劇場公開日 2022年6月24日

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「不快で嫌悪感はあるけれど…」神は見返りを求める グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0不快で嫌悪感はあるけれど…

2022年6月26日
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鑑賞方法:映画館

自分の体験してきた社会では、本当に性悪な人は、こんなに分かりやすくありません。
センスが古いから切り捨てようと思ったとしても、逆恨みされたくないし、この先も困った時には手を貸して貰うかもしれない、とか少しは計算高く考えるので本音は直ぐにバレるとしても、表面的にはもっと取り繕います。
砂浜の撮影現場での村上アレンだって、ムロツヨシの存在は仕事上のライバルなどとは微塵も思ってないので、個人的な嫌悪感を露わにしたような、あんな恨まれそうな怒鳴り方はしません。自分が認めていない人に無駄なエネルギーは使いません。
なので、この映画の中の胸糞悪い人たちは、悪い人というよりも、考えの浅い軽薄なだけの人たちなのだと思います。

もし、自分の周りにここまで薄っぺらな人たちしかいなかったら、何かを一緒にやることになる過程で、自ずと〝こちら側の人たち〟の中で浮き始め、想像していなかったような孤立感を深めることになるはずです。
なんだか違う…と。
ムロツヨシとこちら側の人たち、という構図にはなりません。こちら側の中での孤独とどう向き合うか、どう脱出するか、というのがテーマになります。

ムロツヨシのようなタイプの人だって、相手から、ありがとうのひとことくらいは聞きたいわけですから、無分別のお人好しではなく、もう少し善意の使いどころを選別します。

映画を見て、自分の感じたことをレビューという形で表現する、このサイトに参加するような方々にとっては、こんな薄っぺらな人たちとは付き合いたくないな、と畳み掛けられるので、不快感と嫌悪感は半端なく襲ってきますが、『ダークナイト』のジョーカーのような本質的な邪悪に対する恐怖は感じないのではないでしょうか。
だから、印象としては重苦しくて深い映画のようではあるけれど、さして心に届くとも思えなくて、あまり人に勧める気にはなれない。そんな気がします。

グレシャムの法則
しろくろぱんださんのコメント
2023年3月6日

おはようございます。
コメントありがとうございます。
ムロツヨシの僕は見返りを求めてないからと言った時から…
…見返り
自分も見返りを求めてないと思っていたけど本当は大なり小なり求めて生きているんだと思いました。

お菓子の件もそうです。
職場でおかしを配って
美味しいとか食べたかったんですと言われたら嬉しいですよね。
ちっとした感謝の言葉で報われます。感情を持った生き物ですから。

しろくろぱんだ
マキさんのコメント
2022年6月30日

〉本当に性悪な人は、こんなに分かりやすくありません

ほんと、おっしゃる通りで、もっとどす黒く、バレないようにしていますよね笑

本作は全体的に“薄っぺらい”、私も同意して。ジョーカーのような本質的な邪悪な方が心に響き、後々残るんですよね。

不思議ですね。

マキ
マキさんのコメント
2022年6月30日

グレシャムさん、全て共感です!!

マキ