「「カタギの人間を殺めてはいけない」という最低限のルールは守らないと・・・」エクスペンダブルズ ニューブラッド tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
「カタギの人間を殺めてはいけない」という最低限のルールは守らないと・・・
「エクスペンダブルズ」と言えば、アクション・スターの豪華な顔合わせというのが売り物だが、今回は、イコ・ウワイスやトニー・ジャーの参戦はあるものの、やはり、出演者の小粒感は否めない。
主な見せ場は、リビアの廃工場と洋上の貨物船だけで、世界を股に掛けたようなスケールの大きさも感じられない。
敵が企んでいるのも、核爆発で第三次世界大戦を勃発させるという古臭い陰謀で、今日的なテーマ性など微塵もなく、いつの時代の話なのかと疑わせる。
登場人物たちの行動にしても、対空ミサイルの上をただ飛び回っていたり、監禁された仲間たちを助けに行くべきところを自ら正体を明かしてオートバイで駆け回ったり、見通しの良い甲板上を大勢でノコノコ進んで行ったりと、プロフェッショナルとしての所作がまったく見受けられないのは、お粗末としか言いようがない。
派手なアクションや立ち回りを作り出すためだけのストーリーの割には、シラットやムエタイの妙技が見られる訳でもなく(どうせなら、イコ・ウワイスとトニー・ジャーの一騎打ちが見たかった!)、合間に挟まれる会話もくだらなくて、退屈なことこの上ない。
極めつけは、シルベスター・スタローンの使い方で、序盤に、あっさりと退場してしまったので、せめてラスボスと対決するとか、仲間を救うために犠牲になるとかの見せ場を作れなかったものかと、物足りなさと違和感を覚えざるを得なかった。
それでも死体があったので、無理矢理納得するしかなかったのだが、その上での、ラストのあの復活劇は、いくらなんでも反則技なのではないだろうか?
結局、酒場にいたゴロつきを身代わりに殺してしまっているのだが、彼は指相撲に勝っただけで、何も悪いことはしていないのである。
これは、れっきとした殺人で、それをハッピーエンドとして笑い飛ばしていることに、何とも言えない薄気味の悪さと後味の悪さを感じてしまった。