ロストケアのレビュー・感想・評価
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社会的に切実な問題を注目に導く価値ある作品。介護に直面した人には犯...
社会的に切実な問題を注目に導く価値ある作品。介護に直面した人には犯人が完全な悪には思えないかも。私もそう。
犯人は最初から分かっているので、この善人がどこで豹変するのかともうワクワク。松山ケンイチ、長澤まさみ、柄本明等演技合戦的側面もありそこも面白かった。妙に凝ったカットなど不要に思えた。
晩年は誰もがケア施設に安心して入居できる、そんな社会はやって来るだろうか。
現実と本質をえぐる驚異的な作品、圧倒的な長澤と松山、柄本明
個人的にあまりの衝撃に嗚咽が止まりませんでした。
長澤まさみの状況があまりにもわたし自身に酷似しており、最後のシーンは自分の心を代弁されているように感じたからです。
私も社会人になってすぐに両親が離婚、父親のギャンブルが主な理由でした。
その後も父とは不定期に連絡をとっていましたし、孫の顔も見せたりしていましたが、年々連絡もしつこくなり、同じような事で仕事中にも関わらず連絡が何度も来て、金の無心もあり、耐え切れず着信拒否にしました。
数年後のある日、単身赴任先の地方で見知らぬ東京の固定番号から何度も着信があり、掛け直してみると父が人工透析で通っている病院からで、透析日に来院しないことから緊急連絡先にしていた私の番号にかけたという経緯でした。
東京に住む妹に緊急で見に行かせたところ、古ぼけたアパートの風呂で倒れていました、脳梗塞。
一命は取り留めたものの、後遺症で意思疎通はとれず、施設へ寝たきりとなりました。
劇中の長澤の父親の部屋にも勝るとも劣らないボロアパートのゴミ屋敷に父は1人で住んでいました。部屋を引き払うため、足の踏み場もない中、業者とたちあっている最中、私たち子供や孫の写真が壁に貼ってあるのを見つけた時には嗚咽してしまいました。そして知りもしたくない事実が出てきたりしましたが、劇中の長澤まさみと同様に私も母にはそうした事実を告げずにきました。理由は長澤まさみと全く一緒です。
観たくないものに蓋をし続けてきましたし、今もそのまま蓋をしています。
そして数年が経過し、この映画であの時の映像と感情が一気にフラッシュバックし、時を引きずり戻された感覚です。
長澤まさみのラストシーンの一言一言が自分の感情を晒されているように感じ、嗚咽が止まりませんでした。
きっと同じような状況は日本中、いや世界中で起きているあまりにも深い闇なんだと思います。
世の中の完全な現実と本質を、恐ろしいほどの完成度で描いている歴史的にも稀有な作品です。
どこまでも暗く、絶対に答えの出ないテーマに、長澤まさみ、松山ケンイチ、柄本明の驚異的な演技の凄みが際立ち、圧倒的です。
多くの人が思うように、何がただしいのかわかりませんし、劇中の松山ケンイチの主張に対し、反論する長澤まさみが陳腐にさえみえてきます。(殺人を肯定するわけではないです)
こうした社会の不幸はますます強まる中、欧州のように尊厳死が法整備される事を強く願います。
なお、やまゆり園大量殺人事件を想起する、モデルとなっているともいわれていますが、猟奇的異常者で優生思想を持つ植松聖死刑囚による同事件とは根本的に違います。
認知症と介護問題を取り扱ったなかなか重ための映画です。 核家族化と...
認知症と介護問題を取り扱ったなかなか重ための映画です。
核家族化と高齢化が進み誰もが直面し得る問題にも関わらず、死に関するセンシティブな問題であるため、家族でもなかなか話題にし難い問題。
家族の形は千差万別であり介護にどう向き合うかも正解は1つではない。この映画も何か結論を示してくれる訳でもない。幸い両親がまだ健在なので我が家でもちゃんと話したことはありませんが、映画を見ながら考えさせられました。
この作品はフィクションだと思いますが、相模原の障害者施設で起きた大量殺人事件を思い出しました。障害者と認知症患者という違いはあれど、終わりの見えない介護に苦しむ家族、介護者と被介護者の尊厳、当事者が望んだとしても嘱託殺人として罰せられ、独力での自立と介護を強制する社会制度。なかなか考えさせられますね。
介護制度の充実が必要でしょうし、安楽死についてもタブー視せずに、真剣に議論しなければいけない時代が迫っているのでしょうね。
死という人類が避けて通れない経験に対して、フラットに問題提起する良質な映画だと思います。
🌀『介護は大変‼️あなたに解るのか❓』
ロストケアー
🇯🇵長野県諏訪市、伊那市
🌀『介護は大変‼️あなたに解るのか❓』
★彡心を揺さぶられる犯罪者の言葉が刺さる🪡
🔵かーるくあらすじ。
介護施設で献身的に介護をする男。
介護していた老人が亡くなった事から闇が見えてくる。何故男は老人を殺したのか?
検事と殺人犯との正義感、そして日本の介護業界の現場を浮き彫りにするサスペンスドラマ
◉72C点。
★彡思う事は色々ありました。殺人はダメやと思いますが、毎日の介護での地獄や苦しみを目の当たりにしてしまうと心が揺らいでしまうねんな。
🟢感想。
1️⃣介護施設業界や家族の事情が伝わる。重たいストーリーやった。
2️⃣どんなに正当性を唱えても殺人はダメやねん❗️しかし突きつけてくる問題や遺族の感想で揺れ動く感情。心の制御が大変やねん。
3️⃣机がピカピカ✨
4️⃣犯罪者に肩入れしたくなる気持ちが湧く⁉️
★彡いやダメダメ🙅🏻でも…考えさせられる?情緒不安定感ハンパないねん。
5️⃣柄本明さんの演技に涙😢
6️⃣俺なら殺人犯に言うね「こちらもあなたのせいで徹夜で仕事をし、42人の遺族の家を回るんだぜ」結構キツイって❗️手間を増やしやがってどアホ💢知らんけど😅
★彡裁判で傍聴席のある遺族の「父を返せ💢」の言葉が救われた。一人でもそう言う遺族がいるのであればやっぱり罪を継ぐわないといけない事を思えました。
🟤今の日本の現場。
親族による介護殺人は一年で45件くらい起きている!8日で一人殺されている計算🧮で一家心中を入れるともっと増す!現状を伝える。
🥲😢🤔🫣🫵👴🧓🙅🏻♀️🏚️⚖️💉📔💮
正解なき時代に高齢者問題を問いかける。
松山ケンイチの静かな演技が光る『ロストケア』は、日本の高齢者問題に鋭く切り込んだ作品です。「重い」「疲れた」という言葉や、観客がつい「ふぅ…」とため息をついてしまうようなシーンが多く、鑑賞後に深い余韻が残ります。
この映画は、「何が正解で、何が不正解なのか」「幸福とは何か」「救いとは何か」といった根源的な問いを投げかけます。自分だったらどうするのか、そして身近にも起こり得る問題であるからこそ、考えさせられる作品です。価値観の違いや、物事を一人で考えるのか、複数の人と考えるのか、誰と向き合うのかによって、導き出される答えは大きく変わることを実感させられます。
認知症とは…
映画のレビューからは脱線してる?
友人に介護施設で働く介護士がいる。彼が以前言っていたのだが、「認知症って健康だけが取り柄で長生きした人間の成れの果て」らしい。真面目に仕事だけして趣味らしい趣味を持たずに定年退職した人ほどなりやすく、カタい職種の人が多いんだそうだ。
手指は第二の脳と言われるように、仕事や趣味もなくボーっと老後を過ごし、手指を動かさなくなると脳の活性も妨げる。デイサービスなどでやっている園児のお遊戯のようなことは、認知症予防に非常に簡単で効果的とのこと。自分も気をつけなきゃ、って思った。
言われてみれば、うちの両親も仕事以外にやることがなく、仕事を辞めてから坂を転げ落ちるようにボケていったっけ。
そして迷惑をかけ続ける父に「早く死んで」と願ったこともある。これはいつの日か自分に帰ってくる悲しい願いなのかも…。
現実にこの映画のようなことを実行して褒められるはずもない。だけど、端から否定することもできない。
この国は長い間病んでいる。30年以上足踏みしたままだ。高齢化、少子化、人口減少、エネルギー、食糧、領土etc…たくさんの大きな問題を抱えて右往左往している。まるでこの国自体が治療不可の認知症のようだ。
大きな声では言えないが、「PLAN75」のような世界もアリなのかも知れない。むしろ個人的にはソレを望みたい。それがこの映画を観た素直な感想だ。
とても考えさせられる作品
ヘルパーとして働いていた斯波
同僚や利用者の家族からも信頼されていた
ある時、利用者と斯波の事業所の所長が亡くなっていた
弁護士の大友は、事業所のことを調べて斯波の犯罪だと思い直接話をした
斯波は殺したのではなく、救ったのだと言って斯波なりの考え方を述べたという内容だった
個人的なことになりますが、介護にかかわっている者なのでとても考えさせられる内容だったと思います
テレビでよくみる身体的なケアももちろん大変ですが、それ以上に精神的にしんどくなることが介護にとって一番大変だとお思います
この作品は、そこの部分がとても描かれいると思いました
斯波の考え方には個人的には同意します
家族だからとかの考え方は捨てて、個人としてその人のことを考えた方がいいと思います
行政なども手を貸してもらえなく自分たちだけでなんとかしようと思ってしまうところもリアルでした
安全地帯にいる人達などほんの一握りです。経済的なことなどもあるので
みなさんつらいと思いながらなんとかやっていっているんだなと思います
メッセージ性が強い傑作品
1.俯瞰の重要性と社会課題
人は経験したことや見る視点によって、考えることや感じることに影響を与える。
作中でも、角度が微妙に異なる4-5の鏡に大友(長澤まさみ)を映し出すシーンがあったり、机に反射する表情を映し出したりと、細かい描写でそれを論じていた。
つまり、種々ある人生観において、正しいとか正しくないということだけでは語ることができないこと。そして、それを表出できる場があったり、受け皿があれば結果は変わったかもしれないという社会課題を浮き彫りにしている。
2.介護問題の解決
8050問題もそうだが、介護の選択肢としては、在宅介護(ヘルパーも一部介助)もしくは施設介護のどちらかであるが、その選択は本人が望むというよりは金銭事情が絡んだり、そもそも選択肢が少ない状況である。
介護における選択の幅が広がっていくことを願っているメッセージ。
3.思い通りにはならない人生に対する悲観
要介護者(柄本明)は認知症で、息子(松山ケンイチ)を忘れる前に殺して欲しいと願う。
しかし、殺される直前に「どちら様ですか」と息子を忘れて殺されるという残酷な現実。
思いどおりにはいかない人生に対して嘆いているように受け取った。
キリストの言葉を使っているのに破壊神シバとは・・・ヒンドゥー教か?
綾戸智恵の刑務所に入れて欲しいという切実な願いにもショックを受けたけし、斯波の父親(柄本明)の認知症演技には驚かされた。もう彼だけでも満点クラスだったが、ストーリーの細かな味付けが足りなかったかな~と残念に思う。
裁判が始まり、死刑を求める声と死刑制度反対という両極のデモも描かれていたのに、「救われた」と感じる遺族の気持ちがそれほど描かれていないところが特に残念。自分の家族のことは自分で決めるものだし、他人には殺されたくない気持ちもわかるだけに坂井真紀の家族だけではどうしても足りないのです。
付け加えるなら、憧れの先輩が連続殺人鬼だと知り、介護センターを辞めてしまった足立由起ちゃん(加藤奈津)。いくらショックだったとはいえ、すぐにデリヘル嬢になるかなぁ・・・それも黄金律?してもらいたいのはやまやまだけど・・・
途中からは『半落ち』(2004)も思い出し、最後に同じ森山直太朗の曲で締めくくるというのもピッタリ。「殺してくれ」と願う認知症患者の気持ちも伝わってくるのですが、身内ならともかく、他人の親に対して勝手に黄金律を踏襲してしまってはダメですよね。
ただし社会派部分は伝わってくる。特に生活保護申請や「安全地帯」という斯波の言葉。結局、権力者たちは勝手に法律を悪用し、貧乏な者をさらに地獄に落としてしまう。まぁ、そこで斯波が破壊神になったわけだな・・・と勝手に解釈しました。
良くない意味で映画っぽい
いやすごく重要なテーマを扱ってると思うんです。
この国のみんなが他人事ではいられない問題というか。
とにかく人間の尊厳ってなんなんだって
「絆」は呪縛でもあるだろって話なんだけど、
いかんせん踏み込みが足りなかった印象。
良くない意味で映画っぽいとこが散見されて
終盤は演出が鼻につく感じがしちゃった。
テーマ共感。カタルシス解放しない問題が問題
内容は、10年前の原作同名の推理ミステリー小説の作品から映画化。この国の介護問題と制度の問題や尊厳死について生々しすぎる程に、其々の人々の生活に光を当てた作品。
印象的な台詞は、『僕は父を殺しました。父殺しを僕が見逃されたのは、きっとやるべき事がまだあるからだと思いました。』法廷で裁判官に向かって、シバ役の松山ケンイチが話す言葉。キラリと光る殺人鬼としての一面が短絡的に垣間見える所が面白かった。手段が目的となる穴に落ちていく様が上手く表現されていたと思います。
印象的な場面は、やはり松山ケンイチの父役の柄本明さんの感情演技でしょう。半身不随と痴呆症の入り混じった演技は、おしゃべりな所が不自然ですが一見の価値ありの怖いくらいの凄い演技です。
印象的な立場は、男女ダブル主演の演技対決。検察官の長澤まさみと殺人鬼の松山ケンイチとの家族に対する立場の違いに焦点が当てられている所です。演技対決は手に汗握る素晴らしい間合いの取り合いとなってます。残念なのは、結果2人は共感するも全体的な問題の解決になっておらず、2人の関係のみのカタルシスの解放になっている所です。2人の演技力対決に終始する物語がなんとも見易かったですが根本的な問題の解決につながらず残念でした。
全体的に介護疲れで尊厳死や生活に対して国家の許可を待てない人達の対応策がステレオタイプの様に描かれていた様に感じます。そこに自分の人生が投影されず自由に選択肢を選べない問題のみを掘り下げた短絡的な所より、もっと深く潜ってほしいと感じました。
介護職を辞めて風俗や水商売に鞍替えするのは常識的な事として認識されていますが化粧をすると全然違う顔と行動になる演技力に目を疑い感心しました。まるで別人格。
それにしても人殺しと法廷で罵られる時の松山ケンイチの唇の演技は上手かった偽善者と殺人鬼のアンビバレンツを見事なものでした。
終始、観ていて気持ちのいい話ではないので、観る人にもよりますが、夜に見る事をお勧めしたいです。昼日中に観るものではありません。気分が滅入りそうになるはずです。
何が「罪」で何が「救い」なのか。
殺人を繰り返す斯波を「狂ってる」と言い切れない。
殺人を断罪する大友を「正しい」とも言い切れない。
まさにこれが本作の「闇深さ」なのではないだろうか。
斯波は人を殺したことを「救った」と表現した。
この言葉すらも僕は完全には否定し切れない。
大友は「あなたに殺す権利などない」と言い放つ。
この言葉さえも僕は完全には同意し切れない。
「救われた」と感謝する遺族もいる。
「人殺し!」と罵倒する遺族もいる。
どちらの気持ちも分かる。だから苦しい。
安全地帯からどんな正論を言っても心には刺さらない。
大友の主張だって何ひとつ間違ってはいない。
でも彼女の言葉は正論と言うより「きれい事」に聞こえる。
それがまた苦しくてたまらないのだ。
罪とは何なのか。救いとは何なのか。
その答えに正解はないし、あったとしても1つではない。
誰もが生きて欲しいし死んで欲しくない。
でも、生きてる方が地獄な状況も確かにある。
頭では分かってる。分かっているのだ。
でも誰もが納得する答えなど、どこにもない。
このやり切れなさをどう受け止めるか。
それぞれの人生観や死生観が試される作品だろう。
生きる自由と死ねる自由
安全地帯、他人事、自己責任、孤独死、見て見ぬふり。映画の中に出てきた言葉を並べると日本の国民性そのものを表している。現代ではそれらがニュースや週刊誌などで取り上げられて表面化してきたけど、実態はもっと昔から問題視されていたに違いない。作品は介護を通して生死について表現していて《ぁあ、将来の自分だな》と虚しさと絶望さえ覚える。映画に登場する弁護士の母は軽度の認知症を患いながらも悠々自適に広々と清潔感があり、心にも余裕がありそうな介護士スタッフに支えられながら暮らしている。一方、田舎暮らしの主人公の父は狭い古びたアパートで重度の認知症があり、室内で腰を痛めて寝たきり。父の介護をしつつアルバイトと父の年金でなんとか生活をやりくりしていたが、介護の方が煩雑化していき、とうとうアルバイトまで辞めざる終えなくなり生活保護を受けようにも門前払いされる。主人公の父は自身のせいで苦しんでいる息子と自身のやるせない姿に耐えかね、「俺を殺してくれ」と頼む。頼まれた息子は自ら編み出したニコチン注射を父親の左腕にうつ。
映画の中で出てきた言葉も含めて思ったのは日本人は生きる事ばかりに光を向けていて、死については影ばかり観ている。ただ、"ふつう"に暮らしていくのも手一杯で生き地獄さえあるのに、押し付けるのように生きる事だけに拘り過ぎている。生きる事が立派な選択肢なら死も立派な選択肢にしないと世の中どんどんオカシクなるのは当たり前。世間で起きている事件で結果的に殺人になってしまった、自殺してしまった事に対して、非難するのは誤り。昔も今も日本人は起きた出来事に対して結果論だけに目を向けて経緯を知ろうとしない。本作も日本社会をよく描いているなあと思いました。
介護のことを考えさせられる内容
家族の介護をしながら、介護職をしています。
介護は子育てと真逆で、昨日できたことが今日できなくなる。
元気でいてほしいがいつまでこの状態が続くのか、急に不安が襲いかかる。
松山さんと柄本さんのやり取りは、実際にいるであろうと思いながら観ていました。
殺した後にこの折り紙の内容を見たらやりきれないです。
生活に困窮し勇気を出して相談に行ったのに、門前払い。生活福祉課は、こんな風にそっけない対応の人がいますね。働きたくても働かないのではなく、事情があり働けない現状。
訪問介護の事業所が利用者の鍵を預かることはほぼないし、利用者が亡くなった後も預かっているのはおかしい。
鍵を預かる必要があればそれなりの対応が必要だし、キーボックスを利用する等しています。
新人が風俗の世界に転職する描写はいらないかな。
たった3ヶ月の介護現場で何がわかるのか。
上記の内容はどうなのかなと思ったけれど、介護という現実問題を考えさせられる内容にはなっていると思います。
ダークヒーロー
Wikiにて、「介護している家族を殺してしまいたい、一緒に死のうと考えたりしたことがある」に「はい」が20%、うち「介護に疲れ果てた時」(77%)、「将来への不安を感じた時」(40%)、に殺害・心中を考える。それをリアルに体現している社会派作品。
作中では長澤さん演じる大友検事の正義感溢れる言葉の一つ一つに気持ち悪さを感じ、松山さん演じる斯波介護士の言葉が穴に落ちてもがき苦しんでいる人を救済する普通の優しい青年に見えた。
“絆”と名を変えた“呪”。大友検事も斯波もお互いの正義をぶつけ合う、そして正解がない。原作が10年前なのに何も変わらない日本の法律や介護士不足の問題が酷すぎる。
身近な事柄なのに目を伏せていた自分をビンタしながら鑑賞した。直太朗さんのエンドロールだけに救いがあるように思えた。
考えさせられる問題作
松山ケンイチ扮する斯波宗典はケアセンター八賀に勤めており誰に対しても優しく接していた。ある日老人とケアセンター長が亡くなった。
老人介護なんて家族でも嫌になるのに死と隣り合わせで他人が面倒みるんだから大変な仕事だ。仕事を休む訳にはいかないと容疑者の斯波は言った。しかし斯波が勤めるセンターの死亡が3年で63人にも及ぶとは。それは恐ろしい話だ。
斯波の父親役の柄本明の怪演が光るね。考えさせられる問題作だったよ。
検事役に長澤まさみ。やっぱり強い女性のイメージなのかな。
どうなんだろう?
斯波が色々理屈言ってたけど、大勢の老人を殺したのは単に父親を殺した罪の意識を薄めたいだけにしか見えない。それに対して、検事が告解の様に自分と父親の話をするシーンが「死刑にいたる病」を連想させた。別に斯波は誰かに何かをさせようとはしてないけど、淡々と語る男に洗脳されたかの様な姿が気持ち悪いかなぁ。
なんか、このシーン要る?って言うのが多かった。
多くの人に観て欲しい作品
観ていて、いつ自分の身に降りかかって来てもおかしくない、まったく他人事ではない内容に、身がつまされました。
普段考えることを無意識に避けている現実問題を突きつけられた気がしました。
松山ケンイチさん演じる男の行動は決して許される事ではないと倫理的に頭ではわかっているのですが、映画を観ていると彼の行ないを肯定したくなり、これも1つの自己犠牲による正義なんではないかと錯覚しはじめ、ともすると、ある種、ヒーロー的にも感じかねないのですが、決して、それで終わってはいけない映画であるとも感じながら観ていました。
最後に裁判傍聴席の女性が叫んだセリフが非常に重要で、
結局、他人の関係性や感情なんて、理解しきれるワケもなく、
外側から土足でそこに踏み込み、自分の価値観だけで自分の正義を振りかざすことは自己満足以外の何ものでもないことをしっかり提示していることはこの映画のキモであると感じました。
救われたなんて決して思っていない人間がいる
一方で救われたと感じる人間もいる
重要なのは松山ケンイチ演じる男の行動の是非ではなく、このような誰の身に振りかかってもおかしくない現実がすぐそばにあり、その時、あなたはどう向き合い対処しますか?問われていることだと感じました。
全414件中、21~40件目を表示