「前半は見たのを後悔した」ロストケア お菊の皿さんの映画レビュー(感想・評価)
前半は見たのを後悔した
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仕事で高齢の方と接する機会が多かったころ「老いる」ことが、本当に怖かった。まだまだお元気な方ばかりだったのに、どうしてこんなことが出来ないのだろう、どうしてこんな簡単なことがわからないのだろうと、不思議だったしこれが老いかと恐ろしく思っていました。この映画を見始めて、すぐに見なければよかったと後悔しましたが、徐々にひたすらに映画の世界に没頭しました。自分を愛して育ててくれた親を、介護の辛さに憎んで死んでほしいとまで思ってしまう、自分を愛してくれなかった親を捨てられず人生を破滅させられる無念さ、人生の過酷さを目の当たりにして苦しくなります。
柄本明さんの演技は圧巻でしたね。なんとか聞き取れるギリギリの発声に、まるで自分の親の訴えを聞き取ろうかとするように、全身全霊で耳を傾けていました。自分だったらどうするだろうか、斯波のような選択をするのだろうかと、ずっと考えていました。
大友が抱える罪悪感は理解できますが、貧困の末に自分の親を直接手にかけた斯波と、幼い自分と母親を捨てた父親を見捨てたと罪悪感を持ち続ける大友。同じか?の疑問が最後まで消えませんでした。
洋子さんと春山さんの熟年カップルの幸せを祈ったり、やっぱり猪口さんは頼りになるなぁとホッとする場面もあり、重いだけの映画ではありませんでした。鑑賞後は、意外とすっきりした気持ちになったのは不思議でした。
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