「隅々までブラッド・ピットだった群像劇的密室活劇」ブレット・トレイン 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
隅々までブラッド・ピットだった群像劇的密室活劇
これはやっぱり、ブラッド・ピットを楽しむ映画。と言ったら、様々な要素を含んだ映画の作り手や出演者たちに失礼だろうか?
東京発→京都行の超高速列車内で展開する殺し屋たちの乱闘劇は、基本、韓国映画の『新感染 ファイナル・エクスプレス』やタランティーノが愛した国籍不明のジャパニーズ・テイストを発散しつつ、時折、真田広之とアンドリュー・小路が登場する場面では『モータル・コンバット』や『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』を連想させる等、密室空間にありったけの娯楽を詰め込んではいる。
しかし、スピードを牽引するのはあくまでブラッド・ピットだ。それはこんな風だ。
列車が走り出す、そこにブラッド・ピット、殺し屋が現れる、そこにブラッド・ピット、それぞれの思いが交錯する、そして、ブラッド・ピット、みたいな。
列車内を縦横無尽に暴れ回ったカメラが、軽快に喜怒哀楽を表現するブラッド・ピットの表情に回帰する時、あー、これはハリウッドのトップスターが主演するハリウッド映画以外の何物でもないと実感させる。それは、『トップガン マーヴェリック』でトム・クルーズを見た時の安定感に似ている。
何気ないPコートやジャケットスーツやバケットハットや汚れたTシャツやアクセサリーも、ブラッド・ピットこだわり逸品だったことも含めて、隅々までブラッド・ピットだった群像劇的密室活劇なのだった。
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