劇場公開日 2022年5月27日

  • 予告編を見る

「ナイフや木棒でイイ顔の悪党達が延々殺し合う冷たくて重い韓流ノワール」狼たちの墓標 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ナイフや木棒でイイ顔の悪党達が延々殺し合う冷たくて重い韓流ノワール

2022年6月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

江陵リゾート開発の利権を巡る血塗れの構想を描いた韓流ノワール。善良な人間が1人も出てこない一方で彼らの絆や友情もしっかり描いているのでただの暴力映画にはなっていません。しかし元々江陵を牛耳ってきた組織に挑みかかる新興グループを率いるミンソクだけがそんな分厚い人情とは無縁で、観客の感情移入を一切拒む凶暴な野性を剥き出しにして目障りな敵を容赦なく血の海に沈めていきます。そんなミンソクの過去は冒頭に放り込まれる凄惨な事件に凝縮、その後に起こったであろう出来事は彼の冷たく魂が抜け落ちたように無気力な眼光だけで語る演出は痺れるほどカッコいいです。銃器はほとんど登場せず、ただナイフで斬りつけ合い、木棒で殴り合うプリミティブ極まりない乱闘は観ているのが辛いほど痛々しいというのも逆に斬新です。

よね