「さすが池井戸潤さんの作品だけあります。」シャイロックの子供たち ねこすけさんの映画レビュー(感想・評価)
さすが池井戸潤さんの作品だけあります。
とても面白く素晴らしい作品でした。緻密な描写はさすが元銀行員だからこそ描けるのだと思います。私も昔銀行員を12年間やってました。係わったのは渉外、出納、預金、融資、新規開拓とほぼ経験してきましたので作品を観ていてあの頃の実感か沸いてきました。映画では主に融資先を開拓する事が主題でしたが、私の頃は主に預金です。それも定期預金や積立預金を勧誘するのが主でした。
映画同様に鬼のような支店長がいて、与えられたノルマで毎日毎月追い込まれ悩やみ何度も辞めたいと思ったものです。そして実際、映画のような事はどこの金融機関でもあり得る話です。例えば行員が集金した500万円を競馬に使ってしまい、銀行側は警察には黙っていて隠蔽しその代わりその行員の給与から毎月天引きで返させるとか、要するに買い殺しです。
というような表には出ない話もいくらでもありました。ですからシャイロックの子供たちのような事は決してあり得ない話ではないのです。
池井戸先生の作品はどれも面白い。アキラとあきらも七つの会議も映画もドラマも殆ど観ています。
金融機関に興味のある人には堪らない作品だと思います。
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グレシャムの法則さんのコメント
2023年2月24日
そうでしたか!ねこすけさんも辛い経験をお持ちなのですね。
1万円なら担当1人でも補填できる。
10万円なら管理職ならばなんとかなる。
ならば100万円ならば?
管理職複数名でなら、というのがこの映画でした。こういう理不尽な連帯責任が隠蔽体質を助長し、大きな不祥事に繋がるのを私も見たり聞いたりしました。
西木が北川愛理を守ったような、個人の尊厳を守るための精神こそが、実はいちばん大事な原点なのかもしれません。