ロストケアのレビュー・感想・評価
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良かった。けど好きじゃない。
介護問題をフィクション使って伝えたいのはなんとなくわかったし、伝わったので良かった。
だた正直好きじゃないジャンル。
もう少し謎解きがあってから、犯人がわかると良かったかもしれない。
終わりもスッキリしない。
超高齢社会の今、必見の作品です。
テーマ、物語、キャストすべてが素晴らしい。
長澤まさみさん、松山ケンイチさんは、各々「MOTHER」「デスノート」で、私にとって特別な存在になりました。
今回も、息を飲む素晴らしい演技で、まばたきするのも惜しいほど目が離せませんでした。
私は、両親をすでに見送っています。
姉弟で相談して、協力して、乗り切りました。
そして、両親に対して、さして深い情がなかったのも、奏功しました。
父は病院で、母は高齢者施設で、いたずらな延命治療なしで息を引き取りました。
私には、息子が2人います。
今の私は、大人になった彼らには、自由に自分の人生を生き、幸せになって欲しいと心の底から願っています。
彼らが自立した後は、一旦親子関係を清算して、年の離れた幼馴染兼親友のポジションで付き合っていくつもりです。
斯波は解けない呪いのように親子関係をとらえていましたが、つくり変えることは可能だと思います。
斯波は、自分を罰したくて、同じ施設で介護士をし、殺人を続けたのかなと思いました。
天外孤独の彼なら、介護士不足の今、各地を転々としながら犯行を重ねることもできたでしょう。
そうしていたら、露見しなかったかもしれません。
とても優しくて、情が深く、けれど自分自身の本心も分からない愚かな人だと感じました。
「やるべきことでも、やりたくなければ、やらなくても無責任ではないし、
やりたいことだけするのは、わがままではないのだよ。
親の人生の責任を子どもがとらなくていいし、自分のことを第一に考えて」
と、ハグして伝えたくなりました。
エンドロール、素晴らしいので、是非最後まで観て欲しいです。
制度設計は慎重に
1年半要介護の母(94歳)と生活をともにし、つい最近失った者として、果たして冷静にこの映画と向き合うことができるだろうか?と少し危惧しましたが、共感できる点共感できない点それぞれあり、意外に大丈夫でした。シリアスなテーマを扱った映画ながら、きちんとエンタメの要素もおりまぜて飽きさせない工夫があるのが功を奏しているのでしょう。(以下ネタバレありです。)
多分主人公の原体験にあったのは、「自らの死を望んだ」父の言葉を聴いたときの衝撃だったのだと思いますが、実を言うと私の母も同じような言葉を発したのは一度や二度ではありませんでした。
介護保険制度はありがたいです。訪問介護には本当に助かりました。まさにエッセンシャルワーカーです。が、会社の仕事を実家在宅で消化しながらの下の世話とか家事一切はそれなりに大変ではありましたので、「その言葉」を聞くときは「これだけ一生懸命やってあげているのに」と寂しさと一抹の悔しさ・怒りがないまぜになった気持ちでブルーになることも多かったです。(最近鑑賞した、フランソワ・オゾン監督が描いた安楽死を巡る「すべてうまくいきますように」にもそうしたシーンがあリ、大変共感しました。)
なので、純粋な主人公が「その言葉」をきっかけに、涙ながらに「その行為」に走ったことは、環境や人によっては、ありうるかもしれないなと思いました。その点が共感した点です。
しかしながら、例えば私の場合、幸いにして母からは、同時に「幸せだった」や「いつもありがとうね」の言葉があったのです。毎日お互い冗談や軽口もありました。なので、「その言葉」もそうしたものに中和されて、母との大切な最後の時間の1シーンとして、少しビターではありますが私の中の幸せな記憶の一つとして刻まれています。なのでそうした行為に繋がる余地は少なくとも私の心の中には、1ミリも発生しませんでした。多分例外はあるかもしれませんが、多くの要介護者を抱える家族も同じ気持ちなのではないだろうか。そう思いました。
斯波と比べるといろいろな意味で恵まれていたのだと思いますが、聞くところによると要介護者の安楽死願望は珍しくはないそうです。なので安易にその願望を充足させる行為を「善意として」行った斯波については、やはり共感することはできませんでした。
日本にもスイスのような安楽死立法を目指す動きがありますが、仮にそうしたものが実現するにしても制度はやはり慎重に設計すべきではないか・・・そんな風に思いました。
演技巧者たちの祭典
健全でいるということ
理知的だった人が、徘徊したり、同じ話を何度も繰り返したりする。
それだけならまだしも、「誰かが自分の財布を盗った」とか「お前のせいで」と八つ当たりをして暴れるようになる。
本人が我に返るときがあれば、それはとてもつらいことだろうし、かつての理知的だった人を知っている縁者にとってもつらいことでしょう。
どこまで割り切れるか、ということを考えます。
「人は誰しも老いるものだから、誰かに迷惑をかけてしまうのは避けられない。それならば、どうすれば迷惑を最小限にできるのだろうか」
と、ある程度までは諦めて考えねば、健全ではいられないのでしょう。
介護する側としては、峯村リエ演じる猪口介護士にように、仕事としては心を籠めながら、私人としては冷めた目線でしっかりと利用者との線引きをするのがもっとも健全なのではないかと感じました。
「線引き」できるためにも、介護は家族がするべきものではなく、他人がするものとするのが一番健全なのではないかなぁ……と観ながら考えていました。
是枝監督の「三度目の殺人」と同じように、司法が人を殺すのと、人が人を殺すのは何が違うのかというテーマもありました。
たとえ苦しんでいる人がいても、司法は法律を盾に殺人を許しません。
「必殺仕事人」やら「ザ・ハングマン」(年がバレますが)のように、私刑を処してくれる組織のドラマは好意的に受け入れられるのに、なぜ斯波は殺人鬼とされるのか。
難しいテーマですが、斯波演じる松山ケンイチの目が終始優しく潤んでいて、底なしの悲しみを湛えていたのが、ズンと心の重りになっています。
ともすれば自分も過ちを犯すかもしれない。それほど人間の尊厳とは恐ろしく難解である
#前田哲 監督と#松山ケンイチ が
10年かけ構築し完成させたという作品
この10年で変化したこの国の光の当たらない場所を
まるで予見し露呈させ、
ごく普通の生活を送る我々に問題提議したかのような作品だ。
皆んなが実は薄々感じているであろう現実と理想の隔たりに、
真っ向疑問を投げつけられたように
張り詰めた緊迫がずっと続く辛さは
ある意味、まがいなき本物であり現実だと痛感させられる。
【救済とは】
【正義とは】
【生きる人間の尊厳とは】
その重みと真意を自問自答し
#柄本明 の終末迫る人間の迫真には嗚咽が止まらなかった
医療、介護、貧困問題、死生観、倫理観∙∙∙
色々な方面に色々な人に一石を投じる作品だと思う。
#森山直太朗 の楽曲も打ち震えるような感覚に、
じわりじわりとさざなみのように染み渡るようで素晴らしい選曲だった
「自分にして欲しいことを、相手にもする」
聖書に見る黄金律
この真意をどう捉えるか∙∙∙∙∙∙。
人によって、その行いは
正義にも罪にもなることがある。
いやぁ、、、凄い映画だった。
#長澤まさみ #鈴鹿央士 #戸田菜穂 #峯村リエ #ずんのやす #加藤菜津 #岩谷健司 #井上肇 #梶原善 #綾戸智恵 #藤田弓子
現代の「高瀬舟」かもしれない
もしかしたら自分の中では2023年のベストワンになるかもしれない。鬼気迫る柄本明による重度の認知症を患った老父の演技、見ていて涙が出てきた。遠い故郷に住む自分の両親も今年親父が90、お袋が85になり、だいぶ耳も遠くなってきている。幸い認知症は出ていないが、二人とも心臓に爆弾を抱えているので、かなり体にガタが来ている。家の片付けもだいぶしんどいようで、家じゅうが散らかってきている。心配だ。
21世紀に入り、日本社会は格差は開く一方。お金のあるごく一部の人は介護付き老人ホームに入れるが、そうでない大半の人は子供と一緒、もしくは一人で安アパートやぼろい家の隅っこで暮らすしかない。いつ終わるかもわからない認知症との闘い。地獄のような日々。介護するほうもされるほうも追い詰められてしまう。ああいう最悪な形で救いを求めてしまうのもわかる気がする。
ちなみに、僕の大学の二次試験の小論文、テーマは「植物状態になった患者の生命維持装置を、親族の依頼を受けて外すことについて考えるところを述べよ」だったことを思い出した。
壮絶すぎる。けど、誰もが直視しないといけない介護問題
主役の2人を見た時点でこれはみると決めていて、それ以降チラシの前情報くらいしか入れずに見に行ったので、完全にサスペンス系かなと決め込んでいたけれど、あまりにも重たく介護問題を問いかけてくるこの作品に正直心構えが足りないまま突っ込んでしまった感が否めなかった。ちょっとだけ後悔。
けど、それでもかなりいろいろ考えさせられた。
誰もが当事者になり得る介護の問題。
自分は家族に介護が必要になる経験をしたことがなかったから、今までテレビなどでヤングケアラーとか、そういう言葉を聞いて大変だなってどこか他人事にしか思ってなかった。
この映画でかなり壮絶な介護の現状を見せつけられて、正直介護が怖くなったし、まだ先かもしれないけれどいつか自分の身にも起こり得ることとして捉えざるを得なくなった。
主役の2人はもちろんだけど、それにしても柄本明さんすごすぎたな。
迷惑かけてもいいんだよ
訪問介護という仕事
話としては、骨太で悪くないと思うのですが、訪問介護という仕事を実際経験したことがある身としては、冒頭から突っ込みどころが満載でした。
まず、訪問介護は基本ひとりでやります。3人もついていくなんて、入浴介助でもあり得ません。
訪問介護は昔から有資格者でなければできませんので、ユキちゃんは少なくとも知識をもった有資格者です。
1ヶ月ならともかく、3ヶ月も経つのに新人としてついていくのは、現在の介護士、特に訪問のヘルパー不足でどんどん訪問介護事務所がなくなっていってる昨今の状態ではありえないです。
他にも、清拭の際、バスタオルを掛けて、保温と羞恥心対策するというのはテキスト通りですが、寒い季節にお湯でからだ拭いて「気持ちいいねえ」はないです。
すぐ冷えるので、お湯で拭いたらすぐに乾いたタオルで拭き上げていきます。
風邪引かせるつもりか。
介護中に家族が来て当たり前のように家事をするのもアウトです。
家に介護可能な(要するに家事ができる)家族がいる場合、訪問の介護士はサービスしてはいけないので帰ります。
映画でああいうシーンが当たり前のように描かれると、現場のヘルパーさんや事務所が、誤解したご家族に「なんでできないの?」とクレームつけられそうで心配です。
こういう訪問介護現場の描き方を見ても、「ああ、この映画は、職業としての介護士が利用者を殺す話ではなくて、介護せざるをえなかった人がやむを得ず『家族』を殺す話なのだな」と思いました。
少なくとも制作サイドはそのつもりで作ったのではないかなと。
以前あった、息子が母を殺して心中しようとして死に切れなかった事件を思い出しました。
柄本明さん、すごい演技でした。本当に麻痺のある方のようでした。
繰り返される殺人と、繰り返されるリフレクションが、裁くものと裁かれるものを反射して、彼らが実は表裏一体であることを暗示しているようでした。
愛のある介護殺人はアリということですか?
真犯人探し的なミステリーかと思ったら全然違った。ずんのやすをずっと疑ってた自分がいた。
家族愛がテーマなのかもしれないけど自分的にはこの内容ではまったく感動しない。割と泣き上戸なのですが。
でも隣の女性がボロ泣きだったので好みの問題なのかもしれない。
映画が悪いというより好みの問題で★2とします。
なかなかレビューが書けず
他人事ではない
考えさせられる素晴らしい作品。
現在、私の両親は、何事もなく生活しているが、いつ映画のように認知症を患うか分からない。
そうしたときに、両親が自分の事やその他の事を忘れてただ「生きている」のではなく薬や医療などによって「生かされている」だけなのだとしたら楽にしてあげたいと思うし、自分自身が認知症になり何も出来ないのに家族や愛する人を忘れて生かされるのなら死を選ぶと思う。
また、本編でもあったように、家族の絆や責任感で自分の人生を両親の介護によって歩めなくなるのは、本末転倒であると思うし、両親はそれを望んでないと思う。
ただ現代日本では、いかなる理由があろうとも個人が人を殺めることは「悪」(国が法によって人を殺めるのは正義)である為、難しい問題点だと感じた。
深い問題
本当に考えさせられる。
自分の周りに、今は、
このような問題に直面してる人がいないのだが、
それは今だけであって、
これから自分にも降りかかる問題だと思うと、
本当に深い問題だと感じた。
松山ケンイチと同じことが起きたら
同じように考えてしまうと思う。
答えはないが、考えないといけないことを教えてくれた。
演出、脚本、俳優全て非常に良かった。 犯罪はダメだけど、非常に難し...
介護は他人に任せましょう
心が壊れていく
介護士斯波を松山ケンイチさんが、検事を長澤まさみさんが熱演。
斯波の深い悲しみをたたえた瞳、日々疲弊していく心、溢れた涙で歪む顔…、検事として対峙し、一人の人間としてガラス越しに涙を浮かべ語る…。松山ケンイチさん、長澤まさみさんの熱演に息を呑む。
これからの日本の映画界を牽引されるであろう主演お二人の演技に引き込まれた。斯波の父を演じた柄本明さん、峯村リエさん、戸田菜穂さん、他キャストの皆さんの演技も素晴らしい。
超高齢化社会が抱える悲しみが余りにも切ない。
映画館での鑑賞
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