アンナの出会いのレビュー・感想・評価
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ラストで評価が変わった
画面構成がすごい。
ウェスアンダーソンだの
タランティーノだの思い出してしまった。
長回しの多用で
眠くなるのは分かります
ただ、ラストの留守電
「アンナ、どこにいるの?」
これがすごかった
私は本当にどこにいるんだろう
っていう。
孤独の状態で、安定してしまっている
シンメトリーの構図が多用されて美しい映像。主人公のアンナはたいていシンメトリーな構図の真ん中にいて、安定しているように見える。孤独な状態で、安定している。あえて言い換えるのならば、安定してしまっている。
旅先のホテルで、彼女はシンメトリーの空間(ベッドがふたつシンメトリーに並んでいる)で、右側のベッドに横になっている。シンメトリーの均衡が崩れて、彼女の孤独に変化が訪れるような予感がする。でも、結局、アンナはその夜、街で出会った男を部屋に連れてくるけれど、最後まで繋がることはない。男を送り出してまた孤独な夜に帰っていく。
年の離れた愛人と夜を過ごすシーンでも、彼が発熱して、繋がることはない。
彼女の孤独は、男たち相手では満たされないように感じた。なんだか、うまく言えないのだけれど、
母とふたりで同じベッドで眠るシーン、電話でアンナと話す女性。アンナの孤独を埋める可能性は、女性たちにあるように思う。
しかし、旅から帰って、アンナは1人で、ベッドに横たわり、溜まっていた留守番電話を再生し続ける。相手が不在の、一方的なコミュニケーション。過去に録音されて、現在に再生される今この瞬間には存在しない声。身体性の希薄さ。留守番を通して聴こえてくる声が機械的に、空虚に、響く。すべてが孤独をさらに助長させるようだった。アンナは不安定に、安定してしまっていて、旅に出てもなお、そこから、動くことが、できない。
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