「ホラーにしては怖くないし、ミステリーにしては犯人が分かってしまうし、サスペンスにしては盛り上がらないし、スリラーにしてはわざとらしい」スイート・マイホーム tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
ホラーにしては怖くないし、ミステリーにしては犯人が分かってしまうし、サスペンスにしては盛り上がらないし、スリラーにしてはわざとらしい
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オカルト・ホラーと見せかけるのは良いのだが、主人公やその妻が感じる新居の不気味さや「怖さ」が伝わってこないのは、致命的と言えるだろう。
特に、主人公が地下室で感じる息苦しさを、閉所恐怖症のせいにしたのは明らかな失敗で、得体の知れない恐怖を自ら手放してしまったとしか思えない。そもそも、地下室に照明がないのはおかしいし、そこに閉じ込められたら、スマホのライトを使ったり、電話で助けを呼ぼうとするのが普通だろう(他の場面では頻繁にスマホを使っているのに!)。主人公が、地下室よりも狭い屋根裏で普通に活動していたり、窓のない屋根裏が明る過ぎるのも不自然だ。
連続殺人事件のミステリーにしても、話がモタモタしていて一向に盛り上がらないし、怪しい人物が死んでいって、消去法で犯人が分かってしまうのもいただけない。
サイコ・スリラーとしても、犯人が、屋根裏に隠れ住むのは分かるとして、ハウスメーカーの同僚や主人公の浮気相手を殺害する動機には今一つ納得できないし、女性1人でできる犯行とも思えない。
ラストは、結局、主人公の兄を殺したのは妻だったという解釈になるのだろうが、これも、妻の言動や、犯人と思われた人物に動機がないことから予想できてしまい、残念ながら、意外性や衝撃は感じられなかった。
更に言えは、主人公が過去に父親を殺していたという事実も、いかにも取って付けたようで、余計なエピソードにしか思えない。
不倫、脅迫、怪しい販売員、子供の隠れんぼ、自閉症の兄など、サスペンスを盛り上げるための仕掛けが、どれもわざとらしく、ご都合主義に思えてしまうのは、「観ているこちらが素直でない」ことだけが理由ではないだろう。
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