まさみの親の描写、まさに自分の親にあてはめてしまうリアルさに見入ってしまった。親の介護はいまや誰もがいつかは直面することなのだが、実際始まるまではよくわかってないのが現実だと思う。私もそう思ってたが、急にその日はやってくることもあるし、じわじわくることもあるから誰もが人ごとではないと思う。
壮絶な介護しているシーンがとても見ていて辛かったが、それが現実な人はたくさんいるはずなので、日本の問題点をあぶりだしてくれている大切な作品なのではないかと思う。
ただ実際の事件は本当に遺憾ではあるし犯人には同情したくはないとは思うが。
単なる身勝手な殺人
親の介護による家族の疲弊を扱った重いテーマの映画。一部の介護には家族の疲弊を伴う社会問題にもなっているケースもあるが、別に介護がみんな悲惨な疲弊を伴うとは限らない。この映画は、介護に関して紋切り型の印象を与えている。認知症の人の描写が、わがままで怒鳴り散らして手がつけられないというのも紋切り型の発想だ。
内容も深そうで、そうでもない。過酷な介護を経験した松山ケンイチ演じる犯人も救われない被害者だとでも言いたいのか。自分の父親を殺したあの状況までは同情するが、「(介護で疲弊した家族を)救うために」と多くの老人(他人の親)を殺したのは同情の余地はない。親がどんな状態になっても、どんなに介護が大変でも、親に生きてもらいたいと多くの人が考えるはずだ。こんな身勝手な殺人と介護疲弊の問題とを結びつけるのはおかしい。最後長澤まさみ演じる検事が犯人になぜあんなに感情移入するのかも理解できない。
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