「大英帝国の理不尽な支配に対して、インド人たちの怒りが文字通り大爆発するインド版ジャンゴ 繋がれざる者みたいな作品」RRR 最凶線さんの映画レビュー(感想・評価)
大英帝国の理不尽な支配に対して、インド人たちの怒りが文字通り大爆発するインド版ジャンゴ 繋がれざる者みたいな作品
この作品はオープニングのスキャットマン・ジョンみたいな音楽からしてとにかく異常な熱量でした。
ある村で部族の娘が極悪イギリス総督夫妻に誘拐されるところから始まるんですが、とにかくこの総督夫妻の悪役っぷりが最高過ぎました。
インド人の命は銃弾1発の価値もないと当たり前のように言い放つ極悪総督は、この時点でコイツはろくな死に方しないだろうなって思わせてくれる気持ちが良いくらいのヒールっぷりでした。
そして、場面は変わって逮捕された活動家の釈放を求めて警察署に群衆が集まるシーン。
ここで初めて主人公の1人であるラーマが登場するんですが、このシーンでのラーマの無双っぷりが半端じゃなくて否が応でも期待が上がりました。
さらに続いてもう1人の主人公であるビームが登場するジャングルでのシーン。
このシーンに至っては、狼と追いかけっこをしていたと思ったら虎も追ってくるみたいな頭がオカシイ展開のオンパレードで最高過ぎました。
この主人公2人の紹介シークエンスからもうすでに異様な熱量と頭がオカシイとしか言いようのないS・S・ラージャマウリ監督特有のぶっ飛び演出が炸裂しててとにかく大満足でした。
ビームは部族の娘を奪還する使命を負っていて、ラーマは特別捜査官になるためにその奪還を阻止する任務に当たっているみたいな感じでそれぞれ2人が相反する立場であることが説明されていくんですが、そんな2人が機関車が爆発した影響で川に取り残されてしまった少年を協力しながら助け出して手を握り合った瞬間にタイトルが出るシーンを見て、あっこの映画めっちゃ好きなやつじゃんって確信しました。
その他にも、総督のお屋敷でダンスバトルをするシーンとか、少女奪還の際にトラックで乗りつけて檻に入った猛獣を一斉に解き放つシーンとか、初めてビームとラーマが対峙する時にそれぞれの象徴である水と火の要素が画面に溢れんばかり現れるシーンとか、とにかくケレン味たっぷりで過剰な演出が好き過ぎました。
あと個人的にめちゃめちゃタランティーノっぽい作品だなと思いました。
特に、フィクションの力によって過去の悲惨な歴史に対して復讐を果たさせる手法は、めちゃめちゃイングロリアス・バスターズとかジャンゴ 繋がれざる者っぽいなと思いました。
イングロリアス・バスターズのナチスや、ジャンゴ 繋がれざる者の南部の白人農場主たちみたいな存在が、この作品ではインド人を不当に支配していた大英帝国の白人たちだったように感じました。
ストーリー的にはかなりジャンゴ 繋がれざる者の方が似ていた気がします。
あと、ビームと妹が丘陵を走って逃げるシーンとかは、イングロリアス・バスターズの冒頭のショシャナが逃げるシーンにとても似ていたように感じます。