劇場公開日 2022年5月21日

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辻占恋慕のレビュー・感想・評価

全19件を表示

4.0崖っぷちの気高さ、言葉選びの鋭さに痺れる

2022年5月30日
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大野大輔監督の描く物語世界では、いつも登場人物たちが何かしら崖っぷちに立ち、それでいてどこかその境遇を楽しんですらいるかのような異様な気高さを身に纏っている。作品の基調をなすのは膨大なセリフの応酬だが、その一つ一つを彩る心を突き刺す言葉選びとレトリック、一癖も二癖もある独特の論理は本作でも健在。それらは小さなうねりを生み、反復とズレの合間に矜恃を迸らせ、ラブストーリーとも、音楽映画とも、三十路の泥沼青春ロマンとも言いうる世界を、大野カラーで存分に塗りたくっていく。前作に比べてどこかシュッとした容姿へ変貌した主演俳優としての大野大輔も、蓋を開けてみると、厄介で偏屈でこうと決めたらテコでも動かない、いつもながらの彼。しかし今回は決して会話劇に終始せず、物語を展開させ、胆力を試すかのようなステージが用意されている。一枚殻を破り、新たな生態で歩みを加速させる表現者、作り手としての凄みが感じられた。

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牛津厚信

4.0すべての“夢破れし者”へ

2022年5月20日
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鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

大きなくくりでは青春音楽映画ということになるだろうか。音楽に限定せずとも、演劇や映画、ダンス、お笑いなど表現者として“何者”かになろうと志し、ある者は才能や努力や幸運によって成功し、またある者はもろもろがうまくかみ合わずに挫折する。そんな表現者の栄光や挫折を描いた映画はこれまでにも多々あれど、「持たざる者たち」と銘打って青春の終焉を痛々しいほどに突きつける本作のようなタイプは意外に少ないのではないか。

細々とライブ活動を続ける三十路のミュージシャン、信太(大野大輔監督が自ら演じている)と月見ゆべし(早織)。対バンになった際に信太の伴奏をゆべしが買って出た縁で、信太は自身の夢をゆべしに託し、マネージャーとして彼女を売り出そうとするが…。

表現の世界でプロを目指すも挫折した人なら、2人の苦しさが痛いくらいに伝わるはず。数えきれないほどの“成就しなかった想い”への鎮魂歌のようでもある。小島藤子主演・桐生コウジ監督作「馬の骨」に近い要素も認められる。

早織によるギターの演奏シーンは吹替なしだそうで、猛特訓したのだろう。ただ、長年弾き語りを続けているという設定の割には、ギターのローポジションでのコードチェンジのたびに手元を見すぎ。基本的なコードはフレットに目をやらずに移行できていたら説得力が増していたのに、惜しい。

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高森 郁哉

0.5相変わらずの下北沢地雷文化。

2024年5月30日
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鑑賞方法:VOD
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マサシ

3.5それぞれの答えへ

2023年6月1日
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自由であるが故の不自由があったり
愛がある故に皮肉が生まれたり
夢がある故に捨てなければいけない物があったり

何を求めて進むのか?
ゴールは何処なのか?

人が生きて行く事自体がドラマだと思いました。

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カノキ

3.5コロナ前にはよくライブハウスに通っていたので、なつかしい匂いがした...

2023年4月28日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

コロナ前にはよくライブハウスに通っていたので、なつかしい匂いがした。
アイドル的な存在の女性アーティストのライブは客の大半がおっさんであるのは日常的な光景。
ゆべしのような雰囲気の女性アーティストもいた。
特別美人でもなく、不愛想で、歌も特別上手くないということでは人気も出ない。
終盤のマネージャーの暴走にはのけ反ってしまったが、なかなかおもしろかった。

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省二

1.0独りよがり

2022年10月8日
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鑑賞方法:映画館

単純

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さいとー

2.0絶対売れないでしょ🎵 もちろんそれは関係ないのかもだけど…

2022年9月21日
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最後のほう客に難ずる場面は、物事の本質が好きじゃなく雰囲気が好きな大衆相手に理解出来なくはない。
特に若かったら〰️

本人もこれで食べたいのか、理解してくれる人が多くいたらとかの思いはあるのか、はっきりすればって感じですねー

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雨の夜はヤバイゼ

3.5【”青春の終わり・・”歌の夢追い人たちの、夢を諦めきれない姿。けれども、このままでは愛する彼女が・・。切ない恋物語。女を愛する男の舞台上での下衆な観客たちに対する、長台詞シーンは圧巻である。】

2022年9月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ー 売れないロックデュオのボーカル信太(大野大輔監督兼脚本兼主演)は、相棒のギターにパチンコを優先され、シンガーソングライターの月見ゆべし(早織)に助けられる。
  そして、二人は歌手とマネージャーとして、厳しい道を歩み始める・・。-

◆感想 <Caution! 内容に触れています。>

・月見ゆべし(恵美)を演じた早織さんの、ぶっきら棒ながら、母が立ったステージに、一度は立ちたいという想いが、ゆべしを支えている事が分かる。

・恵美も、信太も30歳過ぎ。ピークも、どん底も経験しないまま、ズルズルと先の見えない音楽生活を送る日々。
ー きついよなあ・・。けれど、二人は時に罵り合いながらも見えない壁に向かって行くんだよね。ー

■ある晩、信太が恵美の心模様を綴ったノートを読むシーン。
 夢が綴ってあるはずのノートの後半は、黒く塗りつぶされていた・・。
 呆然と、それを見る信太の顔。
 脳裏に過る”恵美は、限界を超えてしまっているの・・。貴方のためにと思って頑張って居るけれど‥。”と言う、破綻した音楽事務所の演歌歌手西園寺琴美(川上なな実)の言葉。

 そして、月見ゆべし(恵美)のソロコンサート前に、信太は”愛してる”と耳元で呟いてから、スタンガンを彼女に当て、優しく床に寝かせた後に、独り14人の男の観客の前に出ていって・・。
ー このSNSで誹謗中傷を書き込んでいる、観客に対する、彼の怒りの長台詞シーンは、グッとくる。-

<そして、コロナ禍になり、信太は月見ゆべし(恵美)とは、別れたのだろう、独身暮らしで且つての相棒のギタリストが副店長をしているカラオケ喫茶で働く日々。
 或る晩、届いた茶封筒の中に入っていた”辻占恋慕”と書かれたカセットテープ。
 それを、独りカセットデッキに入れ、聴く信太の姿。
 今作は、夢を諦めきれない男女の姿を描いた、心に響く作品である。>

<2022年9月2日 刈谷日劇にて鑑賞>

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NOBU

2.5監督さんはこんな映画しか作れない自分に悪態をついている

2022年8月19日
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鑑賞方法:映画館

プロ歌手を目指しながら、思い込みだけ強くて才能がなく努力もしない「ゆべし」と、これを献身的に支える、努力はするけれど能力のない「信太」の出会いと別れを描いた「痛い」筋書きです。「努力をすれば必ず報われる」などというような偽善的な脚本になっていないのが救いです。
でも、これを演じる役者さんはすごいなと思います。

映画の最後で「信太」役も兼ねた監督さんが、マイクの前で長々と悪態をつくシーンがありますが、あれはチャップリンの「独裁者」のパクりでしょうか。それにしては品がない。
最初は監督さんの怒りが分かりませんでしたが、長々と悪態を聞いている内にピンときました。
監督さんはこんな映画しか作れない自分に悪態をついているのだと

札幌での上映期間は一週間ぐらいでした。最終日に見に行きましたが、平日の夜だったので観客は数人(片手)、映画館の経営が苦しいはずです。

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PAK UNTIK

4.0深い。

2022年8月18日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

売れないシンガー同士が
出会い、慕い、すれ違い…。
最初は何処にでもある恋愛物語と思いきや、コミカルな面もありつつ、悲しみ、プレッシャー、不安。そして最後の彼の愛し方…。
とても難しく、わかるんだけど上手く文字にできない感覚。

余談ですが、主演の男性がフットボールアワーの岩尾さんとチュートリアルの福田さんを足して2で割ったような感じで、要所で『あ、似てる♪』って思って少し入り込めなかった(^_^;)

凄く面白かったです。

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chitto

4.0才能の使い方と諦め方、夢の泥船の行方と姿はカッコいい

2022年6月16日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

幸せ

生まれ持った才能が、外に向かって放たれるとは限らない。それでも、信じてくれる人がいる。そんな夢の描き方と諦め方、どちらもカッコいいよ。

名前だけ聞いたことがあった『ウルフなシッシー』の大野大輔監督の最新作。このテーマを描くことに、監督自身は怖さを覚えなかったのだろうか。なかなか意欲的。台詞の角度が鋭利で面白いし、含みを持たせながら転がる日々にグイグイ引き込まれる。まだ自分は大学生だし、何も始めてないから笑えたりイラッとしたり出来たが、1つの諦めを覚えれば見方が変わる気がする。

才能がある。それは凄いことでも、矛先が万人でないと世間には認められない。そんな世界はどこにでも転がっているだろうし、形を変えて次から次へと出ているに違いない。その一方で、年齢や環境といった変化がもたらすモノも多い。そんな2人の最後の足掻きと、描いた未来。アーティストはそりゃ極めたいから世界を狭めるし、マネージャーは現実を見つめるから戦う。凄くムズムズするけど、結局それは自分はリスクを鑑みてしまうから。振り切ってまで努力できる人は本当にすごいと思う。ただ、その見せ方が不器用な人も少なくないってことだろう。

主演の早織さんが凄く強くてカッコいい。最後まで鉛筆のような固さと濃度が充満していて、なんともたまらない。大野大輔監督も主演のひとりとしてリードしているけど、頼れなくて…でも頼れる姿が印象的。他にも、福永朱梨さんや小竹原晋さんなど、邦画では馴染み深い顔が揃っているのも大きな魅力。

元にこうしてレビューをつらつら書いている。皮肉にも、これが今の時代の指標となる。うるせぇ、そう言って世界を疑い、自身を通せる大人はやっぱりカッコいいのだ。

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たいよーさん。

4.0見て正解、大正解

2022年6月13日
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鑑賞方法:映画館

主演の早織さんって誰だろう・・・調べてみたらなんと!時効警察の「真加出くん」じゃないですか!あぁ、素敵な女優さんになられて・・・別の意味で嬉しくなっちゃいました。

さてさて。

なかなか味わえない恋愛ストーリーでした。なるほどー、そーいうすれ違いもあるのか。本作
の作り手さんは同じ経験があるのかなぁ?「昔こんなことがありまして・・・」って話を直に聞いているような感じでした。「なぜ、二人がそーなっちゃっているのか?」ってところを多くを語らずに場面を澄み重ねていくあたりとても好みですし、クライマックスに向けてなかなか心を締め付けてくれます。

夢を追うことが青春って言うのなら、本作はれっきとした青春(恋愛)映画ですね。いわゆる恋人同士の、THE 恋愛映画のワチャワチャはありませんが、共有する「夢」と「愛」の線引きに苦悩する二人が切なくも可愛らしい。信太に向けられる「何を(才能?本人?支援してる自分?)愛しているのか?」ってセリフ。きっとこれがテーマなんだろうなぁ。こんなすれ違いあるかぁ〜って。

クライマックスのライブ会場シーンは切なかった。不器用すぎるでしょー?信太。不器用ながら発散する想い。そーだよなぁ、お前はそれ選んだんだよなぁ。それが二人のためって思ったんだよなぁ。届くといいなぁ。きっと聞こえているその叫びの想い届くといいなぁ・・・・って思いながら観てましたが・・・・・ラストで救われたかな?

最後に・・・川上なな美さん、よかったな。才能豊かな方なんだなぁと改めて感心です。

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バリカタ

5.0予想の100倍

2022年6月7日
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鑑賞方法:映画館

人に勧められて観て、予想より10倍面白いなぁと思っていたら、最終的に100倍面白かったです。
月見ゆべし役の早織さんの不機嫌な顔、最高!あまりにはまり役なので、当て書きの脚本なのかと思ったら、舞台挨拶での早織さんはニコニコで、何やら光を放っていました。
信太役の大野さんは独特なお芝居をされる方だなぁと思ったら、エンドロールを観てなるほど!持ってるのは愛されボディだけじゃなかったのね。

台詞もいいし歌もいい、映像もいいし他の登場人物もみんないい。
これは誰かと語りたくなります。とりあえずもう一度観ます。

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粉雪

3.5低周波とスタンガン

2022年6月4日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

 当日、映画館周辺でこの映画に決定して鑑賞。
印象に残ったのが、低周波を使った攻めるシーンとスタンガンを使ったところは衝撃的でした。
映画鑑賞後に早織さんとヨーロッパ企画さんのとのトークショーで監督の事が知れてとても良かったです。カセットテープを購入しなくて申し訳なかったです。

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ウッキィ

4.0良く出来た音楽青春爆笑映画

2022年6月4日
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鑑賞方法:映画館

全く売れなかった音楽家が、生活の為に音楽活動を辞めるが、音楽は辞められず。
結局、歌手のマネージャーになるのだが。苦労しても金にはならず、という人生では良くある話なのですが。台詞が面白いのと、最後がハチャメチャで良かった。

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さとるくん

2.0登場人物の誰にも感情移入できなかった

2022年5月27日
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鑑賞方法:映画館

 ヒロインの芸名が「月見ゆべし」とはケッサクである。「ゆべし」は全国的にバリエーションのある菓子だが、知名度は団子よりもはるかに下だ。団子は月見の際に供えることで有名なのに対し、ゆべしに有名なシチュエーションはない。つまり、月見団子は誰でも知っているが、月見ゆべしは聞いたことがない。どこまでもマイナーなのだ。
 月見と言えば月見草が連想され、山崎ハコの「織江の唄」を思い出す。映画「青春の門」の主題歌となった歌だ。次の歌詞がある。

 月見草 いいえそげんな花じゃなか
 あれは セイタカアワダチソウ

 作曲は山崎ハコだが、作詞は「青春の門」の原作者の五木寛之さんである。月見草とセイタカアワダチソウは花ひとつを見れば似ても似つかぬ花だが、黄色く群生するところが似ていて、遠くから見ればセイタカアワダチソウと見紛うこともある。本作品のヒロイン月見ゆべしは、遠くから見たら月見草に見えたが、実はセイタカアワダチソウだった。

 映画としての高評価は難しい。登場人物同士のマウンティングに終始しているだけで世界観が欠如しているから、物語に深みがない。月見ゆべしは売れたいのか売れたくないのか、売れるということはどういうことなのか、もし売れることが妥協することなら、それは幸せなことなのか、そういった掘り下げが欲しかった。
 歌唱のシーンが沢山あるが、どの歌も音域が狭く、失礼な言い方だがお経みたいな歌ばかりで、歌のシーンになるたびに、早く終われと願ってしまった。ひとつでもメロディにインパクトのある歌があったら、全く違った映画になったと思う。

 ラストシーンは評価が分かれるところだろう。ただ、信ちゃんの主張が論理的に破綻していることは誰でもわかると思う。ラジオで紹介されたからコンサートに来たという行動が否定されるなら、ほとんどの文化は否定されることになる。文化を支えているのはそれにお金を出す人間であり、何にお金を出すかを決めるきっかけになるのが、ある種のつながりだからである。信ちゃんの論理では、芥川龍之介を読んでいる人が、その師が夏目漱石だと知って漱石の本を買って読むという行動が否定されることになる。
 誰でも生まれたばかりの頃は何も知らない。何かのきっかけで文化に触れるのだ。つまり「きっかけ」を否定することは、人が文化に触れることを否定することである。だから信ちゃんの論理は文化の全否定なのだ。信ちゃんはマウンティングばかりしてきたから、論理的な思考ができない。そしてそれを自覚していない。

 もしかするとそういう上滑りしている若者の幼稚な精神性を描きたかったのかもしれないが、本作品はマウンティングのシーンばかりである。だらしのない体を披露した監督の勇気には敬意を表するが、真情を吐露するようなシーンがひとつもなかったから、登場人物の誰にも感情移入できなかった。

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耶馬英彦

3.0生の音、ライブハウスはいいよ。

2022年5月27日
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懐古系というほど古くもなく、いつの時代にもいる微妙な年齢の売れないミュージシャンの話。
主役の早織さんは歌も演技も魅力的で素敵だった。対バンから才能に惚れてマネージメントに回る男が監督だったりして、ダメな肉体とか話し方が好感持てた。そういえばラブラブシーンなかったな。
でこの手の話は2人がうまくいかなくなって終わるわけだけど、その終わり方、クライマックスがピンと来なかった。彼の怒りが凄い空振りに見えてしまったのだ。

私自身趣味でバンド未だにやってて思うに皆んな今は昔と違う覚悟の決め方してる感じがある。プロデビューを目指してる子も少なくなりました。インディーズで売れてた人がメジャーデビューしてポシャるの山ほど見たし、レコード会社の大量解雇が色々わかりやすかったよね、音楽業界のビジネスモデルが崩壊したんだ。
今のマネージャーはsns管理、配信、pv作り、録音などのある程度技術が有って一人で色々できないとダメらしい。
そして今ライブハウスは地下アイドルで持ってる状態。皆んなネットワークとリアルと結び付け、集客、物販、日本の現実を見抜いて国内に限らず海外のマニアと繋がって楽しんでいる、実に強かである。もう「皆んなにウケる」事なんて誰も考えてない、だから作家性の尊重が昔以上に重要かもとか、、、演る方も観る方も納得して成立してる気がしてた。だから彼の怒りがピンと来なかったのかも知れない、彼は彼女の夢を守ったつもりかも知れないけど「ちがうだろ、、、」と思ってしまった。

あ、なんか熱く語って自分も空振りしてるかもしれない、、、、、この辺は個人差出る所だから自分で見て確認して下さい。

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masayasama

2.5CDの方が早いし安い

2022年5月23日
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悲しい

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Bacchus

4.0最近の思い出し映画の中では抜きに出た1本

2022年5月22日
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たまたまカレルゼマン特集を観にいった際に予告編を観て、このシンガーは誰?…早織?!ということでほぼ早織さん目当てで観にいって大正解。初っ端からグイグイと引っ張られて気づいてたら涙で終わっていた。
ライブハウスでの偶然の出会い、マネージャーと歌手(売れない)の葛藤の日々、そして… という青春の終焉のお話。会話劇が面白く、そして見たことのないこの茫洋とした俳優、しかもゆるんだ肉体の俳優は誰だと思ったら監督だった。それでか。ほぼ1対1の会話劇になっている。カメラが手元だけ映し、人すら映っていなくとも会話は進む、そして歌の挟み方が気持ちいい。そしてまさに30歳前後のこのままどうしたらいいという時代の怖さを体現したかのような睨みをきかす早織の目つきと歌声がいい。まあ予告編でそれを観たくて行ったのだけどたっぷり、そして映画としてもただひたすらにそれを映し続け、最後に人がたくさん集まって歌うはずのライブハウスで予想外の展開で幕引きとなったところで青春が終わる。
このところありがちなちょっと昔を切なく思うタイプの映画でもあるけど、それらの映画にはない決定的なものを主人公ふたりが持っていて、それが美しかった。ひとつはやはり早織さんのあの目つきと歌声、もうひとつは茫洋と歌をやっていた男がサポートに回り、そして幕を引く。とても無様でとても尊い、思い出しただけでも泣ける。

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ONI