「アイヌ文化の記録ドキュメントとして大変貴重な作品です。…けれど、観るのに心の準備が必要な場面もありますので心してご鑑賞ください。」チロンヌプカムイ イオマンテ もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
アイヌ文化の記録ドキュメントとして大変貴重な作品です。…けれど、観るのに心の準備が必要な場面もありますので心してご鑑賞ください。
アイヌ文化に昔から興味があるのと、
中川裕先生(※) が語訳(アイヌ語⇒日本語)で
参画されているのもあって鑑賞してきました。
(※「ゴールデンカムイ」の監修を担当された方)
◇
イオマンテを記録したドキュメンタリー。
その点において大変貴重な作品と思います。
また、イオマンテの記録に限らず
アイヌの風俗(歌や踊り)も撮影されていて
それも興味深く拝見いたしました。
イオマンテ とは
動物の姿で現れた「神」を、国に送り返す儀式。
「熊」を神の世界に送る話が多いと思うのですが
この作品中では 「キツネ」 でした。
キツネもイオマンテの対象なんだと知りました。
※
クマとキツネでは、たぶん
イオマンテのやりかたも違うそうなのですが
いずれにしても今回初めて見ました。
アイヌの精神世界が見えてくる儀式です。
アイヌの精神世界 とは
#目の前にいる動物は、「神 (カムイ)」である。
#「神」 が肉と皮をもって降り立った姿である。
#訪れた神を、おもてなししなければいけない。
#お土産をたくさん用意し御幣(イナウ)を捧げ
#神の国へと送り返そう。 すると
#神の国に戻ったカムイは神としての位が上がり
#喜んで再びアイヌを訪ねてきてくれるのだ。
☆ 概ね、このような感じかと。
(…間違ってたらゴメンなさい …大汗)
なので
この作品を観るにあたって
「人間(アイヌ)と神(カムイ)は対等の関係であり
儀式を通してお互いに栄えていく関係である」
これを常に念頭に置いておくと良いかと思います。
(これは本当にそう思いマス)
※その視点から離れてしまうと
「動物虐待」 という風に受け止められてしまうので…。
◇
というわけで
貴重な映像を観ることができました。
観て良かった。
ただ、万人向けの作品ではないです。
アシリパさんも出ていませんのでご注意ください。
(…いない? ですよね)
◇最後に(余談気味)
「ゴールデンカムイ」 では、アイヌの文化を
すごく詳しく描いていました。
特に、動物を食べるシーンの生々しさが
とても印象的でした。
(アシリパさんは脳味噌大好きだし…)
アイヌ文化の啓蒙としては「ゴールデンカムイ」が
大いに役目を果たしたように思いますし
この作品も
アイヌ文化の映像の記録として
大いに価値のあるものと思います。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。