劇場公開日 2023年2月17日

「銀行員が卑しい職業に思えてしまう」シャイロックの子供たち tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5銀行員が卑しい職業に思えてしまう

2023年2月17日
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中盤までは完全な群像劇で、誰が主人公なのかが分からない。その分、多彩な登場人物の役回りやキャラクターがそつなく描かれていて、10億円の架空融資や100万円の窃盗を巡る展開に引き込まれる。
中盤以降は、阿部サダヲ演じるお客様係が、ようやく主人公らしい活躍をし始めるが、彼が、なぜ、それほど熱心に不正を暴こうとしているのかが、今一つ分からない。
お馴染みの「倍返し」という台詞も聞かれるが、彼は100万円を紛失した責任を取らされた訳でも、窃盗の犯人であると疑われた訳でもなく、20万円を補填しただけなのである。
単なる正義感が強いだけなのかもしれないとも思ったが、ラストの顛末を見ると、最初から金が目当てだったと思えなくもないのである。
いずれにしても、金のために魂を売った人物が次から次へと現れて、銀行員という職業が、とても卑しいものに思えてしまった。
銀行員として、誇りとやりがいを感じて勤務されている方々には、少し気の毒な映画である。

tomato