「意地悪に思える居心地の悪さ」神は見返りを求める TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
意地悪に思える居心地の悪さ
吉田監督の作品には共通して「意地悪に思える居心地の悪さ」を感じることが多いです。そのため、正直「お勧めする相手を選ぶ」監督(作品)でもあります。
本作は、タイトルにある「神」という存在の対象をどこに置くかで見え方が変わってきます。
序盤はそれが田母神(ムロ)のことなのだろうと匂わせる展開なのですが、、、状況が変わるとそれが配信者「Yuri-Chan」こと優里(岸井)として語られ、さらに配信者を評価しコントロールすらし始める動画視聴者、と関係性によって微妙なバランスが見えてきます。
安定した凪のような状況に、ふとしたきっかけで起こる波。さらに梅川(若葉)等、二人の周りを取り囲むトリックスター達が秩序をかき見だします。さらにはシーンが進み、状況が混沌としてくるともはや自分の手元を離れ、「神」とは結局、皆が共通してイメージするあの「神」のことのようにも思えてきます。
そして、映画ほどドラマチックでなくとも、何となく自分にも身に覚えがあるようなことを想像させる内容が、結局今作も我々鑑賞者に「意地悪に思える居心地の悪さ」を感じさせられるのです。
私自身はYouTube的なものについて(年齢相応にみて)それほど多く利用していない方だと思いますが、おそらく若い世代にはより共感し、刺さりやすい作品なのではないでしょうか。
岸井 ゆきのさん、若葉竜也さんは今回も相変わらずの安定感。また、「如何にも居そう」なYouTuber役の吉村界人さん、Goodです。そして、個人的には「癖の強い演技」が苦手なムロツヨシさんも、今回の田母神役はまさに「はまり役」だと思いました。素晴らしい。