母へ捧げる僕たちのアリアのレビュー・感想・評価
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フランス移民の日常を切り取った作品
南仏の風景はとても美しい。夏にはたくさんの人達が訪れ気候を楽しむでしょう。だけどそこに住む移民達は刹那的に生きざるを得ません。少しの夢や希望を糧に生きている。もし、戦争がなかったら祖国に残った人達も多いです。そういう事情があるのですよね。サラ先生、優しくてかっこよかったですね。
『新しい道に希望を持って外れた少年』って事かなぁ?
アルジェリアからの移民。たが
この映画のkeywordは『ラ・トラヴィアータ』♥
『ラ・トラヴィアータ』とは『道を外した女』
病院から母を無理に脱出させた事が、矛盾となってドタバタに見えてしまう。移民の問題を理解出来ない者にとっては、この行動が奇行に見えると思う。さて、どんな映画か?
この少年はオペラに目覚めて、パヴロッティを目指す訳では無い。結論を示す。
邦題が示す様にこの映画は母に捧げた訳だから、結末はラ・トラヴィアータと同じなわけである。そして、暗いラ・トラヴィアータのアリアは使わず、未来へ向う事を鼓舞する『乾杯の歌』。それは少年の未来と言う事。芸術の素晴らしさを少年が知ったって事をこの映画は描いた。つまり、
身の丈にあったオフ・ビートな母に対する鎮魂歌と言うわけだ。
僕は傑作だと思う。『ラ・トラヴィアータ』の乾杯の歌って最初の方のアリアなんですよね♥
だから、『新しい道に希望を持って外れた少年』って事かなぁ?
つまらない映画
あー、つまらん…
つまらんかった…
映画にする意味あるのか?
感動する映画かと思ったら、貧しい兄弟の少しヤンチャな日常が、淡々と乾いた感じで続くだけ…
意味わからん。
作風なのか、画面が黄色がかってます。
終始なんか堅い感じで、少し息苦しい感じ?
この映画を人に例えると、ほとんど笑わない人ってイメージです。
あきれました(苦笑)
「兄たちと僕」でよかった
南仏の海岸の街に住む移民の4人兄弟の物語である。亡くなった父親は手先が器用で様々な仕事をした。一度も登場しないが、兄弟が父親を尊敬していることはわかる。母親は植物状態だが、その存在が兄弟をつなぎとめている。
バイセクシュアルの長男は、老若男女を問わず金持ち相手の売春で稼ぐ。次男は元サッカー選手でそのコネクションで物品をやり取りして小銭を得る。三男は不良だ。中心的に扱われる四男のヌールはまだ中学生くらい。しかしPCは扱えるし、バイクにも乗れる。
性格もそれぞれ違っていて、長男は大らかで優しく、次男は自分にも他人にも厳しい。三男は被害妄想の甘えん坊だ。ヌールは兄たちを愛してはいるが、完全に信じてはいない。移民らしい強かさは、14歳のヌールにもあるのだ。
季節は移ろい、観光客が来ては去っていく。兄弟はやがてそれぞれが独立して生きていかなければならないことを知っているが、いまは刹那的な仕事をしている。人生に確固たるものはなく、金持ちは貧乏になり、貧乏人はときにのし上がる。悠久の時の流れからすれば、人生もまた、刹那にすぎない。警官が犯罪者に、犯罪者が警官になる日も来るだろう。諸行無常だ。
母はカンツォーネが好きだった。ヌールはインターネットの音源をスピーカーに繋いで、昏睡中の母にオペラを聞かせる。やがて門前の小僧のように自分でも歌い出す。歌は楽しい。人生を豊かにしてくれる。母が歌を好きだった理由がわかる気がした。
貧乏な移民だからといって、精神まで貧しいわけじゃない。植物状態だからといって、その人生まで否定される謂れはない。全部を肯定するのではないが、まったく否定するのでもない。フランスらしい相対的な世界観からくる、ある種の寛容さが作品全体を通底している。心に残るものがあった。
邦題の「母へ捧げる僕たちのアリア」は作品の印象を音楽に寄せてしまうので、原題の直訳である「兄たちと僕」でよかったと思う。
邦題がおかしい。。。
アリアって「オペラなどの中で、1人で歌われる曲」のことを言うそうです。であれば、この邦題おかしいんだよなぁ〜。「僕たちの」ってのがおかしいし、本作は兄弟それぞれがってことじゃなく、植物状態になった母を中心とした男4人兄弟の不恰好で無骨でぶっきらぼうな家族愛を描いた作品です。
ルーツが移民の家族だと思いますが、彼らの困窮(って言って良いと思いますが)している生活の現実を描きながら、家族の姿を描いていきます。最近のフランス映画は移民系のお話が多いような気がします。なぜなんだろ?ドラマ作りやすいのかな?
さておき、原題の方がしっくりくる内容だったんですよね。Google翻訳を通すと「私の兄弟と私」。そう、家族愛は描いていますが、個性豊かな3人の兄と末っ子の関係性を母の看護を通して描いていくからです。で、かなり淡々とすすんでいくのです。いろいろなエピソードも出てきますが、基本全部やりっぱなし感が否めずにストーリーに厚みをもたらせることに失敗しているんじゃなぁいかなぁ?って感じでした。心が震えることはなかったです、残念ながら。
唯一は「男兄弟っていいなぁ」って感想です。問題あるけど、こういう関係はいいなぁって。
「リトルダンサー」歌バージョン?
父親は不在で母親は寝たきりの植物人間状態、兄は3人ともまともな仕事についていない、海が近い観光地南仏での団地暮らしの少年の、夏休み初日から最後の日まで。
サッカー選手をケガで諦めた責任感はあるが高圧的で頑固な長男、金魚を可愛がる一面もあるがキレやすく警察沙汰を起こしてばかりの三男、軟派でナルシストだが長男と三男の間の調停役でもある次男。主人公の四男は、植物状態でも耳は聞こえているというベッドの母に両親の出会いの音楽でもあるオペラをパソコンから聴かせているが、兄達にはムダだ止めろと言われている。
夏休みの教育奉仕活動で通っているちゅうがくのペンキ塗りをしていると、教室からオペラが聞こえてくる。合唱クラブの練習生徒は女子ばかりだったが、実は有名歌手らしい女性の先生から声をかけられて練習に入れてもらうが、兄たちには理解してもらえず、先生に借りた楽譜は三男の売るクスリの巻き紙に使われる始末。
奉仕活動があることは隠して練習に参加するが、どんどん実力をつけていく。ある日、叔父の差し金で、強制的に母親が病院に連れ去られ、兄弟全員で病院から母を連れ戻す。
ピザの配達のバイトで練習に来ない主人公を心配し、団地を訪れた先生は警察が三男の家宅捜査に来たのに鉢合わせ、ピアノを破壊する警官を妨害し、勾留される羽目に。翌朝、それまで理解を示さなかった長男が警察署まで先生を迎えに行き、町を車で案内する。この家族が移民だということがわかり、映画冒頭の音楽の意味がわかる。別れ際、先生から封筒を渡される。
そんな中、とうとう母親の命が終わりを迎える。兄たちは末っ子より思い出が多いはずで、ロクに看病していなかった風でもみんな悲しみに暮れる中、先生からもらった封筒を主人公に渡す。
それは先生が出演するオペラのチケットで、一時は中学を止めようと考えていた主人公にとっての未知の世界へのチケットでもあった。
潮風が混じったドライな空気の夏の暑さが伝わってくる。邦題から最初は子供の話かと思ったが、1番下の主人公でも14歳だし、文字通りに言うと「僕たちの」アリアではないが、兄弟4人の個性や役割が面白い。サッカー好きな長男はアザールとベンゼマとチアゴを合わせたような感じ?
スクリーンの外、前後が脳内に映える
邦題と予告編から、「母想いの末っ子vs乱暴な兄」の対立をイメージしたが、序盤で払拭された。そんな雑な話じゃない。かといって複雑でもない。
とてもとても丁寧に吟味されたシーンとセリフは必要最小限で、なんならストーリー上で重要なことがいくつも不明のまま進む。だけどそこに全く不足を感じない。
スクリーンに映っていない出来事や、時間の経過、景色、やり取りされたであろう言葉が、脳内で勝手に再生され、勝手に感動してしまう。
名人の落語のような見事な作品だった。
男兄弟の荒っぽい掛け合いがツボ
女姉妹で育った私には、男兄弟の乱暴で荒っぽいコミュニケーションに胸キュンしました。
ガチで血を流す喧嘩したりするくせに、弟愛が強かったり、みんなで協力して寝たきりの母親の面倒看たり。
まともに働いてる兄はいないので、14歳の四男まで、働いて(フランスは14歳でバイクOK?)生活費を稼いでいる。
この男兄弟の4人のキャラがすごく立っていて、特に荒くれ者なのに実は優しく男気のある長男と、末子で弱々しいイメージだが、荒くれ者の兄たちを上手く交わして、好きな歌に目覚めていく主役の四男が良い!将来この子は世渡りが上手そう。
移民生活の厳しさの中で、彼らにどんな未来が待っているのか。ラストは明るい未来の確信は持てないまま終わったが、新しい世界を切り開いていける予感を残していて、出来過ぎのラストより自然に思えた。
ところで、音楽の先生、何故あんなに色っぽい服装で学校来てるのか気になった。フランスでは普通なのかなあ。
サッカーよりもサンテでしょ
南仏の海辺の町で暮らすオペラが気になる中学生と家族の話。
父親はおらず、意識もなく寝たきりの母親と暮らす男ばかり4人兄弟の末っ子が、懲罰的社会奉仕活動中の中学校で、歌の夏季教室に誘われて巻き起こるストーリー。
卑屈でまともに働かず、ド底辺な行き方をする兄貴達に、オペラが好きな気持ちなんか通じる筈もなく理解は得られないけれど、好きな気持ち、そして父親への憧れの気持ちは止められず…。
兄貴達に引っ張られ決して真面目ではないし、大きなうねりがある物語ではないけれど、親への思いや歌に対する純粋さがみえたり、ちょっと背伸びした感想を述べたり、爽やかだった。
原題のMes freres et moiは、「僕の兄弟と僕」でした。
その名の通り、世の中や親戚に対する接し方も含めて、米国や日本とは違った、まさに、フランス人らしいリスペクトと家族観(感)が走り抜ける物語でした。
心の底では決して諦めない、愛おしいリスペクトで走り抜けていました。
また、PCやYouTubeを当たり前のモノとしている最近の出来事が題材なのですが、それらがなかった1980年代と比べて・・・・・、フランスでは、みんな、あんまり変わってないなあ、これがフランスなんだなあと、まるごと、受け容れることができる作品でした。
サクセスストーリーと見せかけて…
南フランスの海辺の町を舞台にした、少年と3人の兄達を描くヒューマンドラマ。
本作の裏テーマとなるのは“移民”。舞台となる海辺の町とはおそらくマルセイユ近郊。南仏最大の港町マルセイユには地中海を通って各地の移民・そして難民が集まる。劇中での長男アダムの言葉「あの港に一家でたどり着いた」でも分かるように、おそらく彼らはアルジェリアから来たと思われる。
アメリカと並ぶ移民大国フランスだけに、移民出身としての貧困・差別問題は根強い。それは『海辺の家族たち』や『オートクチュール』などといった近作のフランス映画でも描かれている。
移民出身者としての貧困状態に苦しむ4兄弟。そんな境遇から脱したいと強く願う四男ヌールは、思わぬ形で歌唱力を認められる…とここまで書くと歌手として名を成すサクセスストーリーだが、本作はそこまでは描かれず、むしろここからがスタート…というところで幕を閉じる。これを物足りないと思うか描写不足かと思うかは人それぞれだろうが、少なくとも中途半端なサクセスストーリーに仕上げた『オートクチュール』より全然マシだった。
『僕の兄弟と僕』という原題からも察せるように、あくまでも本作は貧困に喘ぎながらも逞しく生きていく兄弟の物語だ(そういう意味で邦題は少々ミスリード)。やはりアダムの言葉「やっとたどり着いたのにみんなこの町を出て行ってしまう」は、巣立っていこうとする弟への惜別とエールである。
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