劇場公開日 2022年5月6日

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「映像も音楽もドラマもとにかくカラフル、『こんにちは、私のお母さん』をバカみたいに笑ってバカみたいに泣けるジェットコースタームービー」僕と彼女のファースト・ハグ よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0映像も音楽もドラマもとにかくカラフル、『こんにちは、私のお母さん』をバカみたいに笑ってバカみたいに泣けるジェットコースタームービー

2022年5月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

冒頭から延々とギャグをぶち込んで散々笑わせた後で怒涛のドラマを展開する辺りは同じく中国産の『こんにちは、私のお母さん』に似ていますが、こちらはもっとカラフルでポップ。極度の潔癖症で周囲とも打ち解けることが出来ず生徒が一人も付かないピアノ教師バオ・バオが自分が決めたルールにがんじがらめになっている様を閉じ込められた世界を極めてキューブリック的で変質教的な冷たいシンメトリーが貫かれた画面構成で、交通事故をきっかけに知り合ったミュージシャンのウェンヌワンと音楽ユニットを組むことになったことで世界が少しずつ変わっていく様をアシンメトリーの侵食で表現。ウェンヌワンも心に傷を持っていて、バオ・バオが通う心療内科のジア先生と個性豊かな患者達が参戦する中盤以降は周囲とうまく折り合えず孤立した人々がその個性を武器にして世界に立ち向かう展開。皆それぞれに様々な過去を背負っていることをちゃんと描写しているのでどんどんとドラマが分厚くなっていき、当然ながら炸裂。その結果はもう涙で霞んでしょうがなかったです。

もうキュートな人物ばかり出てきますが、とにかくウェンヌワンを演じたリー・チンがとにかく可愛くて全編通して彼女の魅力がキラキラ輝いています。『こんにちは、私のお母さん』では若かりし日のお母さんに恋するバカで自意識過剰なボンボンを演じていたシェン・トンがジア先生を軽快に演じてい流のも印象的。気楽な気持ちで観に行きましたが、凄まじく楽しくて泣けるジェットコースタームービー。関東エリアでは新宿武蔵野館での1日1回上映のみ、館内にポスターのひとつも貼っていないとかもうもったいなすぎ。全国に拡大公開してもらいたい驚異的な傑作コメディです。

よね