「【"椿の花。自分の線は自分で見つけ自らと向き合う。"水墨画に魅了された青年が、深い悲しみを乗り越えて行く。大きな和紙に墨の濃淡を織り混ぜながら、様々な自然の姿を描き出すシーンも素晴らしき作品である。】」線は、僕を描く NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"椿の花。自分の線は自分で見つけ自らと向き合う。"水墨画に魅了された青年が、深い悲しみを乗り越えて行く。大きな和紙に墨の濃淡を織り混ぜながら、様々な自然の姿を描き出すシーンも素晴らしき作品である。】
- 霜助(横浜流星)は、絵画展の設営のバイトをした際に、千瑛(清原果耶)の描いた椿の花の水墨画を観て、涙を流す。彼は深い悲しみを抱えていたのである。 -
◆感想
・久しぶりに映画館で映画を観て、涙が滲んだ作品である。
- それは、霜助の家族に起きた悲しみからでもあるが、彼が水墨画に魅了され、自分と向き合い前を向いて行く姿が、心に響いたからである。
横浜流星さんの前半から後半にかけての筆運びの違いにも、注目したい。-
・千瑛も水墨画の巨匠、篠田湖山(三浦友和:名優の粋に達して来たと思う。)の孫で、期待されるプレッシャーに押し潰されそうになっており、水墨画を描く楽しみを、忘れていた。
- 清原果耶さんが、水墨画を描く楽しみを忘れ、プレッシャーに悩む女性を好演している。着物姿も美しき哉。-
・水墨画を描くことに、哀しみを忘れるが如く、没頭していく霜助。千瑛は、時折アドバイスをするが、湖山は”悪くない”と言いながら、端渓の硯で何度も墨を刷らせ、水に溶ける墨の度合いを見て”もう一度”というばかり・・。
ー 小学生時代、習字を習っていたが墨をする大切さを叩きこまれた。当時は、嫌だったが現在は字も含めて、習わせてくれた両親には感謝している。
その後、大学の時に中国を一カ月放浪した際に、京都の寺社で見ていた水墨画を実際に描く人の姿や筆遣いを間近で見る事ができ、端渓の硯に出会い、中国の職人から良い硯の見分け方を教えて貰った事を思い出したシーンでもある。-
・一番弟子の湖峰を演じた江口洋介さんも、篠田家を明るく支える男を好演している。
<能面の様な表情だった霜助が、水墨画に魅了され、深い悲しみを乗り越え、前を向いて行く表情と姿が、とても佳き作品。
端渓の硯で墨を丁寧に擦り、感情を乗せた筆が、大きな和紙に濃淡を絶妙に織り混ぜた様々な自然の美しき光景を描き出す幾つかのシーンは印象的で、実に佳き作品でもある。>
■2022年11月6日 追記
今作を鑑賞したのは、2週間前だが、今作と並ぶもしくは超える作品が「パラレルマザーズ」「窓辺にて」etc.であったので、評点を4.0点から4.5点に変更します。
私は、映画を観ていて琴線に触れる作品には高評価をしますので。
悪しからず・・。
とても良い映画でしたね。
NOBUさんの学生時代の中国体験談、この映画への思い入れも深いでしょうね。
私も子供の頃に習字は習っていたけど、墨をするのは面倒だなと思ったりして、墨汁使ったりしちゃってたけど、この映画を観て、久しぶりに墨をすりたくなりました。
コメントありがとうございます!
熱意、伝わって良かったです笑 生横浜くんは非常に尊いものでした...。
美貌が集う湖山会の4人の演技は圧倒でしたよね。そして、4人それぞれが筆を巧みに扱うシーンには、鳥肌が止まらず、じんわりと涙を流してしまいました...。これぞ、世界に誇れる日本映画。宣伝通り、新たな青春映画の金字塔となったかと思います。
私も習字を小学生の頃に習っていたことがあります。
霜介が湖山先生の家に行ったとき墨の匂いが漂っていたのだろうと感じました。
墨の匂い…いいですよね。好きです。