「金に魂を売り渡すな‼」シャイロックの子供たち bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
金に魂を売り渡すな‼
池井戸作品は、これまでも多くの作品が映画化され、テレビ放映もされる中、本作もドラマ化された作品。「池井戸作品に、外れ無し」と、よく言われているが、本作も池井戸作品らしい、メガバンクの内部事情を露にした作品となっている。
本作は、『半沢直樹』の様に、最後に大逆転で悪をやっつける、水戸黄門的な展開でないまま、ラストを迎える。もちろん、「倍返し!」は健在だが、悪の連鎖によって、「二ヤリ」とほくそ笑んでしまうようなラストのシチュエーションは、ある意味、現実的とも言える。
それぞれに苦境を抱え、金によって、魂まで売り渡したバンカーの末路と、現金紛失や詐欺まがいの取引の不祥事など、銀行の裏事情をあからさまに描いている。一円でも足りないと、夜中かけても探すと、銀行員の友人に、以前、聞いたことがあるが、その通りなのだろう。
ストーリーは、融資先への現金100万円の紛失事件から端を発する。実は、その事件の裏には、功名に仕組まれた、不動産絡みの罠が張り巡らされており、架空会社による詐欺によって、銀行は10億の損失を強いられることに繋がっていく。その不祥事の一端を掴んだ、西木係長は、部下の北川と田端と共に、独断で調査を始め、その真相と黒幕を暴き出していく物語。
主人公の人の好さそうなバンカー・西木を阿部サダヲが演じている。しかし、その裏に隠し持った腹黒い顔も見え隠れし、阿部サダヲならではの演技を見せている。そして、脇を固めるのが、佐々木蔵之介、柳葉敏郎、橋爪功、佐藤隆太、杉本哲太、そして柄本明等の、大御所の色濃い面々。実は、彼らがみんな何かしらの後ろめたさを持ち、一筋縄ではない連中ばかりという役柄。おまけに、ラストに、「まさか、この人まで裏切るの…」と思わせる展開が、これまでの池井戸作品とは、ひと味違うと感じた。
いつも、池井戸作品に触れると、銀行って怖いところだと思う(笑)
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今まで映画を観賞するだけでしたが、これからは観賞後の感想をみなさんと共有出来れば幸いに存じます。
レビューを拝見させていただきとても勉強にななりました。
これからも色々学ばせてください。