劇場公開日 2023年2月17日

「痛快池井戸作品」シャイロックの子供たち ニンフィア好きさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0痛快池井戸作品

2024年2月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

知的

難しい

「半沢直樹」でお馴染みの池井戸潤原作で、阿部サダヲ演じる主人公たちが銀行の裏の悪事を暴く社会派作品。「半沢直樹」同様銀行が舞台ということで、同じ銀行でもまた違った世界の銀行物語が繰り広げられていました。主人公とその部下2人を中心にストーリーは展開されていき、誰がどれだけの悪事を働いていたのか、最後まで予測がつかず、結末がわかったときにはなかなかにスカッとする、痛快作品でした。

直近で鑑賞した池井戸作品は「あきらとアキラ」が記憶に新しいですが、こちらも銀行員の話ですね。池井戸潤って銀行を舞台にした作品が好き?得意?なんでしょうか。「あきらとアキラ」はどちらかといえば胸アツの人間ドラマでしたが、本作はコメディ要素も含んだサスペンス風の痛快お仕事エンターテインメント、とでも言っておきます。これはストーリーが云々というよりかは、阿部サダヲの個性的な演じ方にあるのではないでしょうか。阿部サダヲって、どの作品でも似たような役柄が多いような印象ですが、ちゃんとそれぞれの役の唯一無二の個性を引き出しています。その演じ方にも強く個性が出ており、他のどんな役者にも真似できません。そんな阿部さんのお陰もあり、どんどん引き込まれるような映画になっていたと思います。こちらの予想をことごとく覆してくるので、その展開が癖になりました。「半沢直樹」にはない面白さが溢れていました。ちょっと難しい話をしている場面も見受けられて、理解が追いつかない気もしましたが、ストーリーそのものがよく練られているので特に気にすることなく最後まで見ることができました。

ちなみに本作は原作とは違うオリジナルストーリーのようですが、よくぞこんな話を作れるなと思います。作家、脚本家には毎度脱帽です。

ニンフィア好き