「貴重なインタビュー映像、体験の実感」私のはなし 部落のはなし redirさんの映画レビュー(感想・評価)
貴重なインタビュー映像、体験の実感
自分のなかで大学生くらいの時に初めて知り、問題把握が不十分単純になんだかよくわからない理解したいのにわからない厄介な問題であった部落問題。日本のことであるのに翻訳通訳が必要なレベル感のわからなさと、対峙し立ちはだかる[子どもの頃から実体験実人生に部落が身近にあった人]との隔絶感距離拒否反応、などを克服し少しでもという入口を求め映画館へ。そしてまさにそのことを体験した三時間余であった。
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず 福沢諭吉
であるからして、部落差別は何の相違もない人々差別するから、人が人の上と人に下を作り差別したものである。当たり前のことだが、まず前半ここが腑に落ちる。差別される側は何でかわからず、差別する側はファクト的なものは一切ない意図的に恣意的に作り出し、その後も、同和なる謎の言葉による差別の見える化をおそらくあえて継続してきたのだろう。同和ということばの成り立ちも理解。
黒川みどり先生の、板書が素晴らしく理解を、核心を掴ませてくれた。
今2022年においても、同和という言葉が行政でも使われているのか、もはや、貧困対策貧困問題でよいのではないか。
知らないことをそのままでよしとしない、因習や慣習や刷り込みやそういうものに取り込まれず騙されずまた自分を騙さない理性と知性を持って考えていく気持ちを改めて強く持つことができ、入り口を示してくれた素晴らしい真摯ななドキュメンタリー作品。そもそもフィクションであった部落差別、部落という存在をノンフィクションに丁寧に解き明かし掘り起こした作品。感謝しかない。
以下は
上映後の、監督と黒川みどり先生のトークを拝聴した。
聞いた文言通りではないがその時のメモ備忘のため。
社会構造の問題と捉える
イコール
自分の問題と捉え返す
タブーを作らず広範な取材をしたこの作品がメディアにも大きく取り上げられた、社会の反応という現象を創出したことの凄さ
天皇制と部落差別の問題、
制度としての天皇制を廃止しても部落差別はなくならない
という話
昨今の天皇制に対する受容の変化があることも関与している
天皇制と部落差別は密接に結びついている。
明治4年の解法令はありがたいものという受け止めら、、
天皇制は思考停止させてしまうという局面があるのであれば、天皇制に囚われている、そうなりがちな私たちは、知性を持って取り組むべきだ、
血筋のこだわりが差別の理由、根源となっているなら血筋の最たる頂点にある天皇制との関わりは否めない
なぜ近代社会に差別が存在してきたか、
運動史や政策史では捉えきれない、
運動史を突き抜けて、なぜ差別が存在してきたかしているかを問い続ける研究
取材の過程でも自然と天皇の話が出てくる場面が多かった。
部落問題の一側面しか描けていないという認識ある、作品ができたから完成ではなく上映しながらさらに勉強、問いかけを続けていかねばならない
コメントありがとうございます。難しい問題でレビュー書けないかなと思っていたのでお読みくださり嬉しいです。
まさに加害も被害もひとりひとり感じ方も考え方も振る毎日方も違う、そして無意義であっでも差別してしまうことがあるので常に自己電源、自分への問いかけが必要だと感じました。
むずかしいなぁ。私は差別を簡単で難しい問題と考えています。人を(身も心も)傷つけてはならない、でもそれが一人ひとり違う(加害も被害も)ということです。だから自分が何をやってはならないか、何をやらなければならないかを知ることが私の差別(偏見)に対する姿勢です。いい映画でしたね。