「たった独りでもいれば」ザ・ディセント 絶叫洞窟 鰹よろしさんの映画レビュー(感想・評価)

0.5たった独りでもいれば

2022年12月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

 世間で全く評価されないどころか変人扱いされ笑い者だった芸術家の父がとある洞窟を探検中(?)深手を負うもなんとか生還。しかし治療の甲斐無くまた娘のジェシーの看病も虚しく亡くなってしまうのだった。

 打ちひしがれていたジェシーだったが、父が残したノートに“洞窟の怪物”なる記述を見つけたことで心機一転(看病中に話は聞いていたみたいだけど)。父の死の真相を解き明かし怪物を白日の下に晒すことができれば、父に対する世間の評価を覆し汚名返上名誉挽回できると考え独自に調査を開始する。

 いざ洞窟へ行かんとする日、当初は独りの予定だったもののなんやかんや疎遠だった弟がついてきてくれ、邪魔にしかならないその彼女も勝手についてきて、今カレなのか元カレなのか幼馴染だかの好青年も寄り添ってくれ4人で洞窟探検へと赴いていくのだった...

 取り敢えず踏まえておくべき事項は、父は “洞窟で亡くなった” のではなく “洞窟から生還した後に亡くなった” ということだろうか。そして生前世間からの理解を全く得られず、オンラインによる葬儀にも関わらず誰一人として参列してくれない境遇にある人間であることも。

 そんな父を信じ続け命を賭してまで父に対する世間の評価を覆そうとしたジェシーのこの父へ眼差しが、怪物探しの旅路においてジェシー自身へと還っていく、彼女自身にもまた向けられていたことに気付くというのが主題なのだろう。

 周りが何と言おうと関係無い、世間の評価なんてそこまで重要じゃない。たった独りでも味方がいてくれたら...とする希望が。

 洞窟から脱出できない者たちはジェシーの父親同様世間から相手にされなかった者忘れ去られてしまった者であると同時に、自暴自棄になり周囲の声に耳を閉ざしてしまった者たちなのかもしれない。

 遠くにいる有象無象の敵ばかりを意識しすぎて、近くにいる味方をも敵視していませんか?

 どこにいるかもわからないどこの馬の骨だか知れないそもそもいるかもわからない少数に過ぎないアンチの声に気を取られ、目の前に実在する大切な何かを誰かを見落としてやいませんか?

 ただなんだろうか、ひたすらに自分勝手な行動が目立つのと、他人に迷惑かけ過ぎじゃねぇかとかなり引っかかる面が多く、本来の趣旨からの脱線を多大に感じてしまうのはネック。それに画面が暗い。

「ディセント」シリーズ...「ザ・ケイヴ」(2005)...「リメンバー・ミー」(2017)...「ディープ・コンタクト」(2021)...

鰹よろし