「重要なことを描いている映画ではあるが」私のはなし 部落のはなし 白井パンダさんの映画レビュー(感想・評価)
重要なことを描いている映画ではあるが
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監督本人が学生時代に撮った映画における、その世界との邂逅、そこでの失望からこの映画が生まれたことはわかる。そして、歴史的事実、その背景を描くために、両論を併記し、最後は若者たちがかつての流行歌を歌うことで、まとめたことも、その意図はよくわかる。
しかし、この映画がどこを目指そうとしたのだろうか。その点はより明確にしないと、差別がなぜに存在し、それが無根拠であるから、ということだけでの展開は少し弱い気がした。終盤、差別問題を描くために、インターネットでの記述を提示したが、それらは10年以上前のものだった。今の時代に残る差別は、その頃と同じだろうか。
社会問題として題材に向かっているが、その一方で、今も残る差別の理由についてはほとんど描いていない。尺があった以上、そのあたりで観客をもっと振り回してくれてもよかったのではないか、と思う。
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