仕掛人・藤枝梅安2のレビュー・感想・評価
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外道にしか断てぬ外道がございます
藤枝梅安1に引き続き
これでもかと因果が絡み合った
ハードボイルドな世界観で
仕掛人藤枝梅安の鍼が光ります
今度は舞台は京都
前作で助けた剣士たちを
上方(大阪)でかくまう
ついでに師匠「津山悦堂」の
墓参りに彦次郎と旅をする
事になった梅安
その道すがら彦次郎は
忘れえぬ生涯の仇の顔を
見つけ目の色を変えます
梅安を巻き込むつもりはない
と彦次郎は言うものの
どんな事情があったか
聞くことになります
彦次郎は十で家出し
孤独の身ながら妻子を
もらいささやかな幸せを
つかんでいたものの
ある男達が突然現れ
彦次郎の目の前で
突然妻を犯しあえて彦次郎の
命をとらず見せつけるように
したという超外道
妻は乳飲み子を道連れに自殺
彦次郎は妻と子の仇を討つべく
仕掛人になっていったのです
梅安はそこで彦次郎が
自分と同じような境遇で
あったことを初めて知ります
梅安もその男は到底許せないが
道ですれ違った男は
確かに(彦次郎の断言する)
顔は同じでも
あまりに雰囲気が違う
奉公人の身なり
宿まで後をつけるとなんと
津山悦堂の墓参りをし始める
(この時空の狭さが池波ワールド)
そこで詳しく話を聞くと
名は「峯山又十郎」と言い
大名に使える剣術道場の
師範代の生まれ
父が津山先生に命を助けられ
年に一度必ず挨拶に来ていたが
父も亡くなり代わりに
訪れているとのこと
その話は梅安も聞いていたようで
どうやらこの男は彦次郎の
言っているような男では
ないと梅安は確信しますが
話の中で双生の弟がいることも
知りその名は「井坂惣市」
自分が養子に入ったことで
しばらく会っていないとの事
梅安は話の中で又十郎に
まだ隠している事が
あると感づき宿を張っていると
京都の蔓(仕掛の元締め)の大物
白子屋菊右衛門が又十郎を訪れます
白子屋には過去に仕掛を依頼された
事もありこれは何かあると梅安は
白子屋が出入りしている茶屋に
向かいます
又十郎は仕掛を依頼して
いたのはその弟(の一味)
井坂は剣の腕に溺れ太平の世で
持て余しごろつきと傍若無人の
限りを尽くし目が届かない
無法地帯の京都で略奪誘拐
好き放題とのこと
白子屋も知ってはいたが
又十郎の依頼金が要求の
半分以下で首を縦に振らず
それでも引かない又十郎
白子屋も井坂の一味が
街を脅かしている事は
承知しているからでしょう
しかもそいつらの腕が
相当立つことも
そこで白子屋は
手練の剣士「井上半十郎」と
仲間の若い剣士「佐々木八蔵」
にダメ元で依頼しますが
あまりに安い依頼金で話にならず
そのすれ違いでやってきた
梅安が詳しい話を聞き
その仕掛を請け負います
その途中ですれ違った
半十郎と梅安
ここにも何か因縁が
あるようです
(もーこんなんばっかり)
梅安はここで彦次郎に
委細を全部説明し
本当の仇が惣市であること
その仕掛けを自分が
請け負ったことを明かします
彦次郎は巻き込みたくない
と思いつつも力を貸してくれる
梅安に言葉にできない感謝を
しつつ仇討ちを改めて決意します
まず二人は惣市の取り巻きから
酒を飲んだ帰りを狙って
始末していきます
そして仲間が殺され最後にいた
酒場の店主を問い詰める
惣市の仲間を始末していきますが
鍼を使おうとした瞬間を
そこへ入ってきた半十郎に
見られかけたところで
とっさに逃げ出します
梅安に只ならぬ復讐心を持つ
半十郎と梅庵の間にある
ただならぬ関係とは?
かつて
井上半十郎は妻「おるい」
のある腕の立つ剣士でしたが
津山悦堂亡き後医院を受け継いだ
梅安はおるいの元へ治療へ
行っていましたが
家を空けがちの半十郎に
よっておるいはあろうことか
劣情を抱いて梅庵を
押し倒してしまったのです
梅安はまんざらでも
なかったのですが
おるいはそこを半十郎に
詰められると自分が襲われたと
嘘をつき半十郎は梅安を
半殺しにしてしまいます
なぜ討ち捨てなかったのか?
おるいの不貞をかねてより
知っていたのだろうと梅安は
勘ぐっていました
その後医院へ謝りにくる
妻ですがそれでも好きだから
心中しようと匕首片手に
襲い掛かってきます
そこでとっさに鍼で急所を
突いて妻を殺してしまいます
これが梅庵が仕掛人になる
きっかけとなり
半十郎は鍼跡から
梅安を生涯の仇とし
探し求めていたのでした
さて
残り二人になった惣市一味は
金と女を漁りに行き
泥酔したところで飲んだかめの水に
仕込んだ「(前金の)20両する毒」
で弱らされ彦次郎の妻同様
首をくくられ無様な最期
しかしそこで半十郎と八蔵が
現れ梅安に襲い掛かろうとしますが
謎の暗殺者に囲まれます
半十郎も八蔵も凄腕で暗殺者を
さっさと片づけていきますが
梅安と彦次郎はその場をしのぎ
暗殺者が白子屋の手の者だと
確認し救い出した少年を
白子屋に預け江戸へ戻ることにしますが
半十郎に面も割れその後の展開は
わかっていました
医院へ戻るとおせきを早く帰し
彦次郎を屋根裏に忍び込ませ
半十郎と八蔵を待ち構えます
半十郎は事前に梅安の来店を
待ちに待つおもんがいる井筒屋に行き
梅庵の居場所を探りますが
アッサリ教えるおもんに
あの男を好いておるかと詰めると
おもんは正直に答えます
あいつはお前のことなど
何とも思っておらぬと
半十郎は看破しようとしますが
おもんはそれでもよいと
こうした自分の(おるいに対しての)
一途な思いを逆に思い知ったのです
「誰を許せないのですが」と
おもんに聞かれると
半十郎は混乱しながら
「許せないのは自分だ」と
吐き捨て井筒屋を去ります
梅安はどんぶりに卵かけご飯
彦次郎は醤油を塗った握り飯
(これがまたうまそう)
を食べて襲撃に備えます
案の定半十郎と八蔵は
襲撃してきますが
半十郎は彦十郎の毒矢を
二つも受けても暴れまわるも
梅安の首まであと一歩の
ところで絶命
梅安はこのまま斬られても
是非もなしと思うのでした
母に駆け落ちをされたことで
悲しみにも怒りにも混じった
感情しかなかった梅安には
片づけきれない感情
そんな気持ちをおもんに
ぶつけつつ梅安は再び
鍼医者と仕掛けの日々に
戻っていくのでした
いやー相変わらず渋い
やりすぎなくらいの
テンポの良さも120分に
ギッチリ詰まってて満足感
高かったと思います
どんな場面でも
梅安と彦次郎のいちゃいちゃが
楽しめて良かったです
あーあとね
ラストに大サービスがあるんですが
スタッフロールでネタバレするんですよ
あのへんはちょっと工夫がほしかった
ですねぇ
池波ノワールを堪能できる美しく残酷な仕掛人の世界
時代物は一種のファンタジーだと思ってるのだけど、その期待を裏切らない見事な世界観で一気に引き込まれる。雨の街道、夜の宿場町、灯りに照らされる街、これらの視覚的な美しさや風情に魅了される。
フィルムノワール、ネオノワール、香港ノワール。この作品はその系譜の江戸ノワール、いや池波ノワールか。闇と灯り、善と悪のバランスがこの作品を特別なものにしていると思う。
梅安も彦次郎もだが、凶暴な浪人の伊坂惣市、梅安を狙う井上半十郎 も、彼らは死に場所を探している男たちなのだと思う。伊坂惣市はただ凶暴なだけではなくいつも少し困り顔で、なぜ俺は今こんな場所にいるのだろうという戸惑いと怒りと諦観を秘めているようで、この記号化されてない人物造形が作品に深みを与えていると思う。井上半十郎も初登場シーンで一度見過ごす。そこからの展開が、彼の躊躇と葛藤を感じることができる。背景にまで思いを馳せたくなるキャラクターと、一つの仕掛けにもう一つの仕掛人が介入してくる展開のもたらすハラハラ感、そしてしがない鍼師と楊枝職人のバディがどう剣客と戦うかという展開の妙も見どころだと思う。
もともと時代劇も時代小説も偏愛しているのだけど、スクリーンでこれほど美しい世界を見せてもらえるとは。梅安の豊川悦司さんの持つ強さと弱さ、色っぽさが魅力的だし、彦次郎との会話の中にある男同士の思いやりや信頼関係もいい。原作の持つ、複雑なキャラクター造形をいかしきった見事な映像化では。堪能しました。
複雑な人間関係が、
織り成す、憎悪の連鎖が、数奇な運命を引き寄せる。
意外な接点の結び付きに、巧妙です。
今回も闇夜の陰影が、緊迫感が、増して、流石は、時代劇です。
おせきのあっけらかんな、様子にホッとします、
前作は見てなくても・・・
同じ日にエスターファーストキルを見たので続編続き(笑)
でも、こちらも続編ながら違和感はなかった。
さて、前作を見なかったのは、トヨエツと菅野美穂に尽きるわけです。
おふたりのの台詞回しがどうしても・・・棒でしょ。
でもね。同僚が「とてもよかった」と言うので見てみよう!
役者の皆さんのビジュアルは最高でした。ドラマもgoo!
でも、長く感じたのは、多分もう少し削ぎ落としてケレン味を足して欲しかったからかも。
どうしても、梅安さんと言えば「必殺」を期待してしまうわけで・・・
仕掛けのシーンはサクッとではなくタメが欲しかったなあ。逆に佐藤浩市や椎名桔平のケレンは大いにかっこよかった。
ただ、椎名桔平の悪役も新鮮だった。でも、非道いやつだからもっと何かあるかとおもったけど、あっさり毒殺かーい。
結局佐藤浩市との戦いがクライマックスだったのね。でも、こちらも毒殺かーい(笑)
針をさしての仕掛けが少なくてそこが不満。
現代劇かと思うようなセリフは何とかして欲しい。仮にも時代劇なんだから。
愛之助さんは上方の人だけど良かった。幸四郎(現)さんは当然。石橋蓮司、高橋ひとみさんたちも実に良かった。
一ノ瀬颯くんは昔の林与一のようなカッコよさがあった。
善悪の底無し沼
"仕掛人・藤枝梅安" 二部作第2部。
通常スクリーンで鑑賞。
原作シリーズは未読(※現在は既読)。
前作が「静」なら本作は「動」だ。池波原作ならではな因縁が交錯するドラマはそのままに、アクションシーンが増えたことで活劇感たっぷり。狙う者と狙われる者のヒリヒリした因縁が壮絶な死闘へなだれ込む、緊迫感溢れる演出が見事だった。
前作もそうだったが、仕掛けのシーンに「必殺仕事人」みたいな痛快さは皆無。殺す側にも殺される側にも背景があり、両者を絶対悪とは言えないし、絶対善とも言い切れない。
但し、椎名桔平演じるゴロツキ侍は除く。が、世が世なら武芸で身を立てていたかもしれず、考えようによっては彼もまた世情がつくり出した悪、と云う見方も出来よう。
仕掛人として生きる梅安たちの死生観に胸が締めつけられた。仕事で的に掛ける相手が悪人だったとしても、殺しと云う手段が善いものであるわけは無い。因果応報が世の理なのならば、いつ自分が殺される側になるか分からない。善悪の曖昧な境界線を漂う魂に、いつか安らぎが訪れんことを…
[余談1]
二部作通じて演技巧者を揃えた重厚なハードボイルド時代劇だったが、陰惨になりがちな物語の中で一服の清涼剤となっていた高畑淳子の演技がとても良かった。
[余談2]
彦次郎の「こりゃうめぇや」が聞けなかったのが残念。
[余談3]
前作を観た時にパンフレットを購入していたので分かってはいたが(エンドクレジットを読んだ)、ポストクレジットシーンに登場した「長谷川様」に大興奮であった。
主人公をバトンタッチして来年の「鬼平犯科帳」へ繋げる趣向であろうが、ユニバースの感があり、原作には無い二大主人公が本格共演する作品をつくって欲しくなった。
[以降の鑑賞記録]
2023/12/29:Lemino
2024/12/31:サンテレビ「年末時代劇」
※修正(2024/12/31)
マリバロン様
妻を殺された二組の話。
椎名桔平はラスボスではなかった。
今回も高畑淳子が出たとたん空気がガラッとかわり、全部彼女に持って行かれてしまった。流石といか言いようがない。
女性陣より男性陣の方が色っぽい。
エンドロールに松本幸四郎の名前が。
どこに出てた??
と思ったら、ああ、そういうこと。
続編があるのですね。シリーズ化されるのでしょうか。
それにしても長谷川平蔵の登場でまたも空気がガラッと変わる。
ちょっとした一言なのに存在感がすごい。
それまでの梅安の硬さが急に気になってしまった。
内面が見えてこない。色っぽいのにどういうわけかエロくない。
今回は大根の炊いたの。
ハゼの煮物。
卵かけご飯。
一番は醤油の焼きおにぎりでした。
濃密
フラッと観た前作がどハマりして、第2部もめちゃくちゃ楽しみにしてました。そして予想を超える面白さを見せてくれました。
前作から話は繋がっていますが、この2部から観ても問題無いように序盤で軽く説明をしてくれます。時代劇の優しさがここで出ています。彦次郎が昔の仇を討つために梅安と共に行動するが、その影で他の仕掛人が動き出す…というのがざっくりしたあらすじです。
前作に引き続き、このバディの行動がどれもスタイリッシュかつコミカルなので、バディムービーとしても楽しめます。殺すときの所作が抜群に綺麗なのも最高で、彦次郎がサクッと吹き矢で毒を回したと思ったら、梅安が針で首を刺して静かに殺すのが巧みすぎてたまらなかったです。
椎名桔平さんが真逆の性格の双子を好演しているのも最高で、兄の峯山は社交性もあり、生真面目な武士ですが、弟の井坂は殺しも盗みもやりまくる極悪人で、目つきの鋭さがグンと変わるのが凄かったです。
井坂とその仲間を最後に始末するシーンは絵面のインパクトが中々あって、梅安&彦次郎のこれまでの集大成のような殺し方で、こき使われていた頃の経験と、愛していた人の最後とを重ね合わせるように首を締め上げるというスタイリッシュとは真逆の残虐さ、でも不思議とこれがひどいとは思わず、あぁ一つ報われたなと感じてしまったのがとても不思議な体験でした。
同じ仕掛人が過去の復讐として梅安宅へ訪れますが、そこも影に潜んで、吹き矢と針でしっかりと殺しにかかり、吹き矢は目を貫き、針は首に刺さり、最後の抵抗も互いの命を賭けている泥臭さが最後の最後に来るのがよかったです。少し寂しいところもありましたが。
前作でも印象深かった食事のシーン、最後の晩餐は卵かけご飯と焼きおにぎり。くぅ〜腹が鳴りました。暗いところでの飯なのにこれまた映える。
あと梅安はやっぱりエロいですね。おもんを抱きしめるシーンが全年齢対象映画とは思えないくらい獰猛果敢でこれまた驚かされました。豊川さんの触り方といい、声といい、梅安にしか宿せないエロスが最高でした。
改めて役者陣が最高にハマっているなと思いました。豊川さんのエロスと強さの共存、片岡さんの飄々とした感じ、佐藤浩一さんの強者感、椎名桔平さんの変幻自在っぷり、高畑敦子さんのお茶目っぷり、挙げ出したらキリがないくらい魅力的な登場人物たちの掛け合いを堪能できて幸せでした。
エンドロール後に長谷川平蔵が参戦するという、続編を匂わせてくれる終わり方をしてくれたのも憎い演出だなぁと思いました。まだまだ梅安に平穏は訪れない、そんな日々をまだまだ映画で観たいと思わせてくれる傑作でした。三作目の完成もお待ちしております。
鑑賞日 4/8
鑑賞時間 11:05〜13:15
座席 A-2
柳の下の二本目の鍼はツボを外さず
前作は、お話しが冗長で、手堅くきれいにまとめただけだったけど、今回は登場人物達の恨みの連鎖や男女のドロっとした暗い情念がドラマに緊張感を持たせて、割といい感じでした。仕掛のテクニックも、毒を飲まして首にかけた縄を引き上げて絞め殺したり、天井裏から放った毒矢で眼球をつぶすなどエグいながらも工夫があります。また、ドラマを支える脇役陣も充実していて、見せ場を盛り上げます。椎名桔平の外道振りをはじめ、佐藤浩市の白髪で深いシワすらも迫力の執念深さ、石橋蓮司が依頼金が安すぎる時に見せる裏稼業の不気味な表情など、皆さんの顔芸とも言える怪物ぶりが凄かったです。役者では、豊川悦司,片岡愛之助は、はや安定的な仕掛人ぶりでした。
時代劇ならではの役者の演技
初回作がよかったので、2回目も観ると決めて、公開3日目に観てきました。映画館では年配の方が目立ち、時代劇ってやはりこの年代にもたのしめるものだなと思います。
さて、今回も役者の演技が深いです。豊悦、菅野美穂、片岡愛之助はさすがの味わいある演技だし、今回は佐藤浩市も加わって、悪役でも妻を梅安に殺められた過去をもつ役を演じてます。
佐藤浩市役にとっては梅安は妻の仇。さらには、片岡愛之助役・彦次郎の妻子の仇も早い段階で出てきます。この悪党役が椎名桔平でヤバい目を演じてます。この悪党がいかに悪いことをしたかが、憎しみの深さにかかわるからか、彦次郎の妻に与えた被害はひどいものです。
そうした梅安と彦次郎の過去、仕掛人になったキッカケのような哀しい過去と仇が錯綜していって、最後は梅安、彦次郎が生き残るものの、自分たちもいずれ殺められるような予感をもっていて、殺しをやるやつはいずれ殺されるという諦念のような気持ちを持っていて、それが単なるスーパーヒーローものではない深みを感じます。
時代背景として、江戸時代、京ではまだこうした刀剣でもって市井の人々を脅かして、カネと女を横取りするような悪党たちが、取り締まりの網目からこぼれていたのでしょうか。江戸時代って、人口が増えても都会は治安がいいイメージもっているので、史実はどうだったのかなって少し興味出ました。
エンドロールが終わってさぁ明るくなってザワザワってし始めそうなときに、最終カットが少し流れますので、エンドロールが終わるまで映画ってことで、それまで静かにしておく、これも鑑賞マナーのひとつだと思います。
ちょっと苦言も言っておきます。
第1部のポストクレジットシーンから始まる本作、ネタバレなしでレビューを書くことは困難のため「ネタバレ注意」にしておきます。悪しからず。
2部構成にはなっていますが、制作については通しで行われているわけで、キャストは勿論、制作陣も変わらず根本的な部分で印象は変わりません。一言でいえば「好きです」ね。
まず、脚本は概ね申し分ない出来だと思います。仕掛人には「因果」がつきものです。第1部は主に梅安の過去であり「わだかまり」としてまつわり続ける「母、妹」の話がベースにありましたが、第2部は「ある男」の登場をきっかけに、相棒である彦次郎の過去が解き明かされ、また意外な展開でまた別の梅安の過去が絡んでいきます。自分が仕掛けた仏を見ながら「次は自分が」と思い続ける彼らは、どこか本能的に「自分の死に時」を選ぶような選択をします。今回も腕の立つ浪人(+取り巻き5人)の仕掛けをあっさり請け負う梅安。彦次郎のために躊躇のなく命をかける選択をするところは胸アツです。
ただ、取り敢えずここで一旦苦言を挟みますと、、、1部のレビューでも少々触れましたが、肝心な仕掛けの中で一部巧くない演出があり残念です。今回、6人の仕掛けのうち、4人目(実際には3人)までは特に悪くありません。基本、梅安の仕掛けは小細工のないシンプルさがカッコよさでもあります。そこからの5人目、6人目の仕掛け。仕留め方は別に悪くはないんです。仕掛人の目的は確実に殺すことであり、自分より腕の立つ相手に真っ向勝負を挑む必要はないわけで、あんな方法も否定しない、のに、なんでそこ、苦しみだす順を逆にしたのか。。反って井坂が苦しみだす瞬間に注目してしまう分、椎名さんの演技が「アホっぽく」見えてしまう残念さ。。。別に、飲んだ順で苦しみだしていいのに、何であんな演出するだろうか。かなりカッコ悪いです。がっかり。。
そして舞台は江戸にもどります。京都でまたもや自分の過去の因縁と立ち向かうこととなった梅安。自分で選んだ「死に時」とは違い、付け狙われる対象となったことで動揺しますが、やはり梅安のよりどころ「おもん」の登場で、観ている私たちも救われます。今回のおもん役、菅野美穂さんは何だかハマりが絶妙なんですよね。。一見、拙く見える演技なんですけど、芯の強さや包容力を感じて結局は「恐れ入りました」と感じます。ちなみに、池波作品における重要なポイントは女性と料理です。2部では特におるい役の篠原ゆき子さん、ポイント高いですね。素晴らしい。そして、料理では彦次郎の「醤油の焼き握り飯」。思わずハラが鳴りましたw
さて脱線しましたが、後半は仕掛ではなく因縁との決着です。死を覚悟しながらその時を待ち、そして対決へと至るわけですが総じて悪くない出来です。彦次郎も大活躍。ただ、ここでもう一つ苦言です。佐々木八蔵、、井上半十郎の相棒なんでしょうけど、この佐々木については何の掘り下げもないため、仕事でもなければ因縁もないのに、なんで梅安たちと戦ってるの?エピソードの一つでもあれば、井上に付き合っている理由も見えるのに、伊達にイケメン配役してるので反って悪目立ちで違和感です。
とまぁ、苦言を挟みつつも2部作通して満足の仕上がり。まだまだ続いてほしいと思いつつ、そもそも2部作の終わり方は「完結」と言った感じは皆無です。そこで「今回も何かあるな」とエンドクレジットを観ていると「!」。やはりありました。本編にはいなかったはずのあのキャラクター。そして配役のお名前。もう皆さん解っているようで(私の周りで)立ち上がる人はいません。そしてお約束のポストクレジットシーン。「出ました、池波ユニバース!」。鑑賞後に映画.comで確認すると24年5月にあるタイトル名とキャスティングを発見です。これ、単にポストクレジットシーンにおける「サービスショット」なの?それともまさかの「クロスオーバー」させるのか?ユニバース化実現の有無はかなり楽しみですが、情報は入れ過ぎないように来年を待ちましょう!
今回は豊川悦司VS佐藤浩市。そして、、
相変わらず登場人物がほとんど壮絶な過去でもう。。
椎名桔平さん、バスカヴィル家の犬でもキーマンでしたが、今回も狂気の役のほうは目が怖かったです。
そして豊川悦司と佐藤浩市対決も勝てるかどうか微妙な、一筋縄ではいかない敵役でさすが佐藤さんだと思いました。
エンドロールですぐに帰る方達が居ましたが、今回おまけ映像がありました。
続編は果たしてどんな物語なのか?!
とりあえずは、行きずりで助けた足の悪い少年が、梅安先生のように何か手に職をつけたりしてそれなりに無事に幸せに生きていってくれることを願うばかりです。
ラストに憎い演出
今回は彦次郎ばかりか梅安自身の過去エピソードにも触れる内容になってて相変わらず見応えは充分。
井上半十郎がただの悪人風情ではなく、おもんとのやり取りから分かるようにずっと過去に苦悩してきた心情(梅安に対する想いと自身の確信が揺れる)が描かれてて、また佐藤浩市の存在感と相まってとても良かったです。
彦次郎の井坂惣市への仕掛け方が思いの外あっさりしてたかなと思ったけど、あれはあの方法で決着をつけるしか無かったから仕方ないかな。
そしてまぁ今回もあった最後のポストクレジットシーンが何とも熱い!
鬼平犯科帳の長谷川平蔵と藤枝梅安がクロスオーバーするとか、これぞ池波正太郎生誕100年記念版のアベンジャーズ?或いはバットマンvsスーパーマンやないか(嬉
【幾つかの男女の複雑なる関係性と、人と人との不思議な”縁”を見事に絡めて描いた作品。テンポの良い破綻なきストーリー展開と、江戸の街並みや陰影ある部屋の意匠も作品に趣を与えています。】
ー 第一作に引き続き、梅安を演じた豊川悦司と、彦次郎を演じた片岡愛之助の息の合った演技が良い。作品世界にあっと言う間に、引き込まれる。-
◆感想
・椎名桔平が演じる双子の全く別人格のキャラ立ちが良い。極悪と、名家の藩士。
ー 極悪な弟峯山を、兄伊坂が”蔓”(石橋蓮司)を使って仕掛けようと願うシーン。それに気づいた梅安が彦次郎の妻を犯し、非業の死を遂げた妻の仇を取る決意をした彦次郎の想いを汲んで、極悪な弟峯山の“仕掛”を請け負うシーンも良い。
・そして、6人の獄悪人を独りずつ手に掛け、最後は水に毒を仕込み、彦次郎の妻と同じように首を括らせる・・。
ー そして、梅安は且つて自分が津山悦堂(小林薫)にして貰った様に、囚われて下働きをさせられていた少年を”蔓”の馴染の店に預けるのである・・。-
・更に、梅安が且つて一度だけ鍼で殺害した女おるい(篠原ゆき子)の夫井上半十郎(佐藤浩市)との関係性の描かれ方も良い。
ー 井上が、妻から梅安を誘った事が分かっていての、若き梅安が妻の首に突き立てた鍼の跡を確かめるシーン。-
・おもん(菅野美穂)が梅安を慕う気持ちと、そんなおもんに対し、井上が問うた言葉。
ー レビュータイトルに記した通り、今作は幾つかの男女の関係性の描き方が、抜群に巧いのである。ー
■再後半の梅安と彦次郎が井上と佐々木を迎え撃つ緊張感溢れるシーン。
梅安はおせき(高畑淳子)を早くに返し、一人飯を椀に盛り、卵を掛けて食う。一方、彦次郎は天井裏で、握り飯を口にし敵襲を待つ。
前作で梅安は”これが、最後の食事だと思って、毎食食べる。”と言っているが、正にその通りである。
そして、梅安は佐々木を、彦次郎は井上を毒を塗った爪楊枝で倒すのである。
佐々木の刃は、梅安のすぐ脇に刺さったまま・・。
<期待に違わない出来の、第二弾であった。堪能した。
エンドロールが終わって、腰を上げようとしたらナント!あの御人、長谷川平蔵が登場である。
次回は、「藤枝梅安VS鬼平」で是非ともお願いいたします。>
また針刺してやるよ・・・あっちの針をな!
前作の続き
京へ向かう梅安と彦次郎、その途中彦次郎の妻、子供を死に追いやった井坂(椎名桔平)を見かける、そんな井坂への服襲劇(仕掛ける)。
序盤から中盤辺り同列に座ってる老夫婦の婆さんが足元をスマホライトで照らしてて、その光が気になってちゃんと話し入ってこなくてマジ最悪。途中我慢できなくて席を移動、なので序盤、中盤の話がうやむや!なので書けない(笑)
浪人井上が連れてる若い浪人、若い浪人を殺める時に布被せて殺めてたんだけど布被せないでちゃんと殺める描写が欲しかったな~って思いました!だって見せ場でしょ!鮮やかに針で殺めるシーンが観たかった!
あと梅安がおもん抱くシーンは何か獣の様な抱き方で何かエロくて良かった!
時代劇マジ苦手だったんですが仕掛人・藤枝梅安はマジ安定で面白い!!
何か3作目がありそうな終わり方だったんで3作目に期待!
黙ってクレジット終わりを待て!
前作から続く因縁やら新展開、より時代劇的な娯楽性が富んでの大団円。しかし、エンドクレジットを眺めていたら、本編に出てきた?という名前が。そして、エンドロール後に、感涙のエピソードが待っていた。泣かずにいられない、さすが池波正太郎100年の『意味』がここにあった。黙って、最後の最後まで観ろ!
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