「熱量山盛りの寓話」RRR キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
熱量山盛りの寓話
実在のモデルはいるみたいだけど、総合すると「インドがイギリスの圧政から権利を勝ち取る寓話」という方向性の作品。
だからこそ、メチャクチャな流れや演出も比較的スンナリ入って来る。
特撮モノやスーパーヒーロー、ロボットアニメでも最近はやらなくなった様な、これ見よがしの「ミエ」や「アオリ」のオンパレードを、あくまで「ただの人間」で見せるのが気持ちが良い。そこがむしろこの作品の真骨頂でもある。
もちろんインド映画特有のダンスや歌も、観客には「キ、キター‼️」になるように調整されている。
上映時間は3時間と長めだが、この3時間に盛り込まれた「見どころ」は、おそらく普通の作品の数倍。「熱量」も数倍。
その過積載とも言える要素を、主人公の二人が見事にエンタメに昇華させている。
(ここから多少ネタバレ)
自分の信念や正義の実現の為に、大量殺戮が正当化される後半の流れは、もちろんカタルシスMAXの快感はあるものの、現代の映画作品として、特に日本人にはなかなか飲み込み難い部分もあるなあ、という印象は否めない。でもアメリカやフランス、また強国に隷属させられていた地域や階級の人々のように「自由は自らの手で勝ち取るもの」という歴史や思想を持っていれば、当然「これもアリ」なんだろう。
アクマルが見せしめの拷問に耐える姿に反応した人々の「兵器ではなく、人間そのものが武器」っていうクダリを観て、最後はもう少し平和的な結末を予想していたが、結局大量の銃器を手に入れて「ヨッシャー!」というのはさすがに違和感はある。とはいえ、それも日本人だからそう感じるのかも知れない。
前述のとおり、これは寓話なのだから。
いや、ホントにエンタメ要素山盛り、途中ダレることもなく最後までマックステンションで突き進む、最高な3時間でした。